※この記事は『Mac Fan』2019年11月号に掲載されたものです。
ボクは幸せだ。なぜなら「死」を考えているからだ。
アリゾナ大学のコリン・ゼストコット教授とジェフ・グリーンバーグ教授らは、「人間は死を意識するとパフォーマンスがアップする」という研究成果を学術誌に発表している。それによれば、バスケットボールの試合前に「いずれは誰もが死を迎えること」をほのめかされた選手は、そうでない選手よりもシュートの成功率が高まるという。そう、モチベーションが変わるのだ。
以前のボクは、将来に不安を持っていた。けれど、この理論を実行して常に「死を意識」するようになったら、幸せ度が増した気がする。
将来年金はどうしたらいいのか? 病気にならないだろうか? 日本の今後はどうなるのか?巨大地震は来るのだろうか?などと考えていたが、今はまったくそんなことはない。「なんとかなるさ」と考えたら、いろんなことをやる気になった。
それこそテニスボールひとつを追いかけるのも、これまでとは大きく違う。仕事も、どんどん面白いことをやろうと思うようになった。そして、無茶をするようになった。「無茶をする」=「チャレンジをする」である。
もちろん弊害もある。「明日死ぬかもしれないから、このカレーライスは食べたほうがいいかも」と、誘惑に負けて食べてしまうことが時々ある。どうせ死ぬんだからこの酒を飲んでしまえと思うこともある。それは弊害だ。
死を意識すると、恥ずかしいこともなくなる。全面否定もなくなる。
あなたは「もうダメかもしれない」と死にたくなったことはないだろうか? 自殺をするかどうかは別問題として、そんなときが生きていればあるはずだ。でも、ボクの場合は、今は「まあ、この部分だけを諦めればいい」「お腹の肉だけが」と仕事や自分の一部分だけを否定できる。
子どもの頃にいじめられたとき、もう自分はこの世の中にいらないんじゃないか?と全面否定だった。でも、もしそのときにこの考え方を知っていたらもっとスムースに生きられただろうと思う。
そう、デジタルな時代になったせいか「ゼロ」か「イチ」という考え方もあるが、そうではなく、因数分解することも時には大切だ。納豆はネバネバして嫌いだけど、味は好きだから食べようと思ったら食べられるようになった。
話は変わるが、亡くなった友人のお母様が懸命に作ったバッグを縁あっていただいた。ボクはいちばん大切なMacBook Proをそれに入れている。また、素敵な友人からアップルのステッカーもいただいた。どちらも丁寧に使おうと思う。
そして、今日も懸命に生きよう。死を意識しながら。
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野呂エイシロウ
放送作家、戦略的PRコンサルタント。毎日オールナイトニッポンを朝5時まで聴き、テレビの見過ぎで受験失敗し、人生いろいろあって放送作家に。「元気が出るテレビ」「鉄腕DASH」「NHK紅白歌合戦」「アンビリバボー」などを構成。テレビ番組も、CMやPRをヒットさせることも一緒。放送作家はヒットするためのコンサルタント業だ!と、戦略的PRコンサルタントに。偉そうなことを言った割には、『テレビで売り上げ100倍にする私の方法』(講談社)『プレスリリースはラブレター』(万来舎)が、ミリオンセラーにならず悩み中。