そもそもマイニングって?
先述のとおり、ビットコインをはじめとする仮想通貨は、ブロックチェーンという仕組みによって取引台帳を共有しています。新しい取引が発生したときには過去のデータとの整合性を確認する作業が生まれ、それには膨大な計算が必要となります。そこで、有志のコンピュータに計算を手伝ってもらい、その報酬として仮想通貨を提供しようという仕組みを「マイニング」といいます。
ただし、マイニングで報酬を得るのは、決して簡単なことではありません。ビットコインでは、10分に一度マイニングのリクエストが発生しますが、報酬が支払われるのは一番に計算を完了したコンピュータのみ。計算が間に合わなかったほかのマシンにはまったく支払われません。今やビットコインのマイニングは高速なコンピュータを揃えたマイニング業者がしのぎを削っている状況であり、家庭用のコンピュータを使って報酬を得るチャンスは皆無だといっていいでしょう。
しかし、世の中にはビットコイン以外にも、およそ1100種の仮想通貨が存在しています。マイナーな通貨であれば、マイニングをしている人も少なく、報酬を得るチャンスがあるかもしれません。そこで実際に、MacBookプロを使って「ビットゼニー(BitZeny)」という仮想通貨のマイニングに挑戦してみました。
現実はそれほど甘くない
結論から先に行ってしまうと、MacBookプロでも技術的にはマイニングが可能ですが、やはり容易なことではありません。
まず、ビットゼニーの採掘を始めるためには、かなり複雑な準備が必要になります。大まかな流れは、(1)マイニングした仮想通貨を管理するために、ビットゼニーに対応した「ウォレット」サービスでアカウントを開設する。(2)開発環境の「Xコード(Xcode)」と追加ツールをインストールする。(3)集団でマイニングして利益を分配する「マイニングプール」という場所に登録する。(4)マイニングプログラムおよび関連ツールをインストールする。(5)マイニングを実行する、となります。このうち、マイニングプログラムのインストールやマイニングの実行は「ターミナル」による操作が必要となり、いくつもの命令文を入力して実行する必要が出てきます。多少はターミナルの心得がないと、思わぬところでつまづくかもしれません。
また、いくらマイナーな通貨とはいえ、マイニングにはそれなりの時間とCPUパワーが必要になります。ほかの作業をしながら片手間でマイニングも実行しておけるほど甘いものではありません。
また、マイナーな通貨は直接日本円に変更することがほぼ不可能なため、いったんどこかの取引所でメジャーな仮想通貨に変更してから日本円に換金するという手間が発生してしまいます。
以上のことから考えるに、実質的には労力に見合ったリターンは望めないといえますが、頑張ってマイニングしたマイナー通貨がいつか値上がりして大きな利益を生む可能性もあります。「将来性に賭ける」という点では、これもひとつの投資といえるのかもしれません。