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音声アシスタントの未来は明るいか

著者: 西山正一

音声アシスタントの未来は明るいか

STORY Ⅱ@Adobe

【URL】http://www.adobe.com/jp/

西山正一 Nishiyama Shoichi

2001年にアドビ システムズに入社。WEB製作アプリやDTPアプリの製品担当を経て、現在はCreative Cloudのエンタープライズマーケティング部門を統括。新しいガジェット類にはすぐに飛びつくタイプ。食いしん坊でお酒呑み。

Appleの音声アシスタント「Siri」を使っていますか? 日本語対応してもうすぐ4年、着実に進歩を遂げているようです。以前「日本語には単語間にスペースがないのでコンピュータが意味を理解するのがとても難しい(「東京都」なのか「東」「京都」なのか、区切りの判断が難しい)」という話を聞いたことがあるのですが、Siriも言語を英語に変更したほうが(今のところ)精度が高まるようです。余談ですが、昨年SiriのAPIがサードパーティへ開放され、アドビのBehanceというアプリも対応しましたが英語モードでの挙動のほうが精度は高かったです。

とはいえ、全体的な傾向として「日本語を認識する精度」は機械学習の進歩により着実に(むしろ驚くほど)良くなってきているように感じます。先日発見した「みらい翻訳」という日本語英語の翻訳技術の精度にはまぁびっくりしまして、あえて句読点ナシの読みづらい長文を入力してもかなり自然な英語に翻訳してくれました。日本語の認識もついにこのレベルまでキタ!とかなり興奮したのですが、そうなると日本での音声アシスタントの活用に期待が高まります。

具体的にはAmazon Echo。昨年6月に米国で一般販売開始となり、しばらく品切れが続いたという大ヒット製品です。Echoが呼び出すのはAlexaという音声アシスタントで、これが(少なくとも英語では)聞き取り精度が非常によく、音声アシスタントサービスの本命と言われています。Alexaも他社サービスとの連携を積極的に展開しており、今年1月に開催されたCESでは700種類ものAlexa対応家電やIoTデバイスが発表されたそうです。エアコンの操作もBGMの操作も空っぽになった牛乳の補充もAlexaに話しかければOK!という暮らしが実現するわけです。Echoには据え置きタイプの他に充電式で外に持ち出せるタイプもあるので、キャンプ場にバーベキュー肉を届けて!なんてこともできそうです。

また、Echoは個人や家族での利用にとどまらず、サービス業での利用も期待されています。ラスベガスのWynnというホテルでは全客室にEchoを設置する計画を発表。実はアドビもつい先日Analytics Cloudに音声分析の機能を追加したことを発表しており、たとえばこういったホテルなどで利用されるAlexa(などの音声アシステント技術)をデジタルマーケティングの技術と連係させて、個人の趣味嗜好(以前お話しした「デジタルセルフ」)に基づいた体験を提供することが可能になるのです。

僕はラスベガスではハンバーガーやステーキを食べることが多いのですが、たとえば「Alexa、今から食事できるお店を予約して!」と言えば、僕がラスベガスでよく利用するGallagher's Steakhouseを予約してくれる…という体験がもうすぐ実現してしまうわけです。日本でも日常生活で当たり前のように音声アシスタントを活用する日々もそう遠くないかもしれません。音声アシスタントの未来は明るそうです。