Mac業界の最新動向はもちろん、読者の皆様にいち早くお伝えしたい重要な情報、
日々の取材活動や編集作業を通して感じた雑感などを読みやすいスタイルで提供します。

Mac Fan メールマガジン

MacBook 12インチ

おすすめポイントはココだ!

●もっとも薄く、軽量なのに性能に妥協がない

●汎用的なUSB-Cがモバイルの姿を変えた

●クラウドとの連係で拡張性は不要になる

●iOSデバイスとの親和性が高い(カラーもね)

軽くてもフルスペック

もっとも薄くて軽いのに、Macとしてフルスペックの性能を持つのがMacBook最大の利点です。もちろん、サイズのことだけを言うのであれば、より軽量なiPadプロでも多くのことができます。実際に筆者もiPadプロとMacBookの両方を使っていて、iPadプロの利点もよくわかっています。

しかし、Macでなければ快適に行えない操作やユーザ体験が確実にあります。たとえば、テキスト入力の快適さや、多彩なショートカットキー操作はその典型です。また、作業環境そのものを自分好みにカスタマイズできる柔軟さは、macOSに一日の長があります。

MacBookの良いところは、このMacとしての利便性が一切犠牲になっていないところです。OSが違うので単純な比較は難しいものの、よくあるウルトラライトPCはスペック追求のあまりパーツや機能の一部が見えないところで削られて、マシンとしてのバランスを崩していることがよくあります。購入した直後は気がつきにくいのですが、そうした細かな欠点は長く使っていくうえでストレスになってきます。MacBookでは、そのような制約に伴うストレスを感じたことはこれまでありません。

無論、プロセッサのスペック的には1.2GHz/1.3GHzと超強力というわけではありません。パフォーマンスを求めるのであればMacBookプロを選択すればよいだけの話です。その観点から、今回は上位モデルではなく1.2GHzモデルをイチオシさせてもらいました。なお、1.3GHzモデルは512GBというSSDのストレージ容量が魅力で、これ1台で完結させたいという場合には有力な選択肢になると思います。

ともあれ、自宅やオフィスでじっくりと腰を据えて作業するというよりは、あちこちに移動しながら短い時間で手早く作業するほうがクリエイティビティを刺激されるというタイプの人にはMacBookは最良のパートナーになると言えます。

また、より実務的な話では、日帰りの出張や打ち合わせで調べ物や資料を確認する程度の作業しか行わないとわかっているのであればiPadプロでも代用できますが、現場で即時に対応しなければならないことがあるときはMac

Bookのほうが確実です。以前は外出先で送られてきたZIPファイルがうまく展開できず文字化けしてしまったとき、iPadでお手上げだったことがあります。こんなとき、MacBookではいくらでも対処のしようがあります。

MacBookエアと比較して

その時代でもっとも軽いMacを選びたいという観点から、筆者はこれまで今は亡き11インチのMacBookエア(2011年モデル)を長く使ってきました。当時はそれなりに快適に使えたものの、基本設計や搭載されているテクノロジーが世代的に異なるため、12インチのMacBookと比べると使い勝手に雲泥の差があります。

まず、ディスプレイがレティナであるのは解像度の問題だけでなく、色の正確さや表現力が大きく異なります。MacBookエアではカスタマイズしたカラープロファイルを追加していましたが、MacBookではそうした小細工は一切不要で非常にクリアに見えます。パネルが光沢のあるグレアで映り込みが気になるという人もいますが、視野角の広いIPS液晶ではディスプレイの角度を変更しても見え方が大きく変わらないので不満を感じたことはありません。MacBookエアでは、特に水平方向の視野角が狭く少しでも視線がズレると著しく見え方が変わっていたので、どこから見ても色や輝度が変わらないのは感動的でした。

上下左右どちらも視野角が広い

軽量なMacBookはさまざまな状況で利用します。場合によっては机がないことも。Retinaディスプレイは上下/左右178度の視野角を持つため、不自然な姿勢でも表示の見やすさを維持できます。

また、感圧タッチトラックパッドもMacBookプロと同様で使いやすく、キーボードの横幅もフルサイズ規格のためゆったりしています。キータッチは第2世代のバタフライ構造キーは「カタカタ」と「パタパタ」の中間に当たるやや硬質なフィーリングで、好みもあるでしょうが概ね快適です。

トラックパッドの位置は近すぎる?

強めのクリックに対応した感圧タッチトラックパッドは、どこを押してもクリック感が得られるので操作性は優れています。ただし、キーボードと近すぎるため慣れるまでは誤タイプに悩まされました。パッド面大型化の思わぬ弊害でしょうか。

MacBookエアではキーストロークはあるものの「ペコペコ」という感覚で、何より長期間使うとキートップの塗装が剥げるのが難点でした(ちなみに同じMacBookでも初代は「ペタペタ」という印象です)。

フルサイズキーボードが快適

修飾キー以外のキーが通常のデスクトップ向けと同じフルサイズで、特殊な配列になっていないのがMacBookシリーズの利点です。そのため、テキスト入力などの作業が快適に行えます。

また、よくMacBookの弱点として挙げられるのは、USB│Cポートが1つしかない「拡張性の低さ」です。確かに従来のパソコン的な観点において、不安に感じる人の気持ちもわからなくはありません。充電しながら外付けストレージやUSBメモリなどの外付けストレージを使おうとすれば変換アダプタやハブが必要になります。しかし、周辺機器やiPhoneとの接続なども、すべてワイヤレスとクラウド前提で置き換わっていくという時代において、このiOSデバイスのような割り切ったインターフェイス仕様も納得が行くのではないでしょうか。

USB-Cをリケーブルできる

MagSafe時代と異なり、USB-Cケーブルは用途に応じて長さやデータ転送規格を選べます。充電メインなら付属の2メートルで十分ですが、より短いケーブルや長いケーブルが簡単に手に入ります。

USB-C -USB-A変換アダプタは必須

周辺デバイスとの接続はUSB-Cだけで完結させたいのですが、現状ではUSB-Aデバイスを利用するシーンも少なくありません。その場合は、「USB-C Digital AV Multiportアダプタ」(【価格】7400円)が必要です。

モバイルバッテリで充電できる

USB-C PDに対応したモバイルバッテリであれば、MacBookとiPhoneなどを同時に充電できます。外部電源が確保できない環境でも安心して長時間利用できるのはMacBookならではの強みです。

外部デバイスをたくさんぶら下げたい方はやはりMacBookプロにすればいいのです。そう考えると、MacBookエアの設計思想はまだパソコン時代のしがらみに囚われていて、一気に古臭いものに見えてきてしまいます。

もちろん、12インチのMacBookが現時点で最良の選択であるとはいっても、まだ完全ではないかもしれません。タッチIDはありませんし、フェイスタイムカメラの性能も480pと中途半端です。次期モデルで一足飛びにiPhone XのようなフェイスIDを採用してくれることを期待したいところです。

栗原亮

フリーの編集者/ライターときどき講師。MacBook片手に都内近辺を転々と移動するノマドワークスタイルを2006年頃から実践している。ほぼ毎日外出しているが、できれば引きこもってコタツで仕事したいと思っている。