すっかり影の薄くなったラジオですが、インターネット配信のおかげで再び盛り上がりつつあります。Macでラジオを120%楽しみたいあなたのために裏ワザをお教えします!
Macでラジオをもっと楽しむ
深夜のラジオは楽しい
深夜作業に欠かせないのがBGMです。私は、普段アップルミュージックを流していますが、ときどき物足りなく感じることがあります。不思議なことに、パーソナリティのトークや時々差し挟まれる天気予報や交通情報などが流れるラジオのほうが、音楽だけよりも何となくリラックスできるのです。これは学生時代からの刷り込みなのかもしれません。
しかし、昔と比べるとラジオを聴いたり録音する機材はあまり豊富にあるとはいえません。先日、たまたまネットで見かけた新製品の「ラジカセ」に思わず手が出そうになりました。しかし、録音メディアがカセットテープということを思い出し、踏みとどまることにしました。なぜなら、音質のことはさておき、90分のカセットテープには128kbpsの圧縮音源換算で90MB程度の音声しか保存できないわけです。しかも1本200円弱するのですから、コストパフォーマンスは最悪です。
デジタルのほうが不便?
だったらインターネットラジオもしくはIP配信のラジオでいいではないかと思うかもしれません。ですが、話はそう単純ではありません。インターネットラジオは結局のところ特定のテーマの音楽を流しているだけですし、IPラジオは著作権の問題があります。
特にラジコ(radiko)は、過去1週間の番組を遡って聴取できるというデジタル時代にふさわしい素晴らしい機能があるのですが、地方のラジオ局を聞こうと思ったら月額350円のサブスクリプションに加入する必要があります。そのくらいなら支払ってもいいかもしれませんが、今回はなるべく無料でできる方法を模索してみることにしました。
まず、試したのが「マイチューナ・ラジオ(myTuner Radio)」というソフトです。標準で100以上のラジオ局が聴取でき、地方のラジオ局やポッドキャストも含まれているのでなかなか快適です。気に入った音楽をあとで聴き直したいときは、最近アップルに買収された「シャザム(Shazam)」を起動しておいてiTunesで購入するという連携技を編み出しました。これだけでもかなりラジオ環境は充実した気がします。
(1)「サンスイ」ブランドのラジカセ「SCR-B2」は80年代テイストですが、Bluetooth 4.2にも対応した正真正銘の新製品です。AM/FMワイドバンドに対応し、もちろんラジオの録音もできます。【URL】http://www.sansui-doshisha.jp/
(3)ラジオ番組のインターネット配信で一番有名なのは「radiko.jp」でしょう。日付を遡って聴けるタイムフリーなど利便性も高いのですが、エリア外の番組聴取は月額350円のプレミアム会員登録が必要です。【URL】http://radiko.jp
(4)ラジオが聴けるMacソフトとしては「myTuner Radio」が使いやすいです。無料版だと一定時間経過すると確認のダイアログが表示されるので、プロ版(【価格】1200円)も検討しましょう。
(5)myTuner Radioで再生中に「Shazam」も起動しておくと、自動的に楽曲名を取得してくれます。[iTunes]または[Apple Music]のリンクをクリックするとiTunesストアに移動してそのまま購入したり、Apple Musicのメンバーであれば視聴できます。
お気に入りの番組を録音する
仮想オーディオを導入
ところが、Macでラジオを聴き始めるようになったら少しだけ欲が出てしまい、不在時に放送される番組も聴きたくなってしまいました。前述のようにラジコのタイムフリー機能を利用するという方法もありますが、できれば自動で予約録音したいものです。
そこでソフトをいくつか探してみたのですが、Macのソフトから流れる音声の録音には、ループバック録音という方法が必要です。そして、そのためには仮想オーディオデバイスのプラグインが必要となります。これまでこの種のプラグインは「サウンドフラワー(Soundflower)」というソフトが有名でオープンソースで開発が続けられていましたが、macOSのアップデートに追随できず不具合が発生するケースもあるようです。
その代わりのソフトとして「ループバック(Loopback)」があります。これはもともと「オーディオハイジャック(Audio Hijack)」という定番ソフトの開発元で信頼は置けますが、継続利用は有料なのがネックです。そこで今回は無料で利用できる「クワテック・オーディオ・ループバック(kuwatec Audio Loopback)」を利用することにしました。
ラジオの予約録音に成功
少しだけ準備に手間がかかりましたが、仮想オーディオを登録すれば、あとは「ラジコロ(radikoro)」というソフトを用意して、設定で仮想オーディオを指定すれば番組の録音が可能です。ただし、仮想オーディオを音源に設定した際の録音中はラジオの音声が再生されない点は注意が必要です。
本来ですとラジコロには仮想オーディオ使用中もラジオ音声を再生する独自の設定があるのですが、筆者の環境(ハイ・シエラ)ではうまく動作しませんでした。その代わりに、音声を出さなくても困らない余ったMacを利用してラジオ番組を予約録音してファイルを保存しておき、ラジオサーバとして利用しています。
なかなか一筋縄ではいかないMacでのラジオ利用ですが、環境を構築してしまえば快適に利用できますので皆さんも試してみてください。
(1)ループバック録音をするには、仮想オーディオデバイスをインストールする必要があります。以前は「Soundflower」が定番でしたが、動作に不具合があることがあるのでここでは「kuwatec Audio Loopback」を利用しました。開発元が未確認なので副ボタンクリックで開きます。
kuwatec Audio Loopback
【開発】クワテック株式会社
【価格】無料
【URL】http://www.kuwatec.co.jp/preflight/jp/man/contents/audiorec.html#osx
(2)インストール時に機能拡張がブロックされたら、システム環境設定の[セキュリティとプライバシー]パネルで[許可]をクリックし、ブロックされている開発元にチェックを入れてインストールを続行、インストール完了後は再起動します。
(3)インストールされているとQuickTime Playerのオーディオ収録機能などで入力先のリストに表示されます。しかし、ここで仮想オーディオを選んでいる間はラジオアプリの音声が聞こえないなどの問題があります。
(5)設定画面を表示し、[録音]タブで音声の入出力を設定します。[入出力源]には仮想オーディオデバイスを指定します。[録音中も音を出す]にチェックを入れると録音中も聴取できますが、残念ながら筆者の環境では保存に失敗しました。
(6)radikoroには予約録音機能もありますので、お気に入りの番組がある場合はあらかじめ登録しておきましょう。