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Macでライブ配信・ビデオ収録の最適解「Turret」

著者: 大須賀淳

Macでライブ配信・ビデオ収録の最適解「Turret」

必要機材がオールインワン

「ターレット(Turret)」は、ビデオカメラ、マイク、照明の3つがスタンド状に一体化され、1人でのライブ配信や動画収録が簡単に行えるデバイスです。

たとえば、MacやiPhoneに内蔵されているカメラとマイクでも配信自体を行うことは可能ですが、映像や音声のクリアさといった点では、有料や企業公式のコンテンツ作りを行うにはちょっと力不足です。最近は配信・録画向けの機材も数多く販売されているものの、どれを購入するのか調べて検討したり、安定して収録できるようセッティングする手間はかなりのもの…。

その点、本製品は必要なものがすべて一体となっているので、机に置いてUSBケーブルとACアダプタをつなげば、セッティング完了。機材同士の相性を心配する必要もありません。同程度の仕様を持つカメラ、マイク、照明、スタンドを、やや廉価に個別購入することも可能ですが、余計な労力を廃してコンテンツの発信に集中したい人にとっては、むしろ一番コストパフォーマンスの高い選択肢といえるでしょう。

本製品のカメラは「UVC(USB Video Class)」、マイクは「クラス・コンプライアント」という規格に対応しているので、MacにUSB接続するだけでドライバ等を一切必要とせず動作します。一番簡単な確認法は、標準の「クイックタイム・プレーヤ(QuickTime Player)」を起動して[ファイル]→[新規ムービー収録]を実行、カメラとマイクの選択肢に「Marantz Turret」の名前が出てくればOK。録画ボタンを押せばすぐにビデオ収録が行えます。

クイックタイム・プレーヤで認識されていれば、基本的にほかのライブ配信サービス等でも問題なく利用可能。特殊なソフトを使わなくとも、フェイスブックやユーチューブ・ライブの配信デバイスとしてブラウザ上から選択できました。今回の検証(MacBookプロ2016モデル&macOSハイシエラ環境)では、接続が切れたり不安定になることは一度もなく、長時間のライブ配信にも安心して使える印象を持ちました。

ケーブル1本で接続OK!

Macとの接続は、本製品のUSB Type-C端子とケーブル1本でOK(USB Type-A変換ケーブルが付属)。Turret側にUSB端子やヘッドフォン端子があり、ハブとしても利用できます。

ドライバなしで簡単に認識

Turretはカメラ、マイクともにドライバなしで簡単に認識。QuickTime Playerの「ムービー収録」で選ぶだけで簡単に録画可能です。

適切なマイクの感度

では、実際の画質や音質をチェックしてみましょう。フルHD解像度のカメラは、MacBookプロのフェイスタイムHDカメラより大幅にシャープでノイズの少ない映り。オートフォーカスの速度も十分で、トーク中カメラ前に小物などを出した場合も、近づき過ぎなければ自然にピントが合います。一眼カメラ映像のような高級感はないものの、常に破綻なく安定した映像が得られるので、ライブ番組の配信にはとても向いています。

そして、カメラの映りを大きくサポートするのが、レンズの周囲を囲むように設置された照明。点灯すると如実に顔が明瞭に映るようになり、一気に「ちゃんとした」環境で配信されている感じが出てきます。ただ、効果抜群な一方、眼鏡をかけた状態で正面から見るとどうしてもレンズに反射しやすいという難点もありました。その場合は、少し斜めを向くことで回避できるので、画面上の空いた空間にインテリアや文字などを配置するよう工夫するとよいでしょう。

そして、特に長時間の配信において重要となるのがトークの声。本製品のマイクはアームで話者のすぐそばにセットすることができ、大変明瞭に集音することができます。一般にコンデンサタイプのマイクは、感度が良すぎて部屋のさまざまな雑音を拾ってしまいがちですが、本製品のマイクは声に特化して程よく感度が抑えられている印象で、6畳程度の部屋でエアコンをつけたまま録音しても、雑音や反響がさほど気にならない程度に収録できました。商品コンセプトと機器のチューニングが上手く噛み合っており好印象です。

今やライブ配信や動画コンテンツは、すべての人が使うツールへと進化しつつあります。本製品は「普通の人が使う最適解」を志向しているのが明確に感じられ、ライブ配信のほかにも、教材の作成やWEB会議用のアイテムとして、内蔵デバイスよりも一歩上のクオリティを簡単かつ安定的に提供するシステムとして優れた実力を持っています。

最適な感度のマイクを搭載

マイクには、息が当たって「ボソッ」となる吹かれを防ぐウインドスクリーンを装着済み。余計な音が入りにくい、最適な感度設定になっています。

ライトを点ければ顔がクッキリ!

TurretのライトをOFF(写真左)/ON(写真右)にした場合の比較です。顔がクッキリと映り、瞳にアイキャッチ(光)も入り、表情が明るく見えます。

眼鏡の場合は工夫が必要

眼鏡をかけた状態で正面からカメラ目線になると、どうしてもレンズに反射しがち(写真左)。この場合は、少し角度をつけて撮影すると回避できます(写真右)。

ブラウザのみでも簡単配信!

Macにつなげば内蔵のカメラやマイクと同じように認識されるので、FacebookやYouTubeのライブ配信もブラウザ上だけで簡単に行えます。

[SPEC]
[ストリーミング配信/ビデオ収録システム]Turret
【発売】InMusic Japan
【Size】約204.1(W)×383(H)×174(D)mm(通常)
【価格】4万9800円
【URL】http://marantzpro.jp/turret/

【主なスペック】
【重量】 3.5kg 【カメラ】アングル:手動調整可能(垂直+/-15°、水平300°)、低光量補正:自動、照明:明るさ調整機能付(ホワイト/暖色/寒色)、対角視野:>78°、光学分解能:2MP、ビデオ:1920 x 1080@30FPS 【マイク】アングル:手動調整可能(垂直+/-90°、水平180° (アーム部分) 長さ:100–685 mm(接続アーム上のスタンドから)、ポップ・ウインド画面:移動/交換可能、一体型、コンデンサー・マイクカプセル:14mmエレクトレット・コンデンサ、サンプリング周波数:32kHz/44.1kHz/48kHz@16-bit、基本システム:Windows 7、8、10 / Mac OS X 10.6以上

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大須賀 淳

テクノロジーを遊びつくす映像作家・音楽家。【URL】https://junoosuga.com