Mac業界の最新動向はもちろん、読者の皆様にいち早くお伝えしたい重要な情報、
日々の取材活動や編集作業を通して感じた雑感などを読みやすいスタイルで提供します。

Mac Fan メールマガジン

掲載日: 更新日:

iPhoneの内部にもダメージ!? 「スマホ熱中症」に気をつけよう!

著者: 井上晃

iPhoneの内部にもダメージ!? 「スマホ熱中症」に気をつけよう!

写真●黒田彰

「スマホ熱中症」という言葉をご存じですか? iPhoneだって暑ければ夏バテしてしまうんです。たとえば、iPhoneを真夏の車内に放置してしまうと、故障や発火などのリスクも出てきます。

※この記事は『Mac Fan』2023年9月号に掲載されたものです。

「スマホ熱中症」という言葉を知っていますか?

端末内に熱がこもると、iPhoneのパフォーマンスが下がってしまう

最高気温が30℃を超えるような真夏は、人間にとっても、スマートフォンにとっても危険です。なぜなら、高温下でスマートフォンを使い続けると、内部に熱がこもり、端末の動作に不具合が生じてしまうからです。このような症状を、俗に「スマホ熱中症」と呼びます。

iPhoneをはじめとするスマートフォンでは、CPUなどが駆動する際、熱が発生するのは避けられません。しかし、普段は端末自体が温度を適切な範囲に調節するようにコントロールしています。

ただ、何らかの要因によって端末の温度が上がり過ぎてしまうと、パフォーマンスが下がったり、バッテリ持ちが悪くなったりしてしまうのです。

ちなみに、iPhoneの場合は、端末の温度が上がり過ぎて上限を超えると「高温注意」という画面に切り替わり、本体温度が下がるまで待つように警告メッセージが表示されます。

夏の車内はiPhoneにとってキケン!

Appleは、iPhoneの保管に適した温度を、45℃からマイナス20℃までとしています。日本における観測史上の最高気温は、2023年7月時点では41.1℃なので、よっぽどのことがない限り、外気温がこの値を直接超えることはないといえるでしょう。

しかし、条件によっては温度45℃を超えてしまうことは多々あるので、油断は大敵です。たとえば、夏の自動車内やビーチの砂の上、直射日光に当たる場所などは高温になりやすいスポットです。

端末の動作に不具合が生じるため、高温下にiPhoneを放置するのは絶対にやめましょう。

具体的には、真夏の自動車内におけるダッシュボード付近では、温度が80℃近くに到達することも。


JAFがWebサイトに公開している「真夏の車内温度(JAFユーザーテスト)」によれば、対策をしていない黒い車の場合、ダッシュボード付近の温度は80℃近くまで上がるという。
引用●https://jaf.or.jp/common/safety-drive/car-learning/user-test/temperature/summer

「スマホ熱中症」という文脈では、動作が不安定になったり、バッテリ持ちが悪くなったりといった症状が強調されますが、このような超高温下では、端末に内蔵されているリチウムイオン電池が持つ危険性にも目を向けなければなりません。 

リチウムイオン電池は高温に弱く、高温下で放置しておくと、バッテリ内部の成分が変化し、ショート(短絡)や熱暴走が起こり得ます。

最悪の場合、発火や爆発を招く可能性もありますので、夏の車内のような高温になる場所にiPhoneを放置することは絶対NGだと理解しておきましょう。

これは、iPhoneだけでなく、iPadやMac、モバイルバッテリなど、リチウムイオン電池を搭載するすべてのデバイスに共通する注意事項です。

「高温注意」の主な原因と正しい冷却法

iPhoneからの危険信号を見逃さないで!

先述のとおり、iPhoneの温度が上限値を超えると「高温注意」の画面が表示されます。この状態では緊急通話以外の操作ができず、ユーザは端末の温度が下がるまで待たなければいけません。

iPhoneの温度が上限を超えると「高温注意」の画面が表示され、緊急通話の操作ができなくなります。

また、端末が高温になっている状態で充電しようとすると「充電保留中/iPhoneが通常の温度に戻ると充電は再開されます」という通知がロック画面などに表示されることもあります。

iPhoneの温度が高くなった状態で充電しようとすると、「充電保留中」というメッセージがロック画面に表示されます。

この通知が表示された場合は、端末をスリープ状態にしたうえで、涼しい場所に移動するなどしてしばらく放置しましょう。

では具体的に、どういうタイミングでiPhoneの温度は上がってしまうのでしょうか。「暑い日の自動車内」「直射日光の当たる場所」など、先述のような環境的な要因にはもちろん気を付けなければなりませんが、使い方にもいくつか注意点があります。

たとえば、「暑い場所でGPSトラッキングやナビゲーションを長時間使う」、そして「充電しながらグラフィック負荷の高いゲームをプレイする/動画を長時間視聴する」といった使い方は、端末の温度を上げやすいです。

もちろん、手に持ったiPhoneが少し熱くなってきている程度ならば、多くの場合は異常ではなく、単に端末が放熱しようとしているだけなので、過度に心配する必要はありません。

ただ、「高温注意」画面が表示されていなくても、異常な熱さを感じる場合は、無理な使用は避けたほうが端末への負荷は少なくなります。

iPhoneの最適な冷却化とは?

端末を冷やすには、端末を直射日光の当たらない場所に置き、温度が少し冷めるまで待つなどするとよいでしょう。中には、冷蔵庫へ入れたり、保冷剤を当てたりといった冷却法を思い浮かべる人もいると思います。

しかし、急に低温にするのはiPhoneに負荷を掛けてしまうので避けたいところ。そのため、扇風機の風を当てたり、アルミ製の調理用バットに乗せたりするなどして放熱を促しましょう。

また、普段iPhoneを使うときに、端末の放熱を妨げていないかどうかもチェックしておきましょう。たとえば、保護ケースの素材が熱を逃がしづらいものであったり、カバンの奥で荷物に埋もれて熱が籠っていたりするような状態は好ましくありません。

バッテリの熱暴走による事故を含め、スマホ熱中症を防ぐためにも、特に充電時には、端末の熱を外に逃がせるような環境を整えましょう。

効率よく安全に、iPhoneの放熱をするガジェットも各メーカーから販売されています。手軽に取り入れられるアクセサリで、iPhoneを賢く安全にクールダウンしてみてはいかがでしょう?

これはNG! やってはいけない高温注意の対処法

「熱いなら一気に冷ませばよいじゃないか」と思う人もいるかもしれませんが、人間の体温の冷やし方と、iPhoneのような精密機器の冷やし方は別物として考える必要があります。

なぜなら、iPhoneを一気に冷やして低温にすると、急な温度変化で内部パーツがダメージを受けたり、内部に結露が生じて故障の原因になったりする可能性があるからです。

たとえば、熱くなったiPhoneを保冷剤で冷やしたり、冷蔵庫に入れたりする行為は絶対に避けましょう。

著者プロフィール

井上晃

井上晃

スマートフォン・タブレット・スマートウォッチなど、最新ガジェットやITサービスについて取材。Webメディアや雑誌で、速報やレビュー、コラムなどを執筆している。新製品やサービスのレビュー、比較検証記事の執筆本数は年間100本以上。

この著者の記事一覧

おすすめの記事