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[Camera]2つのカメラの機能を「再発明」

著者: 今井隆栗原亮

[Camera]2つのカメラの機能を「再発明」

望遠側にも手ぶれ補正

すでに完成の域に達したと思われたiPhoneカメラですが、iPhone Xではさらなる高みを目指したテクノロジーが多数搭載されています。

まず、背面カメラはiPhone 8プラスと同じく広角レンズと望遠レンズを組み合わせた1200万画素のデュアルカメラですが、内部設計が大幅に見直されて光学式手ぶれ補正が望遠側にも搭載されています。さらに、レンズの明るさも望遠側をf2.4としたことで、遠くを撮影する際にも手ぶれや補正ノイズが発生しにくくなっています。さらにそれぞれのカメラが広色域への対応や正確な露出補正など各種の自動補正機能を備え、被写体の要素を自動的に検出することでシャッターボタンを押す前に設定を最適化できるという驚きの機能を持ちます。また、2つのレンズは従来の横配置ではなく縦配置となり、横向きのランドスケープモードでもレンズに指がかかりにくくなっているのも細かな改良点です。

望遠側にも手ぶれ補正

背面のデュアル12メガピクセルカメラは、画素数こそ据え置きですが、光学式手ぶれ補正(OIS)を広角側だけでなく望遠側にも搭載しました。レンズの明るさも広角側はf1.8ですが、望遠側がf2.8からf2.4へとスペックアップしています。

前面のカメラが大幅に強化

また、前面のフェイスタイムカメラも大幅に強化されました。後述(34ページ)のフェイスIDのために開発された700万画素の「トゥルーデプス(TrueDepth)カメラ」が搭載により、背面だけでなく前面のカメラでも被写界深度エフェクトを使ったポートレートモード撮影が可能です。これにより、従来よりもはるかに高品質で印象的なセルフィー撮影が行えます。

そして、注目の新機能がスタジオでの照明効果を再現するという「ポートレートライティング」です。これは現在のところベータ版ですが、被写体の顔認識を行ってリアルタイムで5つの照明効果を選択できます。いずれも「美肌」のような不自然な効果ではなく、スタジオで撮影したような効果が得られます。このポートレートライティングは、iPhone 8プラスでは背面カメラでのみ可能です(iPhone 8は非対応)。iPhone Xだけが前面カメラでも利用できるので、大きなアドバンテージとなるでしょう。

さらに、ビデオ機能も強化されています。もはや常識となりつつある4K撮影は、フレーム数が最大60fpsですが、1080pのスローモーション撮影では最大240fpsに対応。これまでよりも滑らかでエモーショナルな映像表現を可能としています。

ほかにも、各カメラはAR(拡張現実)体験を実現するための大きな役割を担っていて、モーショントラッキング(動体検知)に利用するジャイロスコープと加速度センサ、さらにA11バイオニックCPUによるシーン認識やリアルタイムの照明光推定などを組み合わせて、これまでにない映像表現を可能にしています。

ポートレートモードでセルフィー撮影

フロントカメラでもポートレートモードによる撮影が可能となりました。被写界深度エフェクトを用いて、背景をぼかした印象的なセルフィー撮影ができます。

FaceTimeカメラでポートレートライティング

ベータ版の「ポートレートライティング」機能では、写真に5種類の照明エフェクトを加えられます。左から自然光、スタジオ照明、輪郭強調、ステージ照明、ステージ照明(モノ)効果です。iPhone Xではフロントカメラでもポートレイトライティングが可能です。

進化したTrue Toneフラッシュ

画像処理プロセッサ(ISP)のさらなる改良により、被写体の動きや明るさを検知して撮影前に写真を最適な状態にします。これらの技術によりHDR写真もより美しくなります。

最大240fpsのスローモーション撮影

ビデオ撮影も強化され、最大60fpsの4Kビデオに加え、これまでの2倍となる最大240fpsの1080pスローモーション撮影に対応しました。また、AR(拡張現実)との組み合わせでこれまでにない映像体験を実現します。