●プログラミング言語の種類と進化の歴史
プログラミング言語は、時代とともにたくさんの種類が生まれてきました。コンピュータが登場した当初はマシン語のみでしたが、その後簡単な単語を対応させたアセンブラ言語が登場しました。それで、多少楽になったものの、プログラミングはまだまだ大変な作業でした。
人間の言葉に近いプログラミング言語の元祖は、1957年にIBMで開発された「Fortran(フォートラン)」です。当時IBMが販売していたメインフレーム(企業向けの大型コンピュータ)のプログラミング用に開発されました。このとき同時に、人間が書いたプログラムをマシン語に翻訳する「コンパイラ」が開発されたのです。
さらに時代が下って、1920年初頭に「C言語」が登場します。C言語はUNIX(ユニックス)というOSの開発に使われたことで広く知られ、主要なプログラミング言語の1つになりました。特に文法面での影響が大きく、現在使われている「C++」、「Java」、「C#」はC言語の構文を多く取り入れています。
ほかにも、文法をシンプルにして比較的単純なプログラムを作りやすくした「スクリプト言語(または、軽量プログラミング言語)」と呼ばれるものがあります。代表的なものは「Python」「Ruby」「JavaScript」などです。動作速度が遅いなどのデメリットもありますが、圧倒的に楽にプログラミングができるため、WEBアプリ作成や経済データの加工・解析など、さまざま分野で使われています。
【POINT】プログラミング言語も時代とともに進化している
●主な言語とその特徴
PHP(ピーエイチピー)
WEB開発の用途で人気が高い
PHPは主にWEBサイトの構築に使われているスクリプト言語です。ブログの作成によく使われるツール「WordPress(ワードプレス)」はPHPで作られています。文法が平易で初心者でも習得しやすいこと、ECサイトを手軽に作れること、プログラマーの求人が多いことなどから、人気のある言語です。
Ruby(ルビー)
世界的に有名な国産言語
まつもとゆきひろ氏によって開発された日本産のスクリプト言語です。WEBサイトやWEBベースの業務システムを簡単に開発できる「Ruby on Rails」というしくみが有名で、WEB開発の分野でよく使われます。Rubyはストレスなくプログラミングができるように開発されていること、日本語の資料が多いことなどから習得しやすい言語といえます。
C++(シープラスプラス)
ゲーム、計算…なんでも来い!
C++で作成したプログラムは高速で動作するので、アクションゲームや科学技術計算などの分野でよく使われます。非常に万能な言語で、おおよそコンピュータできる処理はなんでもプログラミングできます。しかし文法的に難しいところがあり、自在に使いこなせるようになるまでにはかなりの時間と労力が必要になるでしょう。
Python(パイソン)
応用範囲がとにかく広い
Pythonはシンプルな構文で人気のスクリプト言語です。字下げでプログラムの実行範囲を区別するので、書いたプログラムがスッキリして見えます。応用範囲は広く、商用アプリ、WEB制作、科学技術計算など多くの分野で使われています。AI、機械学習関連のプログラムが多く用意されているので、最近特に注目されています。
JavaScript(ジャバスクリプト)
いろんなブラウザ上で動く
もともとはブラウザで文字の色を変化せるなど、WEBページでちょっとした動的なしくみを実現するためのものでしたが、2005年にGoogleがJavaScriptを使ってGoogle Mapsを実現したことで見直されました。現在、Edge、Firefox、Chromeなど主要なブラウザ上で動く唯一のプログラミング言語です。
Java(ジャバ)
信頼性の高い老舗言語
Javaの最大の特徴はOSに依存しないことです。書いたプログラムがWindows、UNIX、macOSなどさまざまな環境で動作します。長年使われてきたことで信頼性も高く、株式取引所の取引システムなど高度で安定性が求められる場面でも使われています。ただし、構文はC言語から引き継いでいるものが多く、習得は難しい部類といえます。
C#(シーシャープ)
国際規格にもなっている開発言語
Microsoftが開発した言語で、文法的にはC言語風。Windowsアプリの開発によく使われますが、国際規格として標準化されてもいるので、UNIXやmacOSなどほかのOSでも使うことができます。最近はスマホアプリの開発環境として知られている「Unity(ユニティ)」の主要な開発言語となっており、利用者がとても多いです。
【POINT】やりたいことに合わせて学ぶ言語を決めよう
●Appleが作ったプログラミング言語「Swift」
Swift(スウィフト)はAppleが開発した言語で、macOS/iOSのアプリ開発に使われています。長い間iPhone開発では「Objective-C(オブジェクティブ・シー)」というプログラミング言語が使われていたのですが、若干とっつきにくい言語でした。Swiftは、Objective-Cのほか、Ruby、Pythonなどほかの言語のいいとこ取りをしたような文法になっています。さらに、他言語でバグを引き起こしやすかった文法を修正したりと意欲的な取り組みがなされています。
2014年に行われたAppleの世界開発者会議(WWDC)で発表されたSwiftは、とても新しい言語です。Appleはその特徴として「モダン」「安全」「高速」「インタラクティブ」を挙げています。
2015年にはオープンソース化(ソースコードを公開し、誰でも使えるようにすること)され、macOS以外のOSでも使えるようになりました。現状はLinux(リナックス)のみですが、今後多くの環境、たとえばWindowsでもSwiftが使えるようになるかもしれません。
プログラミング言語のトレンドを知る
TIOBE softwareという会社が「TIOBE Index」というプログラミング言語のランキングを毎月発表しています。これはサーチエンジンでの検索結果をもとに、よく使われているプログラミング言語をリストアップしたものです。厳密な人気ランキングではありませんが、おおよそのトレンドを知ることができます。下にあるのは2017年7月のランキングです。上位20位に入っている言語は、世界的に広く使われているといっていいでしょう。