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iPhone Xのスクリーンに宿る「スクエアクル」と「調和」

著者: 山下洋一

iPhone Xのスクリーンに宿る「スクエアクル」と「調和」

デザインが公表された時に、論争を呼んだiPhone Xのスクリーンの形状。そのデザインを模倣するスマートフォンが登場し始めたが、いずれもiPhone Xのような洗練されたものになっていない。同じように見えても、数学的に複雑な曲線を用い、そして全体のバランスも考慮したデザインに違いがあると専門家は指摘する。

四角くないスクリーン

「四隅まで一切の手抜きがないiPhone X」

米サンフランシスコに拠点を置くデザイン・コンサルタント「トールウエスト」のブラッド・スミス氏がミディアムに公開して話題となった投稿だ。

表面全体に広がるiPhone Xのスクリーンは、上部にトゥルーデプス(TrueDepth)カメラのためのノッチ(切り欠き)があり、四隅は丸みを帯びている。スマートフォンのスクリーンといえば、ビデオや写真、WEBサイトを無駄なく表示できる長方形が当たり前。iPhone Xのデザインが初めて公表されたときには、奇抜なデザインに賛否両論の声が上がり、かっこ悪いという人も少なくなかった。ところが、実際に手に取って確かめたユーザの間から、特にデザインコミュニティにおいて、細部まで計算されたデザインを評価する声が広がっている。

本体のコーナーと同じスクエアクルをスクリーンにも採用し、表面全体にディスプレイが広がるiPhone X。微細に変化するスクエアクルのカーブは製造が難しく、模倣端末は単純に角を丸くしただけのデザインになっている。

すべての角のデザインを統一

凹みと丸みで構成されているiPhone Xのスクリーンは、悪目立ちしそうな独特な形状であるが、使っていて不思議と違和感を覚えない。すべてがなめらかで、調和するようにデザインされているからだ。

四隅のカーブは角に円を合わせて丸くしただけの四角(rounded square)ではない。シンプルなカーブに見えるが、直線から少しずつ継続的に曲率が変化している。スクエアクル(Squircle)と呼ばれる四角(スクエア)と円(サークル)の特長を兼ね備えた形状のカーブだ。円を合わせただけの丸みのように突然湾曲し始めるポイントがなく、全体的にスムースで自然なカーブになる。スクエアクルの特長がよくわかるのがiOSのアイコンだ。iOS 7のときにスクエアクルでデザイン刷新されたアイコンは、ソリッドな正方形のようであり、円の丸みも感じさせる。絶妙なバランスである。

ノッチもよく見るとなめらかなカーブで構成されているのがわかる。上の小さな丸みが落ちきる寸前に、下の大きなカーブにつながっている。2つの曲線の組み合わせによるスムースなスロープが、大きなパーツであるトゥルーデプスカメラの存在感を和らげている。

アップルがデザインにスクエアクルを採用してきた歴史は長い。MacBookの筐体の角もスクエアクルであり、iPhoneやiPadの角もそうである。iPhone Xではスクリーンの角にも採用した。つまり、iPhone Xでは、筐体、iOSのアイコン、そしてスクリーンのすべての角が同じスクエアクルで統一されており、それがほかにはない調和を生み出している。

私たちはディスプレイは四角が当たり前と思い込んでいる。しかし、角が丸いスマートフォンに浮かび上がる四角いスクリーンを見て、デザインにフィットしていないように感じたことはないだろうか。ディスプレイパネルの進化によって、四角くないスクリーンをデザインできるようになった。それを活かさないのはデザインの手抜きなのである。

iPhone Xのコーナーに採用されている「スクエアクル」。変化していないように見える直線部分から、少しずつ曲率を変えながら湾曲しており、ソリッドな四角と円の丸みの両方の良さを備えたカーブになる。

四角に円を合わせたラウンデッド・スクエア。四角と円の交わる部分で直線からカーブに変わる。スクエアクルに比べると、直線から急にカーブし始め、四角のコーナーが削り取られているような感じになる。

切り欠き部分は、よく見ると単純に角を丸くしているのではなく、小さなカーブが直線に近づいたギリギリで逆向きの大きなカーブが始まる。なめらかなSスロープになっていることがわかる。

iPhone Xは、本体、スクリーン、Dock、アイコンのすべての角がスクエアクルで統一されている。従来の四角いスクリーンの端末と並べてみると、角が丸い本体と四角ディスプレイの組み合わせに違和感を覚える。