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「Macの電源/バッテリ」の基本

「Macの電源/バッテリ」の基本

これがなければ始まらないMacを動かす電気の話

「コンセントに挿す」から始まる電気製品の取扱説明書を見るにつけ、「それって必要?」と首をかしげていましたが、サポートセンターの人に話を聞いてみると、やっぱり必要なのだそうです。それぐらい当たり前すぎて、うっかりその存在を見過ごしてしましまいがちな縁の下の力持ちの「電気」。あらゆる電気製品と同様に、MacにしろiPhoneにしろ、電気がなければ動作しません。そこで今月は、Macの電源やバッテリにスポットを当てます。

というわけで、まずは電気について説明をしたいのですが、ザックリしすぎてどこから手をつけていいかわかりませんよね。そこで、コンセントからMacまで電気が流れる仕組みから解説したいと思います。学校で習った「直流」「交流」といったキーワードも登場しますが、難しく捉える必要はありません。Macの電源ユニットがどんな働きをしているのか、それがイメージできればOKです。

電気の仕組みがふんわりとわかってくれば、対象機器にマッチした電源アダプタを選ぶことの重要性も理解できるようになるでしょう。幸い、アップル製品に付属する電源アダプタは、ワールドワイド仕様です。そのため日本とは電圧が異なる国でもそのまま利用できるので、海外出張や旅行の際にも大いに活用したいですね。もちろんiPhoneやiPadなどモバイルデバイスの充電器は旅の必須アイテムの1つですが、渡航先のコンセントの形状に合った変換プラグも重要です!

さて、Macを動かす電気はコンセントから取り込むだけではありません。ノート型MacからiOSデバイス、そしてワイヤレスマウスやキーボードなどの周辺機器に至るまで内蔵バッテリで動くものも多くあります。

アップルの製品に使われているリチウムイオンバッテリには、耐用年数や充電回数の目安が設定されており、一般的に約500回程度の充放電で新品の60%まで容量が減少するとも言われています。では、毎日充電したら500日しか保たない? そんなことはありません。知っているようで意外と知らないのが、バッテリの充放電サイクル。どこからどこまでを1回と数えるのでしょうか? そしてバッテリを長持ちさせるための秘策「トリクル充電」なども知っておいて損はありません。

最近ではiPhoneの高速充電やワイヤレス充電対応が話題になりましたが、充電1つとってもいろいろな方法があります。また、実際の充電方法に加え、「バッテリは、1度空にしてから充電すべき」の真相など、バッテリの常識・非常識なども併せて紹介します。当たり前の電気を当たり前に知ることも、Macの使いこなしにつながるでしょう。

これだけは知っておきたいコトバ

[直流・交流]

流れる方向や勢いが一定の電気の流れを「直流(DC)」、流れの方向や電圧が周期的に変化する電気の流れを「交流(AC)」といいます。家庭用コンセントから供給される電気は「交流」であるのに対して、多くの電気製品は「直流」を利用しています。

[電源アダプタ]

上記のとおり、コンセントから受け取る交流の電気を直流に変換して出力先の機器に渡すための機器。大型の電気機器では、本体内部の電源ユニットが変換しています。

[バスパワー]

ホストとなる機器(主にパソコン)からUSBケーブルを使って電力を供給します。これによりポータブルストレージやキーボードなどの周辺機器を動かすことができます。

 

【基本1】アップル製品を動かす電気の仕組みを知ろう

コンセントからの電気がMacに流れるまで

普段当たり前に使っている家電製品と同様に、MacもiPhoneも電気の力で動いています。「それはわかってるけど、どうやって?」の部分を探っていきましょう。

まず自宅でMacを使用するときは、家庭用のコンセントとMacを電源ケーブルでつなぎます。一見、右から左に電気を流しているだけに見えますが、実際にはコンセントに供給されるAC(交流)100Vの電流は、そのままでは一般的な電気製品に使えないためDC(直流)に変換する必要があります。これは、パソコンをはじめとした多くの電気製品がDCで動作するためです。そして、ACからDCへの変換作業を担っているのが、電源ユニットです。デスクトップ型のパソコンでは、多くの場合本体内部に設置されますが、ノート型パソコンやスマートフォンなど薄型、小型の電子機器では、電源ユニットを内蔵した電源アダプタを使用します。この電源ユニットがどんな働きでACをDCに変換するか、概念図をざっくりと見て見ましょう。

コンセントからデバイスまでの電気の流れ

家庭用のコンセントから供給できるAC(交流)100Vの電力を、そのまま使っている電気製品はほとんどありません。多くの場合、整流や平滑化といった過程を経てMacなどの電気製品に送られています。この作業を担っているのが電源ユニットです。

[コンセント]コンセントからAC(交流)を取り込みます。

[整流ブリッジ]ダイオードを使って、AC(交流)をDC(直流)に整流します。

[平滑化]一旦整流したDCをコンデンサを用いて平滑化します。平滑化とは、電気の波形にムラがないよう滑らかにすることです。

[スイッチング]スイッチングによって再度ACの高周波を作り出し、高周波トランスを通して出力側に送り出します。

[整流~平滑化]高周波のACをダイオードで整流し、出力コンデンサで平滑してパソコン向けのDCを生成します。

[動作の調整]制御回路を介してスイッチング動作を調整、電圧の安定化を図ります。

[出力]パソコンなど、出力先のデバイスに電力を送ります。

ワット、ボルト、そしてアンペアの違いは?

「ワット(W)」、「ボルト(V)」、「アンペア(A)」といえば、電気の単位ですよね。Macや周辺機器のスペックにも使われています。おそらくみなさん、小中学校の理科の時間に習ったはずなのですが、意外と忘れてしまいがち…。

たとえば「W」は電力の単位ですが、この電力の数値を導き出すのが電圧と電流です。このように、「W」、「V」、「A」は、それぞれ密接な関係があります。この機会に、電気の基本単位をおさらいしておきましょう。

ワット(W):電力

電気の仕事量=電気機器が消費する電気エネルギーの大きさを表します。また使用電力量の単位は「Wh(ワットアワー)」で表し、計算式は電力量(Wh)=電力(W)×使用時間(h)となります。

電力(W)=電圧(V)×電流(A)

ボルト(V):電圧

電気を流すために押し出す力を表します。日本の家庭に供給される電圧は100Vです。電圧は国によって異なるため、国内の電気機器を海外で使用する場合は注意が必要です。

電圧(V)=電力(W)/電流(A)

アンペア(A):電流

電気が流れる量を表します。電流には流れる方向が変化しない「直流」電流と、時間経過に伴なって流れの向きが変わる「交流」電流があります。

電流(A)=電力(W)/電圧(V)

【バッテリ】

バッテリは電池全般を指す単語ですが、記事ではパソコンやスマートフォンに広く使われる「充電式内蔵バッテリ」について言及しています。充電式内蔵バッテリは、「二次電池」や「蓄電池」と呼ばれることもあります。

【Ah】

Ah(アンペアアワー)は、1時間に放電できる量を表し、Ah=A(アンペア)×h(時間)で求めることができます。乾電池やモバイルバッテリなどに表示されることがあります。