アナログとデジタルを結ぶ
これだけデジタル化が進む世の中でも、紙の手帳やメモ帳を手放せないという人は多いようです。実際に大手手帳メーカーでは過去20年間、ずっと前年超えで売り上げを伸ばしているところもありますし、電池切れや故障のない安心感は紙ならではでしょう。
確かに、紙に書けば、落として壊すこともなく、燃えでもしない限り、内容を閲覧できなくなることはありません。一方で、電子機器に入力すれば、配布や共有をラクに行え、別のデバイスからの確認も容易に行えます。
「ネオスマートペン(Neo smart pen)」は、紙とデジタル、両方のいいとこ取りができるペン型の入力装置で、特殊なパターンが印刷された専用ノートにこのペンで書くと、それがそのまま電子デバイス上で再現されるという製品です。
似た技術はほかにもありますが、パターン読み取りのためのペンが太くて無骨だったり、専用ノートの価格が高価だったりという問題点がありました。ところが、ネオラボ株式会社(NeoLAB株式会社)がリリースした「ネオスマートペンN2」は、2015年のiFデザイン賞を受賞したスタイリッシュなデザインと、リーズナブルなノート価格によって日常的に使える環境を作り出したのです。
ノートに使われている特殊パターンは、もし同じ密度で地球をすべて覆ったとしても、任意の箇所をペンで指せば、その座標を特定することができる精度を持っています。そのため、ノートが何百冊あっても、専用ペンで書いた瞬間に、以前にも書いたことのあるページなのか、それとも白紙の新しいページなのかを判別できるのです。そして、「ネオノート(Neo notes)」というアプリ内の対応するページへの追記や、新規ページとしての保存が自動で行われます。
描線の解像度は1インチあたり1100ドットで、256段階の筆圧も感知して反映されるため、このデジタルデータは、アナログのノートと必ず1対1で対応する正確なコピーです。
ビジネスシーンでも使える!
N planner自体はモレスキンノートに似た落ち着いた質感を持ち、カジュルユースはもちろん、ビジネスシーンで使っても違和感のないものです。正味176ページで、6~29ページが月間予定表、30~135ページが週間予定表、136ページ以降が罫線付きのメモとなっています。
ペンの先端にはカメラを内蔵
Neo smartpenは三角断面のスリムなデザインで高級感もあり、一般的な筆記具と同様の感覚で利用できます。実は先端部分にカメラが内蔵されていて、専用ノートのページに薄く敷き詰められた微細なパターンを読み取り、線が描かれた位置を正確に認識しデータ化するのです。
紙に書いた予定をデジタル化
そんなネオスマートペンに対応するノートに、新しくスケジュール帳の「Nプランナー(N planner)」が加わりました。
ほかの専用ノートのデータは、グーグルドライブやエバーノート、アドビ・クリエイティブ・クラウド、マイクロソフト・ワンノートにアップロードできますが、Nプランナーの特長は、iCal、グーグルカレンダー、アウトルックカレンダーと連係する点にあります。もちろん、それらのカレンダーアプリにアップロードされた予定に関しては通知機能や共有機能も使えるので、紙のノートにはないデジタルの便利さが加わるわけです。
方法は、アプリとペンをブルートゥースで紐付けしたら、利用したいクラウドサービスにログインし、使うカレンダーを選びます。また、文字認識を行う言語も選択しておきます。
同時に複数のカレンダーを選択することはできませんが、たとえば筆者はiCalにGメールアカウントを追加してグーグルカレンダーの予定も表示・書き込みができるようにしているので、アプリの設定でiCalを選ぶことでグーグルカレンダーにも反映されるようになりました。やり方は、グーグルカレンダーのヘルプページ(https://support.google.com/calendar/answer/99358?hl=ja)を参照してください。
同様に、認識する言語も1度に1つしか選べませんが、日本語の中に簡単な英単語が混じっていても認識されました。
あとは、Nプランナーの月間予定表か週間予定表のページの日付の枠内に、ネオスマートペンを使って「時間設定」+「予定の内容」の形式で書き込み、すぐにその枠の左隅にある日付の三角エリアをペンでタッチします。慣れないうちは誤認識もありますが、AMやPM、そして時間指定の際に2つの時刻の間に入れる「ー」をきれいなバランスで書くことに留意すれば、ほぼ確実に認識されるようになります。
ということで、使いこなしのコツは必要ですが、紙の手軽さと一覧性、デジタルの利便性を両立できるユニークな製品です。
専用アプリでペンを登録
N plannerは、無料の「Neo Notes」アプリでサポートされています。カレンダーと連係する際には、あらかじめ手順に従ってアプリにNeo smartpenペンを登録し、アプリ内の認証センターから目的のクラウドサービスにログインしたうえで、利用するカレンダーを選択するようになっています。
手書き文字をテキストデータに
N plannerに手書きで書き込まれた情報は、アプリ上ではそのままベクターデータで表示されますが、カレンダーへの転送時に自動で文字認識が行われ、テキストデータとしてアップロードされる仕組みです。そのため、変換に使う言語を設定画面から選んでおきます。
書き方に少しコツが必要
専用ノートに書いたメモや予定は、瞬時にアプリに反映されます。時刻や時間帯に続けて用件を書き、日付の三角エリアをペンでタッチすると予定として認識され、カレンダーにアップされます。時刻は数字+大文字のAMかPMで指定し、時間帯は長めの「ー」でつないでください。
iCalやGoogleカレンダーと同期
Mac上のiCalとiOSの「Googleカレンダー」アプリに転記された画面です。時刻のみだと1時間の予定として、また、時間帯で指定するとその範囲に書き込まれます。分単位での指定も「11:30AM」のように書くことで反映されますが、「0PM」のような1桁の「0」は認識されにくい印象なので、斜め線入りのゼロを使うと良いでしょう。
[SPEC]
Neo smartpen N2 + N planner 2018
【発売】NeoLAB
【価格】ペン:1万5800円、ノート:2018円
【URL】https://www.neosmartpen.com/jp/
【主なスペック】
【重量】ペン:22g(キャップを除く)、ノート:381g 【備考】Neo smartpen:長さ156mm/太さ11.5~11.8、バッテリ:満充電まで2時間、連続筆記5時間、通常使用8時間、対応OS:iOS 8.1 以上(iPhone 5 以上)/Android Jelly Bean 4.1.2以上/Windows 10、N plannnerのサイズ:A5版(140x205mm) Neo smartpenの専用ノートは、紹介したN plannner以外にも、簡便なメモノートブックからスタイリッシュなプロフェッショナルノートまで12種あり、モレスキンデザインでも対応製品が発売されています。【URL】https://www.neosmartpen.com/jp/
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大谷和利
とテクノロジーライター。AssistOnアドバイザー。