ロレックスを抜いて、世界第1位の時計となったApple Watch。最新版となるApple Watch Series 3では、携帯電話通信に対応したことで活用範囲が大きく広がります。また、デュアルコアプロセッサやワイヤレスチップの高速化、健康とフィットネスのための最新機能の搭載などを果たし、毎日の生活を変える究極のデバイスとして大きく進化しました。
「体験」を重視した改良
今回のイベントで真っ先に紹介されたのが、新しいアップルウォッチでした。第3世代となるこの「シリーズ3」の登場を待ち望んでいた人は多かったようで、アップル公式サイトなどでも最初の出荷分は予約初日でほぼ完売。その人気は日を追うごとに高まっています。
この急成長を支える要因とは何なのでしょうか。
アップルウォッチが従来のアップル製品と異なるのは、「常に身につけて使う」いう利用スタイルです。メッセージなどの通知を受け取ってすぐに内容をチェックできるといった「スマートウォッチ」的な用途だけでなく、スポーツなどのアクティビティや心拍数を記録して役立てる「ヘルスケア」ツールとしても優秀な性能を発揮するなど、他のデバイスにはない特性を持っています。
加えてアップルウォッチは、ファッションを強く意識しています。ケースは軽量さと頑丈さを兼ね備えたアルミニウムとステンレススチール、そしてエディションには高価なセラミックを採用。これは、高級時計における伝統的な「素材の序列」に完全に準拠しています。
さらにカラーバリエーションや2つのケースサイズ、ナイキやエルメスといったブランドとのコラボレーション、純正だけでも60種類を超えるバンドなど他のアップル製品と比較してもその充実度は圧倒的です。これからも「時計である」ことを強く意識したデザイン、マーケティングに徹しているのがわかります。
そして、時計以上の高い価値を提供するためのアプローチがシリーズ3には綿密に組み込まれています。その一端がまず、より高速化された内部のパフォーマンスです。多機能な「複雑時計」を超えるバリエーションを提供できるスマートウォッチは、誰が使ってもストレスがないレスポンスが高く求められます。
また、シリーズ3は新たにモバイル(携帯電話)通信に対応することで、iPhoneと一緒に持ち歩かなくてもさまざまなことが行えるようになり、より「独立した時計」としてのアイデンティティを高めました。将来的に、アップルウォッチが完全に単独のデバイスとしてアクティベートされ、使われるようになるところまで進化していくのは想像に難くありません。
それでも依然として丸一日以上連続稼働することができない、バッテリ寿命の問題はシリーズ3でも解決されていません。しかし、アップルは消費電力を節約し、時間を延ばすことよりも「使っているときの体験」を優先して設計しています。目先のスペック上の数字よりも、「一度使うと手放せない体験」をすることがアップルの魔法であることを、彼ら自身がよく知っているのです。
Apple Watch Series 1とSeries 3の違い
価格以上の性能差
シリーズ3と併売されるシリーズ1では、どの程度性能が異なるのでしょうか。
まずCPUチップに関しては、シリーズ3が最新世代の「S3」を搭載しているのに対して、シリーズ1は初代モデルのCPUをデュアルコアへと改良した「S1P」です。これが、全体のパフォーマンスや一部の機能への対応の有無などに影響します。
ワイヤレスチップ「W2」はシリーズ3のみ搭載され、ワークアウト時に単独でアップルウォッチを使用したり、Suicaやアップルペイを使った支払いなどはシリーズ1では行えません。
ディスプレイも1000ニトの明るさを持つ第2世代の感圧タッチ対応ディスプレイをシリーズ3が採用しているのに対して、シリーズ1は初代同様の450ニトの感圧タッチ対応ディスプレイのまま。耐水性能に関しても、シリーズ3は水深50mメートルまで対応しますが、シリーズ1はiPhoneなどと同様のシャワーや水しぶきなどへの防沫性能を備えているに留まっています。
このようにシリーズ3が「シリーズ2の進化版」なのに対して、シリーズ1は「初代モデルのマイナーチェンジ版」という位置づけになります。これらを鑑みると用途によっては価格以上の性能差が出ることもありますので、購入前に考慮しておくべきでしょう。
Apple Watch Series 3のボディとサイズ
新ケースとバンドにも注目
シリーズ3では内部のチップやセンサ類に改訂が加えられていますが、ケースの大きさには影響せず以前のシリーズ2と同じサイズを維持しています。
一方で変更されたのがカラーで、まずスタンダードなアップルウォッチのアルミニウムケースはシルバー、ゴールド、スペースグレイの3種類。ローズゴールドはなくなりました。ステンレススチールはシルバーとブラックの2色展開のままですが、エディションモデルには新たにグレイのカラーが登場しています。
本体に付属するバンドの組み合わせも変わっています。エラストマ製のスポーツバンドに加えてナイロン製の「スポーツループ」が新たに登場、ナイキモデルにはそれぞれ限定色が用意されています。また、ステンレススチールケースはスポーツバンドかミラネーゼループのみとなり、レザーバンドが標準で選べるのはエルメスモデルだけとなりました。
また、バンド単体ではこれらに加えてウーブンナイロン、クラシックバックル、レザーループ、モダンバックル、リンクブレスレットといった従来のモデルも選ぶことが可能で、カラーバリエーションも含めると今回も60種類以上のバンドが用意されています。
Apple Watch
Apple Watch、Apple Watch Edition、Apple Watch Nike+、Apple Watch Hermèsの4モデル。標準のApple Watchのアルミニウムケースは、ローズゴールドがなくなり、シルバー、ゴールド、ブラックの3色展開です。
スポーツループ
新デザインのスポーツループに加えて、従来のバンドにも新色が数多く用意されています。
Apple Watch Edition
Apple Watch Editionは従来のホワイトセラミックに加え、新たにグレーセラミックが追加されました。
Apple Watch Nike+
ナイキとのコラボレーションモデルApple Watch Nike+は引き続き継続。デザインの異なるスポーツバンドや、専用のウォッチフェイスなどは健在です。
Apple Watch Hermès
レザーバンドとの組み合わせでは圧倒的な人気を誇っているのがエルメスとのコラボレーションモデル。3種類の新デザインが追加。
Apple Watch Series 3全モデル一覧
Apple Watch
*GPS+Cellularモデルはリューズが赤色です。GPS+Cellularモデル、GPSモデルそれぞれある場合、ここではGPS+Cellularモデルの写真を掲載しています。価格はすべて税別。