iTunes 12.7からApp Storeが削除され、MacやWindows上でiPhoneおよびiPad向けアプリの管理ができなくなった。そこで役立つのが、iOS向けアプリ管理機能を持つソフト「AppSitter」だ。7月にリリースされたばかりの本製品をさっそくテストしてみた。
マウスでアプリを整理
昨年リリースされたiTunes 12.7以降、iOS向けアプリを購入するアップストア(App Store)へMacやウィンドウズからはアクセスできなくなっている。今まではパソコン上でiPhoneのホーム画面を整理したり、過去に購入したアプリを再ダウンロードしたりできたが、現行版ではiOSデバイス上で完結するようになっている。
しかし、パソコンの大きな画面でiPhoneやiPadのアプリを管理したいニーズはあるだろう。そこで、iTunesの代わりとして使えるソフトウェアが「アップ・シッター(AppSitter)」だ。Macとウィンドウズ両方のOSに対応しており、パソコンに接続したiOSデバイスのアプリを管理するさまざまな機能を備えている。今回、自前のMacBookにiPhoneを接続して、2018年7月にリリースされたばかりのアップ・シッターを実際に試してみた。
第一印象はシンプルで使いやすいデザインだと感じた。画面に説明が出てくるので、特に操作に迷うこともなくスムースに操作できる。アップ・シッターには、マウスでホーム画面のアプリを整理したり、まとめてアプリをアップデートもしくはアンインストールしたりと、以前のiTunesでできた機能が搭載されている。たとえば、iOSデバイスのストレージの空き容量が不足したときは、不要なアプリをちゃちゃっと選択してまとめて削除できるので便利だ。
さらに、有償となる正式版を購入すると、ワンクリックですべてのアプリを導入したり、配信が停止してしまったアプリを再インストールしたりする機能などが使えるようになる。無料版ではホーム画面の整理も4回に制限されているため、本格的に運用するなら正式版の購入をおすすめしたい。
SNS上で特に関心を集めていたのが、アプリのダウングレード機能だ。まれにアプリの最新バージョンで不具合が見つかったり、デザインが大幅に変わったりして、「アップデートしなければよかった」と後悔した経験は誰にでもあるだろう。一般的には次のアップデートを待つ必要があるが、アップ・シッターを使えば、もとのバージョンに簡単に戻すことができる。この機能も正式版での提供となる。
パソコン上でiPhoneやiPad向けのアプリを管理できる「AppSitter」。ソフトウェアは無料で配布されており、1980円で正式版へアップグレードが可能。本稿執筆時点では980円(どちらも税込)のセール価格でアップグレードできる。
かゆいところに手が届く
さまざまな機能を試してその中でも面白かったのが、ホーム画面のアプリの自動分類機能だ。ホーム画面のアプリの並べ方にはセンスが必要である。私はまったくそのセンスがないほうで、アイコンのカラーをグラデーションのようにきれいに並べ、さらに使いやすくフォルダ分けしている人などを見ると、すごいなあと感心せずにはいられない。
そこで活用したいのが、ホーム画面整理の「スマート分類」機能だ。アイコンのカラーもしくはアプリのカテゴリによって、アプリをワンクリックで並べ替えることができる。ページ分けやフォルダ分け、カテゴリの種類、分類を除外するページなど、条件も細かく設定可能。並べ替えをパソコン上で実行しても、同期するまではiOSデバイスに反映されないため、安心していくつものパターンを試せるようになっている。カラー分けとカテゴリ分けは併用できない点が残念だが、アップ・シッター上でざっくり分類して、細かな変更はiOSデバイス上で反映させるとよいだろう。
気分を変えるために定期的にホーム画面のアプリを並べ替えたいなら、「画面のバックアップ」機能が役に立つ。ボタンをワンクリックするだけでそのときのホーム画面がバックアップ履歴に残されていくので、以前のホーム画面の配置に簡単に戻ることができる。アプリを削除したのになぜかアイコンが消えないとき、破損したアイコンを取り除ける機能も便利だ。
また、アプリやアプリ内になるファイルの管理機能も充実している。お気に入りのアプリをライブラリに追加しておけば、仮に配信が停止されてアプリがアップストア上から消えても、ライブラリから再インストールが可能だ。キーノートなどファイル共有できるアプリであれば、ファイルのインポートやエクスポート、削除までアップ・シッター上で操作できる。一つ一つの機能は細かいが、かゆいところに手が届く佳作ソフトと言えるだろう。
AppSitterの注目機能
[その1]入手したアプリの管理
入手済みのアプリを複数選択して削除したり、アップデートしたり、アップデートしたりできる。Macの大きな画面で整理できるので、大量のアプリでも移動がスムース。画面左上にデバイス上にあるアプリの数が表示される点も便利だ。
[その2]ホーム画面の整理
以前のiTunesと同様、マウスでアプリのアイコンをドラッグ&ドロップして並び替える機能を備えている。アプリを削除したはずなのに、なぜかアイコンが消えないときは、「破損アイコンを削除」を選択することですぐに消すことができる。
[その3]バージョンのダウングレード
もしものときに頼りになるのが、アプリのダウングレード機能だ。アプリはバージョンごとに保存できるので、もし最新のアップデートで不具合等が生じた場合、AppSitterで簡単に前のバージョンに戻すことができる(正式版のみ)。
[その4]App Store検索機能
MacにiPhoneやiPadを接続していないときでも、AppSitter上でApp Storeを検索しアプリを入手する機能を搭載している。
「スマート分類」機能では、ホーム画面に散らかるアプリをカテゴリや色ごとに分類し、ワンクリックで整理できるようになっている。アイコンの並べ方のセンスに自信がない人にとっては特に頼もしい機能だ。
正式版ですべての機能が解除
無料版でもさまざまなアプリの管理機能が使えるが、有償(1960円)の正式版へアップグレードすれば、すべての機能が解除される。なお、無料版では画面整理機能は4回に制限されている。