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Keynoteでアプリのプロトタイプを作成しよう

著者: 山田昇

Keynoteでアプリのプロトタイプを作成しよう

各地のApple Storeでは、Apple製品を活用するための各種ワークショップが開催されている。6月から、その新プログラムとして「How To :キーノートでアプリケーションのプロトタイプを制作しよう」というワークショップがスタートしており、その内容を体験してきた。

キーノートでできるのか?

全国のアップルストアでは、「トゥデイ・アット・アップル(Today at Apple)」という無料のワークショップが開催されている。ベーシックなものからビジネス向けのものまで実にさまざまなプログラムがあるが、6月からの新プログラムに「キーノートでアプリケーションのプロトタイプを制作しよう」というものが追加された。プレゼンスライド作成アプリのキーノート(Keynote)で、本当にアプリのプロトタイプを制作できるのか興味が湧き、実際にセミナーを体験してみた。

このワークショップで使用したのはiPad版のキーノート。キーノートは、iOSのコアシステムをフル活用したアプリのため、プロトタイプ作成に向いているのだという。また、アップルはキーノート向けのテンプレートとしてiOS 12のインターフェイスデザイン用リソースも配布しており、それを使うことで効率的にプロトタイプの作成が行えるようになる。

また、キーノートでは、スライド内のオブジェクトに対して次のスライドへのリンクを設定できる。これを使うことで、特定のボタンをタップすると次の画面に飛ぶという、プロトタイプの構造シミュレーションまで行えるようになる。

ワークショップ中には、キーノートのテクニック紹介もたびたび行われた。たとえば、配置した写真サイズと四角形オブジェクトのサイズを合わせるには、片方の指で写真をタップしながら、別の指でオブジェクトのサイズ調整を行うと自動で調整できるという。こうしたアプリのテクニックを学習するだけでも参加する価値があるのではないだろうか。

Keynote用テンプレートとして配布されているデザインリソースは、AppleのWEBサイトから誰でもダウンロード可能だ。【URL】https://developer.apple.com/design/resources/

UIデザインの考え方

セミナーの後半では、アップルのユーザインターフェイスデザインに対する考え方が紹介された。

たとえば、iOS標準の「計算機」や実際の計算機の多くは、数の小さい「0」や「1」が下側に、数の大きな「9」が画面の上側に配置されている。また、iPhoneの側面にあるボリュームボタンは下側を押すと音量が下がり、上のボタンを押すと音量が上がる。一見、ごく当たり前のようにも取れるが、もしこれらが逆になっていたらユーザは違和感を感じてしまう。自分でアプリをデザインするときは、作り手の目線ではなくユーザが違和感なく操作できるかどうかを意識しながら設計することが大切だと説明した。

こうしたユーザインターフェイスのデザインについては、アップルが開発者向けに公開している「ユーザインターフェイスのデザインのヒント」を参照するとよいと紹介していた。共通デザインコンセプトを考慮に入れることで、アプリケーションの使いやすさや魅力を高めることができると説明していた。

アプリ開発者でなくても、アプリの企画立案に携わる人は案外いるのではないだろうか。そんな人たちにとって、身近なビジネスアプリでインターフェイスのプロトタイプ作りができるというのはありがたい。興味のある人はぜひ受講してみてはいかがだろうか。

挿入した写真を片方の指でタップしながら、もう一方の指で四角図形のサイズを調整すると、写真と図形のサイズを簡単に合わせられるというテクニックも説明していた。

Keynoteでは、オブジェクトをタップすると次のスライドに飛ぶという動作を付けられ、アプリの構造シミュレーションを行うことができる。

自分でアプリをデザインするときは、ボタンの並び順などにも配慮が必要だ。「ユーザが違和感なく操作できるルールが大切」だと、計算機を例にして説明していた。

電話アプリのキーパッドを見せながら豆知識も披露。Appleのサポートセンターの番号は「0120-27753-5」だが、欧米の電話機にはボタンに英文字が併記されていることが多く、「0120-APPLEJ」を数字に置き換えると前述の番号になるという。

このイベントは各地のApple Storeで開催されている。興味のある人は、AppleのWEBサイトで開催状況をチェックしてみよう。【URL】https://www.apple.com/jp/today/