【応用1】サードパーティ製の電源アダプタやモバイルバッテリを利用する
旅行などの長時間の外出では、アップルデバイスを事前にフル充電していても途中で充電が必要になるため、モバイルバッテリが必須アイテムといえます。また、コンセントを備えた交通機関やホテル、飲食店でアップルデバイスおよびモバイルバッテリを充電するためのUSB電源アダプタも必要です。ただ、iPhoneとMacなど複数のデバイスを持っていく場合、それぞれの電源アダプタを持って行くと荷物が増えるので、汎用的に使える電源アダプタがおすすめです。そこで、ここではサードパーティ製のモバイルバッテリと電源アダプタの選び方を解説します。
まず、出力側の能力としては5Vで2.4A、つまり12W以上のものを選びます。これならiPadも充電できますし、iPhoneも高速充電できます。
容量は1万mAhクラスが体積と重さの面でバランスがいいでしょう。iPhoneを5回ほど充電できる容量ですから移動中に消費電力の多いゲームをプレイしていても安心です。5000mAhクラスは小型で軽量ですが、iPhoneを数回充電しただけで空になってしまいます。2万mAhまでいくとかなりの重量になりますし、大容量のモバイルバッテリは充電に時間がかかることをお忘れなく。たとえば、1万mAhクラスのバッテリは2Aで充電しても8時間ほどかかりますので、2万mAhクラスですと16時間もかかります。これでは出かける前日の夜に充電を始めても間に合いません。
なお、最近は発火事件が多発していることもあり、通販サイトで妙に安いものや聞いたことのないメーカーの製品は避けたほうが無難です。たとえ日本製でもリチウムイオンバッテリは、わずかな不具合でもバランスを崩して発熱する可能性は捨てきれません。できるだけ評判のいいメーカーの製品を選びましょう。
一方、電源アダプタは、iOSデバイスだけならモバイルバッテリ同様に12Wあれば十分ですが、パワーデリバリー対応製品にしておくと、ノート型Macの充電も可能になります。そういう意味で意外かもしれませんが、アップルの29W USB−C電源アダプタは優れた充電器といえます。MacBookプロも充電できますし、iOSデバイスも高速充電可能です。12インチMacBookユーザでなくても購入して損はないでしょう。
BSMPA2402P2WH
【発売】バッファロー
【実売価格】1120円
【URL】http://buffalo.jp/
2.4Aの高出力ながらiPhone付属の電源アダプタ同等の体積を実現したUSB充電器。出力は2ポートなので複数のデバイスを充電可能です。
PowerPort I PD – 1 PD & 4 PowerIQ
【発売】アンカー
【実売価格】 3499円
【URL】https://www.anker.com/jp/
USB-Cポートはパワーデリバリーに対応しておりノート型Macも充電できます(MacBook Airは除く)。USB-Aポートは1ポートあたり2.4Aの給電が可能なので、4台のデバイスを充電できます。
PowerPort I PD – 1 PD & 4 PowerIQ Power Plus 3 13400mAh DANBOARD version
【発売】cheero
【実売価格】 3980円
高品質なバッテリセルを採用することで安心安全を謳うモバイルバッテリの定番。1Aと2.4Aのポートを備えており、前者をiPhone、後者をiPadと使い分けることができます。
29W USB?C電源アダプタ
【発売】アップル
【実売価格】 5200円(税別)
【URL】https://www.apple.com/jp/
実は旅行に最適な電源アダプタなのが12インチMacBookに付属するこの電源アダプタ。出力は1ポートしかありませんが、USB-C – Lightningケーブルを使えばiOSデバイスを高速充電できます。
緊急時の裏技的なバッテリ充電
USB-Cで充電するノート型のMacは、以前より電源供給の自由度が高くなっています。かつてのマグセーフ電源アダプタは、コネクタ部分の仕様が公開されず、サードパーティが参入できませんでした。モバイルバッテリをMacBookで使うために、純正のマグセーフエアラインアダプタからマグセーフコネクタを切断するという加工が必要だったくらいです。しかし、標準規格であるUSB-Cなら汎用の電源アダプタが作れますし、実際にパワーデリバリー対応のモバイルバッテリも登場しています。
ただし、PD対応でなくてもMacBookを充電できる場合があります。あくまでも緊急時の裏技なので、常用はおすすめしませんが、12WのUSB充電器やモバイルバッテリでも、USB-AtoUSB-C変換ケーブルを利用することで、MacBookを充電できました。さすがに電力が弱いのでMacBookの負荷が高いときは充電されず給電のみになりますから充電に専念させるにはMacBookをスリープさせましょう。
なお、充電器やモバイルバッテリ側に複数のポートがある場合は、ほかのデバイスをつなぐのはやめましょう。充電が止まったり過負荷になってしまう恐れがあります。
12WのUSB電源アダプタと12インチMacBookをUSB-A to USB-Cの変換ケーブルで接続すると、限定的ながら充電が可能です。なお、もう一方のポートに別のデバイスをつなげると給電されなくなりました。
MacBookの電力状況を詳しくリアルタイムで知るには、「Battery Health」のようなソフトが便利です。バッテリの年齢や温度、消費電流などもチェックできます。
MacBookを使う前にバッテリを空にする儀式
かつてノート型Macを購入した際にいったんバッテリを空にするという「儀式」が流行ったことがあります。これを未だに続けている人も見受けられますが、リチウムイオンバッテリを搭載した現在のMacBookやiOSデバイスでは意味がないばかりか別のリスクがあります。
元々この儀式は、ニッケル水素バッテリで起こるメモリ効果をリセットするために始まりました。メモリ効果とは、つぎ足し充電すると使用できる容量が減るという現象です。現在でも、単三形充電池の充電器にはリフレッシュという放電機能がついた製品があります。また、実際の容量とインジケータの容量が食い違うときにカウンタをリセットする意味でも、正しいトラブルシューティングでした。しかし、これらは過去の常識です。
しかも、MacBookのバッテリを空にするには、負荷をかけて放置することになりますが、リチウムイオンバッテリでは高温はもっとも避けるべきです。
アップルもMacBookの利用温度範囲は10℃から35℃と明記しており、負荷をかけたMacBookを放置するとこれを超えることが考えられつので、絶対にやめましょう。
【バッテリ容量】
最近のiPhoneの内蔵バッテリの容量の一覧です。モバイルバッテリの容量で何回充電できるか参考にしてください。iPhone X:2716mAh、iPhone 8:1821mAh、iPhone 8 Plus:2691mAh、iPhone 7:1960mAh、iPhone 7 Plus:2900mAh。
【偽物に注意!】
Amazonなどの通販サイトでは、アップル純正の電源アダプタとそっくりな偽物と思われる製品が数多く出品されています。かなり粗悪な製品が多く、まさに「安物買いの銭失い」になりかねないので購入はおすすめできません。