※本記事は『Mac Fan』2024年7月号に掲載されたものです。
iPhone向けのエミュレータアプリが解禁。懐かしのゲーム「Delta」も遊べるぞ
レコードやCDで購入した音楽を、今なお多くの人がiPhoneやMacで聴き続けている。iPodが登場した際に、CDから音楽を取り込んだり、アナログ音楽をデジタル化して、新しいデバイスで聴く方法が普及したためである。
それに比べると、昔のゲーム機で遊んだゲームカセットを引き続き楽しむことは難しい。ゲーム機が壊れると、残されたゲームカセットを遊ぶ手段が失われるからだ。
そうした背景の中、4月5日にAppleがApp Storeのガイドラインを改定し、レトロゲームに限り、エミュレータの制限を緩和した。それを受けて、すぐにゲーム機エミュレータ・アプリが登場し始め、中でもライリー・テスタット氏が開発した「Delta」は配信開始日である4月17日にApp Storeのトップに躍り出た。



Appleはなぜ、エミュレータを禁じていたのか。利用には各国の著作権法への理解が重要だ
Appleがレトロゲーム機エミュレータを解禁した背景には、App Storeのオープン化を求める声の強まりがある。その一方で、これまでAppleが禁じていた理由も存在する。
エミュレータの使用自体は合法だが、コピーガードを解除するような著作物のコピーの作成は、著作権が消失している場合や権利者の許諾がある場合を除き、著作権侵害にあたる可能性がある。
音楽とは異なり、ゲームは所有者による私的バックアップ作成の合法性がグレーゾーンのままであり、Appleの審査を通ったゲーム機エミュレータ・アプリがあるからといって、ゲームカセットから自由にゲームを抽出できるわけではない。
利用に際して、適用される国の著作権法についてよく理解しておくことが重要になる。
高いエミュレータへの関心度。Appleが“レトロゲーム”に限定した理由とは?
そして、Appleはセキュリティ上の理由からJIT(Just-In-Time)コンパイラの使用を禁じている。JITは事前にプログラム全体を変換するのではなく、実行時に必要な部分だけを変換し、高速かつ効率的なエミュレーションを可能にする。
高度なエミュレーションで中核的な役割を果たす技術になっており、同じことをJITなしで実行すると動作が重くなる。つまり、JITを使えないiOSでは、エミュレータを快適に活用できる範囲がレトロゲームなどに限られる。
JITにセキュリティの懸念があるのは事実だが、Androidはアプリごとにサンドボックスを提供してセキュリティの問題に対応し、JITコンパイラを利用可能にしている。デバイスの高性能化に伴い、エミュレーションの性能が向上し、知的財産の活用にエミュレータが大きな役割を担うようになった。Apple自身、Macintosh時代のレトロなソフトなど、数多くの知的財産を所有している。
iOSのゲームエミュレータの話題性が示すように、過去のソフトを体験できることに対するユーザの関心は高い。JIT解禁を含め、エミュレーション技術のより積極的な活用を求める声が開発者から上がっている。
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