Appleは2025年10月15日に最新のAppleシリコン「M5」と、これを搭載したiPad Pro、MacBook Pro、Vision Proを発表した。
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AppleはM5について「AppleシリコンのAIパフォーマンスに次なる進化をもたらす」と発表したが、Special Eventが開催されなかったこともあってその詳細は語られていない部分も多い。
この記事ではM5を構成する各要素がM4からどのように進化したのか、個別に詳しく見てみよう。

Photo●Apple
AppleシリコンのAIパフォーマンスが大きく向上、M5の進化の真髄に迫る
まずCPUについて見てみよう。その構成は高性能CPUコア4基(または3基)と高効率CPUコア6基で、その点ではM4と変わらない。一方で公開されているGeekbench 6スコアを見ると、シングルコアで10%以上、マルチコアでは20%以上性能が伸びている。両者の動作クロックは数%しか向上していないので、CPUコアはIPC(クロックあたりの演算性能)が向上していることがわかる。
そのカギとなる情報は、前月にリリースされたA19シリーズの発表時に公開されている。Mシリーズは同世代のAシリーズと共通のコアテクノロジーを用いて、その規模と動作速度を引き上げる手法によって設計されているからだ。つまりM5はA19 Proと同じコアテクノロジーを使いつつ、よりスケールアップしたAppleシリコンだ。

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A19 Proでは高性能CPUコアの並列処理性能が引き上げられ、同時に実行できる命令数が増えている。当然M5にもそれは受け継がれており、シングルコア性能が向上した主因になっていると考えられる。一方でマルチコア性能が向上したのは、メインメモリに最も近いラストレベルキャッシュが増強された点が大きい。実際M5のラストレベルキャッシュは、M4の4MBに対して6MBに増加していることが確認されている。
これらの改善によってM5のCPU性能は大きく伸びており、シングルコア性能(スコア)は歴代のAppleシリコンで最強、そのマルチコア性能(スコア)は驚くべきことに、M3 ProやM2 Maxを大きく引き離してM1 Ultraに匹敵するレベルに到達している。

約30%高速化されたユニファイドメモリ
M5の性能が大きく向上した要因の1つに、メインメモリの高速化が挙げられる。M5に採用されたのは、Macでは初となるLPDDR5X-9600 SDRAMで、その転送レートはデュアルチャンネルで153.6GB/秒に達し、トリプルチャンネルのM3 Proに匹敵する。M4の120GB/秒(LPDDR5X-7500)やM2/M3の100GB/秒(LPDDR5-6400)、M1の68.3GB/秒(LPDDR4X-4266)と比べると、M5のメモリアクセス速度が大きく向上していることがわかる。

メモリアクセス速度の向上は、多くのプロセッサコアが同時に動く場合に顕著に効果が現れる。M5のマルチコアスコアの伸びが大きい理由として、このメモリアクセス速度の向上も貢献している。またAppleシリコンのメインメモリはCPUだけではく、GPUやNeural Engine、その他のプロセッサで共有するユニファイドメモリアーキティクチャのため、そのアクセス速度向上はシステム全体の性能向上にも大きく影響している。
次回はM5でのグラフィック性能向上と、核心であるAI処理性能の向上について解説しよう。
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