変わるワークフロー
iPadではなく、iPadプロを手にするユーザは、コンテンツの作成や編集、ペンが必要なクリエイティブ用途といったものを求めている。「iPadプロで生産性は向上するか」。iPadプロに興味を持っている人たちの間で熱い議論が広がっているテーマだが、その答えは生産性をどのように定義するかで変わってくる。たとえば、エクセルでひたすらデータ入力を行うような仕事、ハイエンドPCが必要なコンテンツ制作なら、タブレットは生産性の向上にはつながらない。
タブレットの長所は携帯性、そして簡単かつ直接的にコンテンツに触れられることである。たとえばデザインの修正を依頼するとき、言葉だけではイメージが伝わりにくく、直接会って説明したり、印刷したデザイン案に修正を書き込んでスキャンしたものを送ったりしていた。それがiPadプロなら、思っていることをデザイン案にサッと書き込んで送り、イメージを共有しながら仕事を進められる。または顧客に商品を説明する際、紙カタログを広げて時間をかけて説明してもなかなか伝わらなかったことも、タブレットで商品紹介動画として見せたら簡単に確かなイメージを持ってもらえる。
イメージの共有という考えでiPadプロを活用することで、仕事のフローを改善できる。デジタルコミュニケーションの中心はすでにテキストから写真に移っており、やがてビデオ、そして拡張現実や仮想現実に広がっていくと予想されている。そうした変化は仕事の進め方にも及ぶだろうし、インスタグラムやスナップチャットを使いこなすミレニアルズ世代なら、よりイメージを共有しやすいワークフローを好むだろう。
大学生が使うiPad Pro
YouTubeで「Take notes with iPad」と検索すると、米国の大学生がiPad Proでノート取りを行う方法を紹介するビデオがたくさん結果に表示される。若い世代にiPad Proが浸透しているのがわかる。
仕事にディスラプション
アップルペンシルはデザイナーやクリエイターのためだけのツールではない。仕事の打ち合わせのメモやアイデア出しなどに、紙のノートにペンで手書きが一番という人にもオススメだ。新iPadプロはタッチIDセンサが第二世代になってレスポンスが向上し、ホームボタンに触れた直後に完了するぐらいアンロックが高速になった。思いついたときに素早くデジタル化したメモを残せる。
スマートキーボードは、PCのキーボードのような文字入力効率は発揮できないが、カバーとして携帯でき、いつでも文字入力を手助けしてくれる。携帯性優先ならソフトウェアキーボードで通すというのも方法だ。12.9インチと同様に、10.5インチもフルサイズで利用できるようになった。手書き文字をテキストに変換するmazecなど、サードパーティのキーボードもソリューションになる。
iPadの弱点と言われ続けていたカメラも、F1.8の明るいレンズを備えるiPhone 7と同等のカメラになった。実際に撮影してみると、9.7インチよりも落ち着いた色合いで、より実物に近い、自然な色で風景を切り取れる。
こうした機能をコンパクトに持ち歩けて、いつでも活用できるのがiPadプロである。iPhoneがカメラの代わりになり得ないという意見がかつてはあった。最高にキレイな写真を撮りたいなら、今もiPhoneはカメラに及ばないだろう。だが、撮った写真をその場で加工し、すぐにアプリやサービスで共有できるiPhoneを多くの人が好んでおり、カメラ市場でデジタル・ディスラプションが起こっている。iPadプロの生産性も、ただデータを入力したり、資料を作成するだけならPCに及ばないだろう。だが、iPadプロで実現するワークフローは、仕事の効率化や高度化を進め、創造性を発揮させる可能性を秘めている。
明るくなったカメラ
iSightカメラは、6枚構成のf1.8レンズ、光学手ぶれ補正機能を搭載する12メガピクセルカメラ。暗いシーンの撮影に強くなってたのもしい。FaceTime HDカメラは、f2.2レンズの7メガピクセルカメラだ。
フルスクリーンで集中
iOSは基本的にフルスクリーンで目の前のアプリに専念できる。アイデアを練るときに手書きを使うとゆっくりと思考できるなど、集中できる環境なのもiPad Proで生産性を高められるポイントだ。