STEP 1??取引サービスを選ぶ
POINT
●「取引所」と「販売所」の違い
●「現物取引」と「レバレッジ取引」の違い
まずは取引業者の選定から始まります。国内の仮想通貨の取引サービスは、現在16社が金融庁から「仮想通貨交換業者」として認定され、別の15社が登録申請中(みなし業者)という状況です。
取引サービスを選ぶポイントはいくつかありますが、まず最初に覚えておきたいのは、取引サービスには「取引所」と「販売所」の2種類があるということ。簡単にいえば、取引所はユーザ同士でビットコインの売買を行う場所であり、販売所は販売業者から売買する場所だといえます。細かな説明は割愛しますが、取引所は安値で買える可能性がある一方で、いざというときに売買が成立しない可能性があり、一方販売所は、割高になりがちですが、決済が簡単でスピーディに行えます。
また、取引サービスには仮想通貨そのものを売買する「現物取引」とは別に、証拠金を預けて保有する金額以上の取引を行う「レバレッジ(FX)取引」があります。証拠金の何倍の取引ができるかはサービスごとに異なり、その倍率を「レバレッジ」といいます。この取引は実際の値動きに対して何倍もの利益を得られますが、その分損失も大きくなります。
どのような仮想通貨を取り扱っているかも取引サービスによって異なります。ほかにも業者によって違いはいろいろありますが、まずはこうした違いに注目して取引サービスを選ぶのがいいでしょう。
主要ビットコイン取引サービス
この表に記載されている販売業者は、いずれも金融庁から仮想通貨交換業者として認定されています。
※1 この表で示した取引手数料以外にも、日本円入金手数料や出金手数料といった諸費用が発生します。なお、レバレッジ手数料とは、通貨の買い状態/売り状態を維持し続けること(ポジションを維持すること)で発生する手数料のこと。レバレッジ取引では、仮想通貨を長く保有していると日毎に手数料が発生することになります。
STEP 2??アカウントを登録する
POINT
●基本的に登録は無料
●本人確認に数日かかる
使いたいサービスに目星をつけたら、さっそくアカウントを登録してみましょう。基本的にアカウント登録だけであれば、WEBブラウザ上で誰でも簡単に行うことができます。もちろん、登録に費用はかかりません。
アカウントの登録自体は一瞬で完了しますが、実際の取引を行うには本人証明を完了させる必要があり、そのための処理が数日間かかります。本人証明を行うには、WEB上で個人情報を入力したあと、運転免許証などの身分証明書をフォームから送信します。その後、サービスの運営側が情報の確認を行い、登録した住所に本人確認書類を送付します。多くの場合は、その書類に記載されているコードをWEBサービス上で入力すれば本人証明が完了となり、晴れて入金や取引が可能になります。
アカウント作成の手順
DMMビットコインを例に説明します。まずWEBサイトで口座開設へと進み、パスワードなどを設定するとアカウント登録が完了します。続いて、運転免許証などをWEB上でアップロードし、本人確認手続きを行います。
数日経つと、設定した住所宛に圧着ハガキが到着します。その中に記載された認証コードをWEBサービス上で入力することで本人証明が完了します。DMMビットコイン以外のサービスも、現在はほぼ同様の流れになっています。
書留ハガキが届く場合が多いです!
STEP 3??入金する
POINT
●基本は「銀行振り込み」
●クレジットカードは割高に
本人証明が終わったら、いよいよ取引の始まりです。まずはビットコインを購入するための投資費用を入金しましょう。
どの取引サービスでも、もっとも基本的な方法は銀行振込による送金です。ただし、銀行の営業時間外や休日のタイミングだと入金が反映されるまで時間がかかってしまうため、サービスによっては口座振替の仕組みを利用した「クイック入金」という方法を設けているケースもあります。この方法を使えば、365日いつでも入金ができるため、買い時を逃さずに済みます。
なお、サービスによっては、クレジットカードで直接ビットコインを購入できる場合もあります。即時購入できるのはメリットですが、その分割高なレートになってしまうので注意しましょう。
入金の手順
DMMビットコインにはクイック入金という方法が用意されています。いつでも即座に入金が反映され、入金手数料も発生しないというメリットがあります。
ビットフライヤーなどでは、クレジットカードを使って直接ビットコインを購入できます。ただしこの場合のレートは通常の取引と異なり、また購入したビットコインは即時売却ができないなどの制約があります。
入金せずに買えるのがクレカのメリット!
取引サービス選びはセキュリティも肝心!
コインチェックの不正アクセス事件を契機に、ビットコイン取引業者のセキュリティに対する関心が高まっています。利用するサービスが信頼できるかどうかは当然気になるところですが、業務の実態は利用者から見えないのがもどかしいところです。ただし、一連の事件が引き金になり、金融庁が各「みなし業者」への聞き取り調査に乗り出しています。セキュリティへの取り組みが甘い業者は、これから徐々に淘汰されていくのではないでしょうか。一方で、ユーザ側の自衛も大切になります。なるべく2段階認証設定ができるサービスを利用する、2段階認証は必ず設定しておくといったことは、アカウントの乗っ取りを防ぐうえで重要だと言えます。
2段階認証を設定しておくことで、アカウントハックによる乗っ取りの危険を抑えることができます。忘れずに設定しておきましょう。
セキュリティ設定はマストです!
STEP 4??運用する
POINT
●0.001BTCなど少ない額でも購入できる
●思惑が外れても判断を遅らせない
無事口座に入金ができたら、いよいよビットコイン取引が可能になります。本稿執筆時点で、1ビットコインは115万円程度。115万円を用意しなければトレードができないと思う人がいると思いますが、そうではありません。最小購入額はサービスや取引方法によって変わりますが、たとえばDMMビットコインの現物取引なら、0.001ビットコインから購入できます。日本円にして1150円程度です。
STEP1で説明したとおり、購入方法には、「現物取引」と「レバレッジ取引」があります。レバレッジ取引では、証拠金を元に数倍の取引ができ、高い利益を出すことができますが、その分損失も高くなります。
レバレッジ取引では、「買い」からではなく「売り」から始められるのも特徴です。ビットコインを持っていないのに「売り」ができることに違和感を覚える人もいると思いますが、「そろそろ相場が下がる」と読んだときには、売りから入ることで利益を上げられるのです。
買いであれ売りであれ、レバレッジ取引で新規注文が有効になった状態を「ポジションを持つ」といいます。逆に、ポジションを手放して利益(損失)を確定することを「決済」といいます。
投資を行ううえでは、ほかにもさまざまな用語や覚えておいたほうがいい知識がたくさんあります。そのすべてを一度に覚える必要はありませんが、損失の拡大を防ぐための「損切り」の設定などは早めに覚えておくのがいいでしょう。
投資には、一度買ったらしばらく持ち続ける人、1日の値動きで何度も売り買いを繰り返す人など、人によってさまざまなスタイルがあります。それぞれに一長一短がありますが、共通して大切なのは、「思惑が外れたときに判断を遅らせないこと」です。「いずれ持ち直すかもしれない」と保留して、実際に持ち直すこともありますが、損失を増やすことのほうが多くなりがちです。これから投資を始める人は、ぜひ心に留めておきましょう。
チャート画面の見方
DMMビットコインの取引ツールをベースにチャートの見方や注文方法などを解説します。上の写真が実際のチャート画面です。サービスによってインターフェイスに多少の差がありますが、基本的な部分は共通しています。
(1)BID/ASK
「BID」とは売値で「ASK」とは買値のこと。同じ仮想通貨でも、売値と買値は微妙に(状況によっては大きく)異なります。持っている仮想通貨を売りたいときにASK(買値)を見て売り時を決めてしまうと、実際の売値がずれてしまうので注意しましょう。
(2)足種別(単位時間)
チャートの単位時間を変更できます。1分/5分/10分/1時間/1日/1週間など、さまざまな単位に変更できます。短期の値動きで売買する、長期間保持するなど、投資のスタイルによって基準にする時間単位は変わってきますが、細かな時間ばかりを追うのではなく、1日単位のチャートで大きなトレンドを見極めることも肝心です。
(3)チャートタイプ
チャートタイプには、簡単なラインで示す方法だけでなく、ローソク足(あし)で表示する方法があります。ローソク足とは、単位時間の始値、終値、高値、安値をまとめて確認できるチャート手法。チャートの分析を深めていくには、ローソク足がオススメです。
(4)テクニカル指標
テクニカル指標とは、値動きを元に示される補助線で、投資で売り時や買い時の参考にするための先人の知恵です。テクニカル指標はいくつもの種類がありますが、もっとも基本的な「移動平均線」の活用法は調べておくといいでしょう。
(5)トレンドライン
多くの投資ツールでは、チャートに自分で直線を引いて目安にすることができます。いわゆる「トレンドライン」と呼ばれるものは、下降相場ではローソクの上側を結ぶように引き、上昇相場ではローソクの下側を結ぶように引きます。実際のチャートがトレンドラインをまたいだタイミングが、トレンドの終焉と見ることができます。
買い方のノウハウ
(1)実際にビットコインを注文しましょう。注文には売りと買いがありますが、ここでは現物取引における買い注文の方法を見てみます。注文タイプを[ストリーミング]にすると、指定した数量で即座に注文を出せます。
(2)こちらはレバレッジ取引の注文パネル。基本は同じです。この場合、ビットコインをまったく持っていない状態でも「買(Ask)」を押せば買い注文を、「売(Bid)」を押せば売り注文を出せます。
(3)ストリーミング注文では、表示されている金額と実際の購入額がずれることがあります。[スリッページ]ボタンをオンにすると、差が開きすぎたときに注文をキャンセルできます。
(4)[決済同時発注]のボタンをオンにしておくと、注文と同時に損切りの注文予約もできます。「損切り:100000」であれば、注文してから10万円値が下がったとき、自動で決済してくれます。
(5)新規のポジションを持つときは[逆指値]での注文も覚えておきましょう。逆指値で「買」の場合、指定した金額を超えたら買い注文が有効になります。
指値と逆指値は間違えやすいので注意しましょう!
(6)逆指値などの予約注文を行うと[注文変更・取消]パネルに注文内容が表示されます。予約したものを取り消したくなったら[取消]ボタンでキャンセルしたり、[変更]ボタンで注文金額を変更したりできます。
売り方のノウハウ
(1)次にビットコインのい売り注文を行います。現物注文の場合、[口座照会]パネルを見ると、保持しているビットコインの数量や日本円換算の金額が確認できます。
(2)現物注文で買ったビットコインをすぐに売りたいときは、現物の注文パネル(ストリーミング)で所持しているビットコインの数量を入力し、[売(Bid)]をクリックします。
(3)「目標金額に達したら手放す」ときには[指値注文]を利用します。注文パネルで[指値]を選び、[売買]ボタンで[売]を、注文レートには売り注文を実行する金額を入力して[注文]ボタンを押します。
指値注文は、利益確定時(利食い)で利用することの多い注文方法です。
(4)いったん設定した指値注文の金額を変更したり、取り消したいと思ったときは、チャートに表示されている売り注文のマークをクリックして、変更や取り消しを選びましょう。
(5)レバレッジ注文の場合、[ポジションサマリ]や[ポジション照会]のパネルに[一括決済]や[クイック決済]などのボタンが表示されます。このボタンを押すと即座に決済を行うことが可能です。
(6)指値や逆指値の指定をうまく組み合わせると、損切りだけでなく、利益確定(利食い)のための売り予約もできます。
STEP 5??結果を確認、出金する
POINT
●確認と分析を行う
●「休むも相場」を忘れない
「多少変動してもビットコインを持ち続けて、増えるのを気長に待とう」という戦法だと結果を確認するのは先のことになりますが、細かな値動きで売り買いを繰り返す場合には、結果を確認/分析することも大切です。相場は自分の思いどおりにならないことも多いですが、失敗から学ぶことで、次のトレードに役立てることができます。「買いのタイミングが間違っていた」「もっと早く損切りすべきだった」など、いろいろなことに気がつくと思います。
また、レバレッジ取引を行う人は、「強制ロスカット」の存在も意識しましょう。強制ロスカットとは、損失が膨らんで純資産がマイナスになるのを防ぐため、強制的に決済されてしまうことです。そうならないように資産ギリギリでのトレードは避けるべきですが、強制ロスカットに遭ったあと、負けを取り戻そうと熱くなって追加入金し、さらに負けを増やしてしまう…ということは絶対に避けるべきです。「休むも相場」という格言があると覚えておきましょう。
取引の確認
DMMビットコインの場合は、[約定履歴]パネルで、これまでの履歴を確認できます。
パネルの並び順をカスタマイズして、約定履歴とチャートを見比べられるように配置すると、取引結果が分析しやすくなります。
出金の手順
DMMビットコインには、トレード口座とウォレット口座という概念があり、トレードでの利益を出金する場合はいったんDMMビットコインウォレットに移動させます。
現物取引でビットコインを所持している場合は、所持しているビットコインをウォレットに移動させることができます。ビットコイン自体を決済に使うなどの用途で役立ちます。
レバレッジ取引ではビットコインを出庫できません!
自分の銀行口座に出金したいときは、一旦ウォレット口座に移したあと出金指示を出します。サービスによって出金の手数料は変わってきます。
細かく出金すると手数料がかさむケースもあるので注意!
ビットコイン取引を助けるMacツール
ビットコインのチャートを、ざっくりでいいので素早くチェックしたい。そんなときに使えるのがこのソフト。このソフトは、本来日本円と外貨との交換レートを表示するためものですが、ビットコインにも対応しているのです。特に、通知センターに対応しているのがこのソフトの真の魅力で、ソフトを起動していなくても通知センターを引き出せば、チャートをチェックできます。
通知センターに表示させるには、システム環境設定の[拡張機能]パネルで設定を行いましょう。
ビットコインをはじめとする仮想通貨の相場を、メニューバーで常時表示してくれるソフト。実は、ビットコインの値段というのは、取引所によって微妙に異なるのですが、このソフトでは幅広い取引所に対応しており、使っている取引所の現在の価格を素早くチェックできます。ビットコイン以外の通貨に対応している点も魅力です。
メニューバーに表示させるソフトはいくつかありますが、このソフトは取引所の対応の広さとスッキリしたインターフェイスが魅力です。