意図を感じるデザイン
iMacプロの外観をチェックしてみよう。デザインはiMacを踏襲しているが、スペースグレイを基調としたデザインになっているのが特徴だ。過去を見ても、スペースグレイ、いわばブラックを基調としたのは、ディスプレイに液晶を採用した世代のiMacとしては初めてのことだ。CRT世代ではDVモデル(1999年)以降の上位機種にグラファイトカラーが存在したが、ブラックの筐体を採用したのはMacintosh Performa 5440(1996年)で、一体型モデルとしては実に20年ぶりとなる。付属の周辺機器もすべて本体と同じカラーで統一されている。マジックキーボードはもちろん、マジックマウス、オプションであるマジックトラックパッドも専用カラーが用意されている。さらに電源ケーブルやライトニングケーブルまで同色が同梱されているという徹底ぶりだ。
外寸に関しては高さ、幅、スタンドの奥行きともに通常の27インチのiMacとの違いはない。重量のみが、後述する冷却機構と給電機能の再設計の影響もあってか、わずかに約260グラム増えて、9.7キロとなっている。
ディスプレイは5K解像度を持つ27インチタイプのみが採用されており、21インチモデルは提供しない。性能面に関しては先行する2017年の世代と同様に10ビットカラーに対応し、輝度は500ニト、カラースペースは広色域に「DCI-P3」対応した最新タイプになっている。
革新は裏側に
違いを感じるのが背面だ。インターフェイス類、たとえばサンダーボルトはほかのMac同様に2から3に変更されており、ポート数も4つとiMacより2個多く搭載されている。加えてUSB 3(タイプA)が4つ用意されているため、最大8つのUSB機器をハブなしに直接接続できる。周辺機器を多用するヘビーユーザにとってはかなりの朗報だろう。
仕様が異なるのは、実はサンダーボルトだけではない。SDカードスロットは最大転送速度が312MB/sの「UHS-II」規格に、イーサネットポートは従来の10倍の転送速度になる10ギガビットベース規格にそれぞれ対応した。これはどちらもMac製品では初めてのことだ。
最後に、iMacプロを購入するうえで注意しなけばならないのがメモリだ。従来までの27インチモデルには、背面にメモリスロットにアクセスするためのコンパートメントドアがあり、ユーザ自身がここを開けて増設が可能だった。iMacプロはこれがなく、標準構成よりも大きなメモリを搭載したい場合には、アップル公式WEBサイトのCTOオプションで事前にアップグレードしておく必要がある。
FRONT
筐体の基本的なデザインに関しては、現行のiMacを踏襲。カラーバリエーションは「スペースグレイ」のみ。漆黒のボディは「プロ」の称号にふさわしい雰囲気を醸し出す。
TOP
サイズは27インチモデルに完全に準拠しているため、今まで設置していたスペースにそのまま差し替えることができるように配慮がなされている。
SIDE
薄さや奥行きもiMac27インチと同じだ。ディスプレイの角度もiMacと同様「角度調節ヒンジ」を動かして設定する。カスタマイズ時に8800円を追加して「VESA Mount Adapter Kit for iMac Pro (スペースグレイ)を設置できる。
REAR
メモリにアクセスするコンパートメントドアがなくなった一方で、新たに吸気用のスリットが筐体下部に設けられた。ほぼ横幅いっぱいに広くとられていることが、冷却に必要とされる熱交換量の多さを物語っている。
INTERFACE
利用できるポート類は種類、数ともに近年では最大の仕様に。特にSDカードスロットとEthernetの高速化はプロユーザから長らく機能強化を望む声も多く、ようやく実用的になったともいえる。
DISPLAY
ディスプレイサイズは27インチモデルのみ。5Kサイズの解像度、10ビットカラー、そして「DCI-P3」規格の色域対応という仕様は、明らかに4K HDR編集を行うプロユースを強く意識しているだろう。
同梱物
Magic Keyboardはテンキー付きモデルのみ。Magic MouseとMagic Trackpadは同時購入のみスペースグレイが選択でき、別売りはない。さらには同梱されているLightningケーブルもスペースグレイというこだわりぶり。