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メモリ解放ソフトはご法度?

メモリ解放ソフトはご法度?

やっぱり意味がない?

メモリ不足によるMacのパフォーマンス低下は多くのユーザが経験するトラブルだけに、Macアップストアでも「メモリ解放ソフト」は常に高い人気を誇ります。これらのソフトの基本的な仕組みは単純で、大量のメモリを要求することで、OSが非使用中メモリを解放するのを促すというものです。

この非使用中メモリとは、以前使ったデータやソフトは再利用すると想定して、消去せず保持している領域のことです。2回目以降に起動したソフトが一瞬で起動するのはこれのおかげです。

しかし、STPE1でも述べたようにOS Xマーベリックス以降ではメモリ圧縮が使われています。ここで従来の方法でメモリ解放を行おうとすると、メモリ圧縮とバッティングする恐れがあります。また、圧縮していたデータが消えることで、それが必要になったときにストレージからロードし直すという無駄も発生するともいわれています。

そこで、ここでは比較的人気の高いメモリ管理ソフトから、最終アップデートも最近のソフトを選び、実際に検証してみました。結果的には、ソフトによって多少挙動や効果は異なりましたが、メモリの解放で空き容量が増えるのは一時的ということです。もっとも、メモリの利用状態を監視するという意味では有用ではあるので、この手のソフトを積極的に「使うべきではない」という結論が正しいとはいえないかもしれません。

メモリを解放する(MemoryFreer)

有料のメモリ解放ソフトの中では、比較的人気が高いものの1つです。機能がシンプルでメモリの使用状況が円グラフで視覚的にわかりやすいのが利点といえるでしょう。メモリ解放の効果は控えめですが、メニューバーからメモリの使用状況がいつでも確認できるので、ソフトの起動しすぎなどがわかるメリットもあります。

【開発】ThinkTime Creations LLC

【価格】120円

【場所】Mac App Store>ユーティリティ

円グラフでシンプルなインターフェイスが特徴です。メモリ解放を実施すると、1分ほどで1.08GBのメモリが解放されました。

メニューバーから初期設定を表示することで各種の表示設定や、インアクティブなメモリが設定した容量を超えた際に通知する機能などがあります。

ライトクリーナーLE

セキュリティ会社が販売する信頼性の高いユーティリティソフトです。システムキャッシュのクリーニングや不要ファイルの削除の機能などのメンテナンス項目があり、メモリの最適化はその機能の1つです。実施したところ、解放されるメモリの容量は控えめで効果は実感しにくいのですが、その後の挙動も特に支障はありませんでした。

【開発】Trend Micro Incorporated

【価格】120円

【URL】Mac App Store>ユーティリティ

メモリ解放だけでなく、不要なファイルのクリーニングなどMacの最適化を図るツールです。メモリ使用量もグラフィカルに表示され、最適化の実施で1.85GB増えました。

Memory Cleaner

無料のメモリ解放ソフトです。インターフェイスは洗練されていて動作も比較的高速といえるでしょう。自動メモリ解放機能も備わっています。メモリを解放する効果は高く見えるのですが、目一杯解放してしまうために、使用中のソフトの挙動が一時的に遅くなる傾向も見られました(必ず発生するわけではありません)。スワッピングにも影響しているのかもしれません。

【開発】Nektony

【価格】無料

【場所】Mac App Store>ユーティリティ

インターフェイスが洗練されていて、使用しているメモリが多いソフトも確認できるのが利点です。動作も高速で3.08GBの空きメモリを確保できましたが、スワップが発生しやすい傾向もあるようです。

[Preferences]では自動メモリ解放機能を備えています。時間あるいはメモリの使用量やCPUの負荷に応じて細かく設定できるのが特徴です。

Memory Clean 2

こちらも無料のメモリ解放ソフトです。基本的なメモリ解放の処理内容やその効果は右の「Memory Cleaner」と類似した傾向があります。手動でメモリ解放を実施する分には、大きな問題は起こりにくいでしょう。インターフェイスは今風でアクティビティモニタよりもメモリの状況がわかりやすいといえます。

【開発】FIPLAB Ltd

【価格】無料

【URL】Mac App Store>ユーティリティ

App Memoryが解放されて空き容量が1.85GBから3.04GBに増えました。しかし、圧縮されたメモリ(Compressed)が増えているのが気掛かりです。

[Preferances]で表示は細かくカスタマイズ可能で[Advanced]設定には自動解放の機能もあります。日本語化はされていませんが、問題なく利用することができるでしょう。

メモリ解放ソフトは滅びるの?

メモリ管理方式の変化で、以前よりも積極的な価値を見出しにくくなったメモリ管理ソフト。かつて人気のあった「FreeMan」も、現行のmacOSではメモリの最適化には効果がないことを認め、macOS Sierra 10.12以降のインストールを推奨していないアナウンスを行っています。ユーザが「何もしない」ことがメモリが最適化された状態であるというのは何とも残念ですが、STEP3で解説したように、同時に複数のソフトを起動させすぎない、定期的に再起動するといった対策で十分対応できるでしょう。

OS X Mavericks以前のMacのためにメモリ解放ソフトはMac App Storeでの配信は継続していますが、将来的にはなくなっていくのでしょう。