より速く、もっと快適に
iPhone X/8/8プラスに採用された「A11バイオニック(A11 Bionic)」プロセッサは、高性能64ビットCPUコア「モンスーン(Monsoon)」2個と高効率64ビットCPUコア「ミストラル(Mistral)」4個を搭載するヘテロジニアス(異種)ヘキサコアのアプリケーションプロセッサです。性能優先でチューニングされた高性能コアとエネルギー効率優先でチューニングされた高効率コアを組み合わせて切り替えるアプローチは、iPhone 7シリーズに採用されている「A10フュージョン(Fusion)」プロセッサと似ていますが、各コアの役割分担を管理する「パフォーマンスコントローラ」が第2世代に進化したことにより、より高度なコア制御が可能です。これにより、最小シングルコア動作から最大全6コアのフル稼働まで、システム負荷に応じてダイナミックに各コアの処理内容を切り替えられ、フルパフォーマンス時にA10プロセッサと比較して最大70%ものCPU性能向上を実現しています。
A11プロセッサでは、GPUコアもアップル独自設計の3コアグラフィックエンジンに更新されています。従来のアップルAシリーズプロセッサは、すべてイマジネーション・テクノロジーズ(Imagination Technologies)社の「PowerVR」シリーズグラフィックコアIPを採用していましたが、今回独自にGPUアーキテクチャを自社開発することによって、さらにiOSに最適化したグラフィックエンジンに再設計すると同時に、他社のライセンスフィーが不要となり、そのコストを別の機能に振り向けることが可能となっています。その結果、A11プロセッサのグラフィック性能は最大30%向上しているにも関わらず、同処理能力時の消費電力は約半分まで低減されています。
A11 Bionicプロセッサ
Apple A11 Bionicプロセッサは、ARMv8-Aアーキテクチャの2つの高性能CPUコアと4つの高効率CPUコア、独自設計の3コアGPU、新しいISP(Image Signal Processor)、ニューラルエンジンなどを統合したアプリケーションプロセッサです。
43億個のトランジスタを搭載
A10 Fusionプロセッサの33億個のトランジスタ数(16nm FinFETプロセス)に対して、A11 Bionicプロセッサは43億個のトランジスタを搭載し、TSMCの10nm FinFETプロセスで製造されます。【URL】http://www.tsmc.com/tsmcdotcom/PhotoListingAction.do
Fusionテクノロジーが進化
A11 Bionicプロセッサは、A10で採用された高性能コアと高効率コアを負荷状態に応じて切り替えるFusionテクノロジーを進化させ、合計6つのコアを負荷状態に応じてダイナミックに組み合わせて高い処理性能と優れた省電力性能を両立できます。
機敏なレスポンスを実現
このほかにもA11プロセッサには、照明シミュレーション、HDR、ディスプレイP3対応の広色域処理、240fpsの高フレームレートに対応した新しいイメージ信号プロセッサ(ISP)と、フェイスIDなどをサポートするニューラルエンジンを搭載しています。従来のSiriをはじめとするAI(人工知能)機能はオンライン接続されたクラウドによって処理されていましたが、A11プロセッサに搭載されたニューラルエンジンはその多くをiPhone上で実行(オフロード)することで、ユーザ操作に対する俊敏なレスポンスと、ユーザの個人情報に対するセキュリティの向上を同時に実現しています。
A11プロセッサは高性能と高機能を高次元のバランスで兼ね備えており、まさにiPhone登場10年にふさわしい卓越したアプリケーションプロセッサなのです。
高性能コアが最大25%アップ
A11 Bionicプロセッサは従来のA10 Fusionプロセッサと比べて、高性能コアが最大25%、高効率コアが最大70%、フル稼働時のマルチスレッド性能が最大70%高速化されています。
Apple自社開発のGPU
A11 Bionicプロセッサのグラフィックエンジンは従来のA10 FusionプロセッサのPowerVRベースのGPUコアからApple自社開発のGPUへと変更され、その性能は最大30%向上し、同じ性能時の消費電力は約半分に低減されています。