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ハイ・シエラサポート外のMacを復活させる

著者: 栗原亮

ハイ・シエラサポート外のMacを復活させる

最新のHigh Sierraにアップデートできないちょい古Macを延命する方法を見つけました。実際にタワー型Mac Proで試してみます。

「ちょい古」Macが非サポート

毎年のように新製品が投入されるiPhoneやiPadに比べると、Macの進化スピードがやや緩やかになっていると個人的には感じています。4~5年程度前のモデルであれば、最新版のmacOSであるハイ・シエラもインストールできますし、ディスプレイがレティナ対応でないということを除けば不満は感じません。むしろ、ストレージがオンボードSSDになる前のMacBookなどは、内蔵HDDをSSDに自分で換装できるので、かなり現役に近いパフォーマンスで使えます。

ところが、2016年のシエラ以降はサポート対象から外れるモデルが増え、2008年より前のモデルではアップデートできなくなってしまいました。古いOSのまま使い続けるのはセキュリティ上の問題もありますし、こうした「ちょい古」Macは諦めるしかないのでしょうか。

非公認パッチで救済可能?

実は我が家にもサポート対象外となったMacプロ(Early 2008)があり倉庫でホコリを被っていたのですが、どうやらこれを復活する方法があるのを知りました。アップル非公認の「ハイ・シエラパッチャーツール」を利用することで、シエラ以降のmacOSがインストールできるというのです。

タワー型Macプロはメモリやストレージの増設も簡単ですし、最新のOSが使えるのであればまだまだ現役で利用できるかもしれません。ファンの音が煩いなど年代物ならではの不満や、若干怪しげな匂いがするので不安もありましたが、どうせ使っていないマシンですからリスクはないと判断し、試してみることにしました。

ところが、このパッチツールの解説を読んでいると、ちょい古Macであれば何でも利用できるということはなく、非対応のモデルも多いことがわかりました。2008年のMacBookでも利用できない場合がありますので、事前に機種IDを確認しておく必要があります。

また、すでにエルキャピタンがインストールされているMacの場合は事前にSIP(System Integrity Protection)を無効化しておく必要があるなど、ハードルはやや高めです。

(1)macOS SierraおよびHigh Sierraで対象外となってしまったMacの一例です。おおよそ8年以上前のMacが該当しますが、ハードウェアを増設できる一部のモデルでは、まだまだ使えるものも少なくありません。

(2)macOS Sierra Patcher Toolがサポートしているモデルの一覧です(このほかXserveも対象です)。かなり限定的ではありますが、機種IDが該当する場合は、High Sierraをインストール可能になります。

(3)機種IDを確認するには、[このMacについて]から[システムレポート]を選択し、システム情報の[ハードウェアの概要]から[機種ID]の項目をチェックします。あとで必要になるのでメモしておきましょう。

(4)倉庫に放置されていたMac Pro(Early 2008)はOS X 10.8 El Capitanまでしか対応していませんが、上記の対象モデルだったので、こちらにパッチを当てていきます。

(5)事前準備としてSIPの無効化が必要です。[command]キー+[R]キーで再起動し、「OS Xユーティリティ」が表示されたら[ユーティリティ]→[ターミナル]を起動し、「csrutil disable」と入力し、[retern]キーを押します。

(6)macOS High Sierra Patcher Toolをダウンロードします。開発元が非公認なのでコンテキストメニューの[開く]を選び、[開く]ボタンをクリックします。また、8GB程度の余ったUSBメモリを用意してディスクユーティリティで「OS X 拡張(ジャーナリング)」で「GUIDパーティション」を選んで初期化しておきます。

(7)[Tools]メニューから[Download macOS High Sierra]を選択して、インストーラのイメージをダウンロードします。メインウインドウの左側のアイコンをクリックしてインストーラを指定し、右側のアイコンで接続したUSBメモリを選択してコピーを実行します。

macOS High Sierra Patcher Tool

【開発】Collin Mistr

【価格】無料

【URL】http://dosdude1.com/highsierra/

 

最新macOSをインストールしてみる!

機種ごとに異なるパッチ

ここから先の手順は、完全に自己責任となります。筆者ならびに編集部は一切の補償もサポートも致しません。また、アップルの利用規約に抵触するおそれもありますのでリスクを納得したうえで試してください。

なお、一部の機種ではインストール後にWi−Fiが利用できなくなる不具合もあるようですが、Macプロはもともとイーサネット接続で使いますので、こちらは気にせず進めました。

さて、前ページで仕込んでおいたハイ・シエラパッチャーツールで作成したUSBメモリからMacプロを起動しました。すると、見慣れないウインドウが表示されますが、ここからディスクユーティリティを起動して内蔵ボリュームを初期化したりできます。今回はそのまま、ハイ・シエラの上書きインストール(アップグレード)を実行しましたが、通常の再インストールとほとんど同じ感覚で進められます。

macOSのインストールが終わり、再起動がかかると進入禁止マークが表示されてしまいます。失敗したのかと焦ってしまいますが、ここで再びUSBメモリから再起動する必要があるのです。パッチツールウインドウから後処理ツール「macOS Post Install」を起動すると、ここでは機種ごとの細かな設定が表示されますので、事前に調べておいた機種IDを選択し、必要に応じてそのほかの設定もカスタマイズしてパッチを実行します。設定項目には環境光センサやUSBギガビットイーサネットアダプタに関する項目があり、ハードウェアドライバにパッチを当てている模様です。

ハイ・シエラが動いた!

パッチ適用後に再起動すると無事デスクトップが表示されました。これまで非サポートで諦めかけていたことを思えば感動もひとしおです。インストールするボリュームをHDDではなくSSDに換装しておけば新しいファイルシステムであるAPFSにも対応するので、パフォーマンスの向上が期待できます。

いつまで現役として使えるかは未知数ですが、ちょい古Macの処遇にお困りの方には魅力的な裏ワザといえるでしょう。

(1)パッチインストーラの準備ができたら[option]キーを押しながら再起動して、パッチが入ったUSBメモリを選択してインストーラを起動します。

(2)通常のインストーラと異なり、このようなウインドウが表示されます。新規インストールしたい場合は[Disk Utility]でボリュームを初期化しておきます。

(3)上書きインストールする場合は[続ける]をクリックして内蔵ボリュームを選択してインストールを実行します。インストール完了後は、再び[option]キー起動でUSBメモリから起動します。

(4)[macOS Post Install]を実行します。Macの機種IDを選択し、そのほか機種により設定項目は異なりますが必要なものを選択して[Patch]をクリックします。

(5)パッチを当ててから再起動すると、今度は通常どおりに起動します。自動でパッチのアップデータが表示されることがありますので、追加のパッチをインストールしておきます。

(6)システム情報を確認すると、本来は非サポートであるMacに最新のmac OS High Sierraがインストールされていることが確認できました。

本当に不要なものはメルカリで処分しよう

今回は、半ば強引にHigh Sierra非サポートMacを現役復帰させる方法を紹介しましたが、アップル非公認の方法ですしMacを破損させるリスクもあります。もし、そこまでする必要がないのであれば、初期化したうえで中古ショップやネットオークションなどでお金に変えて、新しいMacの購入資金の足しにしましょう。

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