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「理想の音質」を実現するHomePodの斬新なメカニズム

「理想の音質」を実現するHomePodの斬新なメカニズム

HomePodのもっとも革新的な部分は、そのオーディオ設計にあります。一般的に最良なリスニング環境を作りたい場合、スピーカは部屋の中にある家具や壁といった反射(もしくは吸音)する要素を考慮しながら、場所や位置を決めて固定します。より良い音の体験を作るためには知識はもちろん、経験やノウハウ、そして室内のレイアウトを動かすといった試行錯誤をする時間とスキルが求められるのです。

HomePodは、置かれた場所から部屋の音響構造を分析する「リアルタイムアコースティックモデリング」機能が備わっています。特別な設定は一切必要なく、部屋の好きな場所にHomePodを置くだけで素晴らしい音楽体験を手に入れることができ、家の中でどんな場所に持ち運んでも快適なリスニング環境を自動的に手に入れることができるのです。これはスピーカの新たな魅力にもつながります。HomePodが持つ「家庭での音楽の楽しみ方を再発明」というコンセプトの意味はここに尽きるのです。

この意図を読み解けば、スピーカユニットやマイクアレイなど、従来のスピーカとは少し異なったアプローチで実装されている内部ユニットに明快なロジックがあることに気づきます。複雑な機構を持つこの内部ユニットから得られるフィードバックを高速に分析し、緻密に制御するために高性能なCPUも必然と言えるでしょう。

HomePodはほかに比較対象となるものがない、極めてユニークな存在なのです。

最適な音響環境を自動分析する「リアルタイムアコースティックモデリング」

クオリティの高い音質を楽しむことを第一に設計されたHomePodには、置かれた場所に応じて自動的に最適な音響環境を分析、内部スピーカユニットを制御して再生する「リアルタイムアコースティックモデリング」というアルゴリズムが備わっています。部屋に置かれたHomePodは、6個のマイクアレイを使ってスピーカから流れる音やノイズ(生活音)などを測定。データはA8チップによって分析され、部屋の音響環境がモデリングされます。この結果に基づいてHomePodはボーカルや伴奏が部屋に合わせた最良のバランス(フルミックス)で再生されるように自動で調整を行うのです。

また、HomePodは1台だけだと基本自体はモノラルですが、ステレオ再生を楽しみたい場合には、HomePodをもう1台用意することで対応させることができます。2台の連係は自動で行われ、個々のHomePodが、互いの位置関係や距離を認識して役割を分担するのです。

HomePodはツイータから出る音などをマイクで収集し、得られたデータを分析することで部屋の広さや遮蔽物、壁といった音響を構成するバーチャルな空間をモデリングします。

得られたモデリングデータに基づいてツイータアレイはリバーブ(残響)などを考慮したサウンド環境を構築。壁に反射する時差なども考慮しながら緻密にサウンドを作り上げていきます。