iPhoneでゲームアプリを起動したところ、突然画面上部に[ゲームモード オン]と表示されて驚いた人もいるのでは? 自動でオンになるため警戒する気持ちもわかるが、iPhoneでゲームを楽しむ人にとって、基本的には恩恵ばかりの機能だ。
なお、iPhoneおよびiPadに対しては今年(2024年)のiOS 18、iPadOS 18でリリースされたゲームモードだが、Macに対しては2023年リリースのmacOS Sonomaで提供されている。
さて、そんな余談はさておき、iOS 18のゲームモードがもたらすメリットを整理していこう。
ゲームモードのメリット①:iPhoneの処理能力が“向上”する
ゲームモードでは、バックグラウンドのアクティビティが最小化される。言い換えると、iPhoneの前面に表示されていないアプリが、水面下で行っているデータ通信や更新をセーブするということだ。
これにより、iPhoneのフレームレートが高いレベルで維持されるなど、より快適なゲームプレイが可能となる。一般に、フレームレートが高いほど映像やキャラクターの動きが滑らかになるため、よりゲームに集中できるほか、より高いレベルでプレイできるだろう。また、Appleが「長時間ゲームプレイを楽しめます」と発表しているように、バッテリ持続時間の伸びも期待できる。
しかし実際には、恩恵を受けられるのはごく一部のゲームタイトルに限られる。なぜなら、App Storeで提供されているゲームの中に、ゲームモードの威力が発揮されるほどの描画・演算性能を必要とするものは少ないからだ。これは、昨今のiPhoneがそもそも高性能であるということの裏づけでもある。
より多くのユーザにiPhoneでゲームを楽しんでほしい、より多くのデベロッパにiPhone向けの本格的なゲームアプリをリリースしてほしい、そんなAppleの狙いが垣間見える。つまり、ゲームモードの搭載はAppleの未来への布石なのだ。
ゲームモードのメリット②:ワイヤレスコントローラやAirPods Pro 2の遅延を減らす
ゲームモード下においては、ワイヤレスコントローラとのBluetoothポーリングレートが2倍となる。ポーリングレートとは、いわば通信の回数のこと。具体的な数値は公表されていないが、より高速でより安定することは間違いない。高いレベルでプレイするため、取り回しの良さを捨てて有線接続のコントローラを使う必要はなくなるかもしれない。
さらに、AirPods Pro 2のオーディオレイテンシーを低減させる点も見逃せない。そもそもAirPodsシリーズで音の遅延を感じたことがない、という人もいるだろう。しかし、いわゆる音ゲーなど、ほんのわずかな遅れも致命傷になるようなタイトルをプレイするユーザにとって、非常に重要な進化である。
また、iOS 18ではゲームでも「パーソナライズされた空間オーディオ」が体験できるようになった。ゲームデベロッパ側の対応状況にもよるが、ゲームモードによる快適なプレイ環境との相乗効果で、より一層ゲームに没頭できるに違いない。
なお、パーソナライズされた空間オーディオが体験できるのは、AirPods 4、アクティブノイズキャンセリング搭載AirPods 4、AirPods Pro 2、AirPods Maxの4モデルのみだ。
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著者プロフィール
関口大起
『Mac Fan』副編集長。腕時計の卸売営業や電子コミック制作のお仕事を経て、雑誌編集の世界にやってきました。好きなApple Storeは丸の内。Xアカウント:@t_sekiguchi_