ベルキンは、1980年にガレージで生まれ、MacやiPhone/iPadに対応する数々のアクセサリを世に送り出してきた老舗のアクセサリメーカーだ。そのベルキンが都内で開催した事業戦略説明会では、老舗アクセサリメーカーがこれまで生き抜いてこられた理由を垣間見ることができた。
ガレージから始まった
10月12日、ベルキンが都内で事業戦略説明会を開催した。今回が初来日となるベルキンインターナショナルの創業者兼CEOチェット・ピプキン氏、同社副社長兼ゼネラルマネージャーのスティーブン・マロニー氏に加え、ベルキンジャパンのナショナルセールスマネージャー石井靖人氏がプレゼンテーションを行った。
ベルキンは、1980年にピプキン氏の自宅ガレージで産声をあげた。それ以来、世界で初めてアップル認証を受けた製品を販売するなど、37年以上もの長きに渡ってアップル製品のアクセサリを生み出し続けてきた。ピプキン氏は、これまで続けてこられたのは、デザインや安全性などを重視してきた結果だと語った。
続いて登壇したマロニー氏は、同社が社内にデザイン部門を持ち、これまで数多くのデザイン賞を受賞してきたこと、製品を撮影するための写真スタジオを持っていること、製品開発のための機械工学ラボを持っていることを説明。自社で企画から製造まで行っており、自社完結スタイルであることを強調した。
iPodやiPhoneがブレイクして以降、それらのアップル製品に対応したアクセサリメーカーが次々と登場した。その中には、デザインも品質も粗末なものを海外に低コストで発注し、流行りに乗って利益を得るような会社もあった。当然ながらそうした製品はユーザの目が成熟するにつれ衰退していったが、ベルキンは、デザインにも品質にも、安全性にもこだわり、自社で生み出すことに徹してきたからこそユーザの期待に答え続けることができたのだろう。
変わるもの変わらないもの
同社はそうした「一徹さ」を持つ一方で、時代の変化に対して敏感に反応する姿勢も欠かさない。例えば、iPhone 8/8プラスやiPhone X向けのQiワイヤレス充電製品にもいち早く取り組んでおり、Qi充電のリーディングカンパニーを目指すと意気込みを語る。
今回のイベントで新製品に関する発表はなかったが、新しくなったiPhoneの液晶保護フィルム貼り器「トゥルークリアプロ・アドバンスドスクリーンケア(TrueClear Pro Advanced Screen Care)」を紹介する中で「端から端までカバーする保護フィルムも投入する」と発表。同社初のフレーム型保護フィルムを投入することも明らかにした。
最後に行われたQ&Aでは、「WEBサイト上に環境への取組についての説明がないが、どのような環境への取り組みを行っているのか?」との質問に対し、ピプキン氏は、シリコンビーチでいち早くソーラーパネルを設置したこと、製品の90%はリサイクル可能であること、自分が所有する車はすべて電気自動車であることなどを言及。環境への取り組みについて、かなり長い時間をかけて説明した。デザイン、品質、安全性、そして環境への配慮。こうしたものに真摯に取り組む姿勢はアップルと非常に似通っている。その点が実に印象的だった。