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第49回 捨てる/野呂エイシロウのケチの美学

第49回 捨てる/野呂エイシロウのケチの美学

※この記事は『Mac Fan』2021年6月号に掲載されたものです。

今日もいらないモノを捨てた。新型コロナウイルスの影響で外出する機会が減り、革靴を履かなくなったので、一気に8足も捨てた。1年間で一度も履かない靴は、ボクにとってはもはやゴミである。

以前までのボクは、何でもかんでも手に入れようとしていた。「高級ブランドの洋服が欲しい」「フェラーリが欲しい」とよく思っていた。だが、いざ手に入れられるようになると、意外にも何もいらなくなる。

洋服やクルマ以外にも「カッコイイ身体が欲しい」「女性にモテたい」「お金持ちになりたい」など、いろいろな欲求があった。そう、これまでは足し算だらけの人生だったのだ。さまざまな欲求が、生きているうちにどんどん増えていったのである。

  「マイレージ、マイライフ」という映画が好きだ。劇中、ジョージ・クルーニー演じる主人公が講演する印象的なシーンがあるのだが、リュックを例に挙げ、次のように話す。「背負うものが増えるとリュックが重くなって、身動きが取れなくなる」。本当に、そのとおりだと思う。

ボクも、リュックに入るぐらいの人生を送ろうと思う。だから、いらないモノは捨てるのだ。本も、過去の経歴も、人間関係も。今、どんどん捨てている。

つい先日も、9名との人間関係を捨てた。ある事柄を通じてつながっていた人との関係を、バッサリ切ったのである。スッキリした。それだけで月に3万円ほどの交際費が浮いた。お金の問題もあるが、それだけではない。以前よりも心に大きな隙間ができて、その分、ほかの人に費やす時間が生まれている。もちろん、相手は気がついていない。

  「今したいこと」「手に入れたいこと」を真剣に考えて、それ以外は捨てようと思う。本当に手に入れたいモノのためなら、仕事や家族、名誉、お金を捨てたほうがよいこともある。ボクは今、「おもしろいこと」にこだわっている。あとは「健康」だろうか。その2つを成し遂げるために、それ以外を捨てるのだ。

今では余計な会食もなくなり、集中できる時間が生まれている。以前は、朝、昼、夜、深夜と毎日会食をしていて、毎月膨大なお金を使っていた。今は、多くても週に3回程度。本当に好きな人以外とは、ご飯を食べないようにしている。そう、俗に言う「接待」はもうしない。捨てたのである。

本も同様で、また手に入るであろう本は捨てている。二度と手に入らないものだけ、手元に残している。デジタル化も進行中だ。

家やマンションも買わない。災害やさまざま不都合(たとえば、隣人が変な人だったり…)があった場合に、すぐに引っ越せるようにしておきたいのだ。家を買うというのは、地域や隣人も一緒に買うということだ。ボクは行きたい場所にすぐに行けるように、常に身軽でいようと思う。

時間だって同じだ。どうでもよい会議は開かないし、絶対に参加しない。ボクは今、おもしろい人生を手に入れるために、おもしろいことだけにフォーカスしている。それ以外は、どんどん捨てる。捨てながら、自分の人生の大切なことに集中する。人生を豊かにするために、隙間をどんどん作る。その繰り返しである。

さあ、次は何を捨てようか?

iPhoneやMacBookさえあれば、いつでもどこでも、常に身軽に仕事ができる。

著者プロフィール

野呂エイシロウ

野呂エイシロウ

放送作家、戦略的PRコンサルタント。毎日オールナイトニッポンを朝5時まで聴き、テレビの見過ぎで受験失敗し、人生いろいろあって放送作家に。「元気が出るテレビ」「鉄腕DASH」「NHK紅白歌合戦」「アンビリバボー」などを構成。テレビ番組も、CMやPRをヒットさせることも一緒。放送作家はヒットするためのコンサルタント業だ!と、戦略的PRコンサルタントに。偉そうなことを言った割には、『テレビで売り上げ100倍にする私の方法』(講談社)『プレスリリースはラブレター』(万来舎)が、ミリオンセラーにならず悩み中。

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