ガラス素材で高級感アップ
これまでの流れからすると、「7s/7sプラス」という名称になると思われていたiPhoneの新モデルは、一段階飛ばして8/8プラスとして登場しました。外観には、背面を耐久性のあるガラスで覆った新しい構造を取り入れています。そのため、外形寸法はわずかですが大きくなりましたが、手にしても気づかない程度の差。重量は8は10グラム、8プラスは14グラム重くなっています。
全体のシルエットは7/7プラスを踏襲したものですが、内部プロセッサは「A10フュージョン(Fusion)」から「A11バイオニック(Bionic)」にアップデート。2個の性能コアが25%、4個の効率コアが70%スピードアップした6コアCPUと強化されています。チップに組み込まれた3コアのGPUも、従来より30%高速とグラフィック性能がアップ。強化された耐水・防塵構造やカメラ性能のアップなど、内部も徹底的にパワーアップしています。
ユニボディを廃止し、背面をガラス素材にした最大の理由は、8/8プラス/Xで初搭載となるワイヤレス充電を実現するため。対応のワイヤレス充電マットに置くだけでiPhoneが充電できるようになりました。
ディスプレイは細部が進化
また、ガラス素材を採用したため、カラー仕上げもシルバーとスペースグレイ、ゴールドと新しくなりました。アルミとガラスを組み合わせたボディ構造ですが、従来どおりIP67等級に適合した防沫・耐水・防塵性能をしっかり装備。タッチIDとタプティックエンジン搭載の感圧式ホームボタンやボディ側面にある操作ボタンは7/7プラスと変わりません。
カメラは背面のiSightカメラが12Mピクセル、フェイスタイムカメラが7Mピクセルと解像度に変わりはありませんが、センサやカラーフィルタなどが新しくなっています。また、ディスプレイもレティナHDディスプレイと変更ありませんが、広色域(P3)に加えトゥルートーン(True Tone)をサポートしています。
ストレージ容量は8/8プラスともに64GBと256GBの2種類のみ。これまでと同様に直営店とオンラインのアップルストア、各キャリアの販売店、家電量販店などで購入できます。アップルストアでは各キャリア版のほかに、MVNOを利用できるSIMロックフリー版も販売しています。
見た目とは裏腹に、中身が大幅に機能アップしたiPhone 8/8プラス。手にとってみれば、7s/7sプラスというネーミングをスキップした理由も納得できる、まったく新しいiPhoneなのです。
付属品は7/7 Plusと同じ
iPhone 7/7 Plusと同様、ライトニングコネクタを装備した「EarPods with Lightning Connector」が付属します(1)。従来のミニジャックを利用できる変換アダプタも同梱されています(2)。それ以外の同梱物も従来どおり、Lightning-USBケーブル(3)、USB電源アダプタ(4)、マニュアル類(5)と変わりません。
[デザイン]サイズ感はそのままに背面にガラス素材を採用
本体のサイズ/各部名称
FRONT
外形寸法はiPhone 7/7プラスに比べて若干大きくなりましたが、その差は0.1~0.2ミリとわずかな違いです。Retina HDディスプレイは4.7インチと5.5インチと変化なし。前面の通話スピーカ横にあるFaceTime HDカメラも700万画素とiPhone 7シリーズと変更ありません。ホームボタンもタプティックエンジン対応の感圧式で、指紋認証のTouch IDも引き続き搭載しています。
BACK
iPhone 7プラス同様、iPhone 8プラスには2つのカメラが搭載されています。自然な色合いを演出するTrue ToneフラッシュもLEDが4つのクアッドタイプで、光量や照明のちらつきを抑えるフリッカーセンサなどもiPhone 7/7プラスから変更ありません。
RIGHT
LEFT
本体側面のボタン配置はiPhone 7/7プラスと同様です。
TOP
BOTTOM
iPhone 7/7プラスと同様、3.5mmステレオヘッドフォンミニジャックはなく、オーディオ出力はライトニングコネクタ経由またはBluetooth経由で行います。
[ディスプレイ&スピーカ] True Toneディスプレイ搭載で“完成形”に辿り着く
自然な色を表現
iPhone 8/8プラスには、それぞれ4.7インチ、5.5インチのレティナHDディスプレイが採用されています。サイズや解像度といった基本スペックは旧モデルであるiPhone 7/7プラスから大きく変更はありませんが、iPhoneに搭載する液晶ディスプレイとしての完成形だといえるでしょう。
ディスプレイの基本スペックを確認すると、iPhone 8が1334×750ピクセル(326ppi)で、iPhone 8プラスが1920×1080ピクセル(401ppi)。両モデルともIPSパネルを採用、これに加えてiPhoneでは初となる「トゥルートーン・ディスプレイ」が搭載されました。
トゥルートーン・ディスプレイは、これまでiPadプロシリーズ(現行の12・9インチと10・5インチ)にのみ採用されていたもので、レティナディスプレイのように解像度を向上させるような技術とは異なり、「人間が感じる実際の色」をディスプレイ上で再現する技術です。たとえばiPhoneは、室内であったり、天気の良い町中で使用することも多く、実にさまざまな環境で利用されますが、常に同じ色を発色しているディスプレイでは、まれに色の見え方に違和感を覚えることがあります。
こうした「人間が感じる違和感」を解消してくれるのが、トゥルートーン・ディスプレイです。iPhoneに内蔵された環境光センサを使って周囲の光の色を認識し、ディスプレイに表示する「色」をそれに合わせ「ホワイトバランス」を自動で調整してくれます。環境光が白熱灯の場合、実際には白を発色する場合でも、若干赤みを帯びた色を画面に表示してくれるので、人間が違和感を感じずに「白」と判断できます。
内蔵スピーカの音量アップ
本体に内蔵されるスピーカは新設計となり、iPhone 7/7プラスより25%の音量アップとなりました。また、低音強化なども行われていて、iPhone単体で音楽を楽しんだり、ハンズフリー通話を行う際に威力を発揮してくれます。
また、付属するイヤフォンはライトニング接続の「イヤポッズ(EarPods with Lightning Connector)」で、iPhone 7/7プラス同様、本体にはアナログ3.5ミリオーディオジャックがありません。従来のオーディオジャックを備えたヘッドホンを使いたい場合は、付属の「Lightning−3.5ミリヘッドフォンジャックアダプタ」でライトニングに変換して利用しましょう。
Retina HDディスプレイの完成形
iPhone 8は4.7インチ、iPhone 8 Plusは5.5インチのRetina HDディスプレイを採用しています。基本スペックは前モデルから大きく変わらないことからも、これがiPhoneの液晶ディスプレイの完成形ともいえるのではないでしょうか。
美しい発色のディスプレイ
光感知テクノロジーと広い色域を採用したiPhone 8/8 Plusのディスプレイ。iPhone 7から踏襲された鮮やかな色彩で美しい表示のディスプレイは、iPhone 8でももちろん健在です。
True Toneディスプレイを採用
iPad Proに搭載されていた「True Toneディスプレイ」をiPhoneではじめて採用しました。環境光センサにより、利用シーンに合わせてディスプレイに表示する色を変えて自然に見えるようにしてくれます。
EarPods with Lightning Connector
付属するイヤフォンは「EarPods with Lightning Connector」で、ライトニングでの接続となります。もちろんApple純正の無線イヤフォン「AirPods」も利用できます。
アナログイヤフォンも利用可能
iPhone 7/7プラス同様に、3.5mmヘッドフォンジャックがありませんが、付属している「Lightning – 3.5 mmヘッドフォンジャックアダプタ」を使えば有線イヤフォンも利用できます。
[ カメラ ] 進化したポートレートモードで撮影が一層楽しくなる!
光学部分に大きな変化はなし
iPhoneのカメラ機能は、モデルを追うごとに性能が向上してきました。今回のiPhone 8/8プラスにおいても、もっとも注目されたアップデート項目の1つといえるでしょう。
詳細にカメラ部分のスペックをチェックすると、レンズに関してはiPhone 7/7プラス同様の6枚構成で、明るさも8がf1.8、8プラスでは広角がf1.8、望遠がf2.8と変更ありません。このことからレンズ部分は従来と同じものが搭載されていると予想できます。光学ズームも8プラスだけで、8は今までどおりデジタルズームのみです。
センサ部分に注目すると、裏面照射型センサにハイブリッド赤外線フィルタ、フォーカスピクセルズ(Focus Pixels)を使ったオートフォーカスとスペック上では変化はありません。解像度も12メガピクセルですが、受像部のセンサはより大きく、より高速になりました。また、カラーフィルタも新しくなっています。
露出コントロールやピント調整、ホワイトバランス、色調、ノイズ除去などの処理は従来同様に行っていると思われまが、A11バイオニックチップ内のISP(Image Signal Processor)が新しくなったことによって画像処理のプロセスが改善され、全体的な品質向上につながっています。撮影フォーマットも従来のJPEGやH・264に加え、最大2倍の圧縮率を実現したHEIF(High Efficiency Image Format)とHEVC(High Efficiency Video Cod ec)をサポート。ストレージ容量が同じ場合、従来と比べて約2倍の写真とビデオが保管できます。
手ぶれ補正に関しては8/8プラス両モデルとも搭載していますが、8プラスでは広角側のレンズだけなのは今までどおりです。「室内や照明の少ない店内などでもきれいに撮影できる」と称されているiPhoneですが、手ぶれ補正の機能が発揮される暗所での撮影には、新しくなったISPによるノイズ軽減などもあり、これまで以上の画質向上が期待できます。異なる色温度のLEDを2つ組み合わせることでナチュラルな色味を再現する「トゥルー・トーンフラッシュ」も、8/8プラスともにLEDを4つにしたクアッドタイプです。また、低速のシャッタースピードと短いストロボ発光時間を組み合わせた「スローシンクロ」のフラッシュに対応し、十分な明るさがない場所でも、手前にある被写体を明るく照らしつつ、背景の露出を適正にとらえることが可能になっています。
フロント部のフェイスタイムHDカメラは、8/8プラスとも7メガピクセルで1080p HDビデオ撮影、レンズの明るさもf2.2と7シリーズと同じ性能です。スペック表を見る限り、レティナフラッシュや写真とライブフォト(Live Photos)の広色域キャプチャ、自動HDR、裏面照射型センサなどの機能にも変更は見られませんが、フロント部のiSightカメラ同様、新しいISPでの画像処理で品質は向上しているでしょう。
また、iPhone 8プラスのみで利用できるポートレートモードが一段と進化しました。ポートレートモードとは、iPhone 7プラスより実装された機能で、まるで一眼レフカメラのように背景をボカして撮影するもの。8プラスのポートレートモードでは、細部はシャープに、背景はより自然にボカすことができます。それに加えて、新機能である「ポートレートライティング」もサポート。まるでスタジオ照明のようなエフェクトをポートレートモードで利用できます。ポートレートライティングは撮影中にリアルタイムでエフェクトをかけられるので、iPhone撮影の幅がより広がるでしょう。
ビデオの質も向上
写真だけでなく、高品質な動画を手軽に撮影できるのもiPhoneの特徴です。8/8プラスでは4Kビデオの撮影をサポートしていますが、フレームレートが従来の30fpsから60fpsにアップしています。1080pでのスローモーションビデオも、7シリーズの倍にあたる240fpsが選択できます。フレームレートが上がることで画像ファイルの容量も上がりますが、HEVCフォーマットを利用することで、ストレージ消費はこれまでより軽減できます。映画レベルのビデオ手ぶれ補正が1080pと720pにしか対応していないのが残念ですが、今まで以上にきれいな映像が撮れるのは間違いありません。
センサやフィルタが新しくなった
iPhone 8に搭載したiSightカメラは7と同じ12メガピクセルの解像度ですが、センサやカラーフィルタが新しいものに変わって、より深みのあるピクセルを表現できます。光学式の手ぶれ補正も改良されるなどカメラ性能が向上しています。また、iPhone 8プラスに関しても7プラス同様、iSightカメラは広角と望遠2つのレンズを搭載したデュアルカメラとなっています。こちらも12メガピクセルと解像度に変わりはありませんが、センサが新しくなってカメラ性能が向上しています。
画像処理のプロセスも改善
Appleの設計による新しいISP(Image Signal Processor)が、暗所でのより速いオートフォーカスや改善された画素処理、ハードウェアによるノイズ軽減などを提供します。
ライティングのエフェクト機能
iPhone 8プラスでは、ポートレートモードに加え、新たにポートレートライティングの機能が搭載されました(ただし、現在はベータ版)。まるでスタジオで撮影したような照明エフェクトが使えます。ポートレートモードと同じように、ポートレートライティングは撮影時にもリアルタイムでエフェクトがかけられます。
5種類のポートレートライティングを選択
ポートレートライティングで選べるエフェクトは5種類。照明効果を変えてスタジオ照明をシミュレートしたり、輪郭を強調して印象的な影を作る照明効果や、顔にスポットライトを当てたようなステージ照明でポートレート写真が撮れます。
Apple設計によるビデオエンコーダ
Appleが設計したビデオエンコーダが、より高速なビデオのフレームレートやリアルタイムイメージおよびモーション解析を実現しました。HEVC圧縮で同じ画質のビデオも約半分のサイズで撮れます。
4K画像が滑らかに
従来、30fpsだった4Kのビデオ撮影が60fpsで撮れるようになりました。最高画質の映像が、これまで以上に滑らかで美しいものに仕上がります。もちろん今までどおり1080pや720pのHDビデオ撮影、タイムラプスビデオの撮影も可能です。