iPhoneでライブ感を味わえる、最新のモータースポーツ「AIR RACE X」
2024年10月19日(土)、渋谷区立宮下公園 にて小型飛行機で操縦技術とタイムを競い合う「AIR RACE X 2024 – 渋谷デジタルラウンド決勝トーナメント」が開催された。 公園でモータースポーツ?と思うかもしれないが安心してほしい。実際に渋谷を飛行するわけではなく、まるでその場でフライトしているようにXR(クロスリアリティ)の世界で繰り広げられる。iPhoneやAndroidなど、スマートフォンを使って観戦することができる。
「AIR RACE X」は、世界各国から集まったトップパイロット8名が定められたレーストラックを飛行し、タイムを競い合う空のモータースポーツだ。
それぞれのパイロットが各国でフライトを行い、誤差3cmという精緻なフライトデータを収録。データを対戦相手とぶつけることで、勝敗が決まるシステムになっている。トーナメント形式の本大会は、最大3回のフライトが必要なので、3回分のフライトを収録する。
本番フライトはやり直しが効かない一発勝負だ。1回戦、準決勝、決勝のうち、どのフライトを収録するかを宣言してから飛行する必要があるので、パイロットのコンディションや天候を考慮しなければならない。たとえば、今のコンディションが最高だと考えて、そのタイミングで決勝用フライトをレコードするなど、各選手が工夫を凝らしている。
渋谷で開催された今回は、2024年シーズンの最後のコンペティション。本大会での優勝を競うだけでなく、年間チャンピオンを決める意味でも重要な大会だ。
XRを使った新たな観戦シーンがそこにはあった
イベント会場の宮下公園では、スマートフォン上での観戦が行われた。まるで実際に飛んでいるかのような体験をXR技術が実現するのだ。空間レイヤープラットフォーム 「STYLY」を利用すると、スマートフォンのカメラをとおして、画面上で飛行機が飛び交う。規定された通過地点を示すパイロンが置かれ、小型飛行機のフライトが映し出される。
※パイロン:円錐形の構造物。ここでは航路を示すために使われる。パイロンの間を通過しなければペナルティが課せられる。
実際にアプリをインストールし、会場に設置されたQRコードを読み取ればすぐにAIR RACEの世界に没入できる。
決勝のカードは、エアレース選手権デビュー同期の室屋義秀選手とMatt Hall選手の一騎打ち。両者渾身のフライトを見せるが、Run time(※)がわずか0.02秒という差で室屋選手が勝利を勝ち取った。なお、室屋選手は、この優勝で2024年シーズンの優勝も決めた。
※Run time:ハンディキャップタイムを考慮しない実際の飛行時間
印象的だったのは、来場したファンたちが空にスマートフォンを掲げる姿。本イベントはXRの利用シーンを新たに創出したのではないだろうか。バーでスポーツ観戦をファンみんなで楽しむ「共感」と、XR技術がもたらす「臨場感」が見事に融合していた。XR技術の進展とともに、別のスポーツや、イベントに活用されていくに違いない。
ネクストステップはVision Pro。“現地観戦”を可能にする別次元の体験
同日、渋谷PARCO 5階特設会場ではApple Vision Proを使った観戦デモンストレーションが行われた。
Vision Proを装着すると、目の前に小さくなった渋谷の街並みが広がる。
渋谷の街並みには5つのVIEW SPOTと呼ばれるポイントが設定されており、VIEW SPOTを選択すると、視点がそのポイントに切り替わる。
このデモンストレーションは、スマホ観戦の先をいく体験だ。Apple Vision Proが普及し、空間コンピューティングに人々が慣れ親しんだとき、どのような観戦体験が得られるのかを、実感させされる内容だった。このデモンストレーション自体は個人で楽しむものだったが、将来的には、実際には離れた場所にいる友人と、一緒に“現場”ににいるような感覚で会話しながら、さまざまなコンテンツを楽しめるだろう。