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暗闇ホラーゲームにチャレンジ

著者: 藤原鉄頭

暗闇ホラーゲームにチャレンジ

楽しい暗闇

人間は暗闇が怖い。普段の生活でもっとも頼っているのが視覚だからである。ところが最近は、暗闇という非日常性を逆手にとって、それを既存のサービスと組み合わせることでエンタメにすることが流行っている。

たとえば「暗闇フィットネス」。明るく近代的なジムや開放的な場所で行うイメージのフィットネスを、なにゆえ暗闇で行うのかといえば、そこにほかのジムでは味わえない非日常的高揚感があり、また周囲を気にしないで楽しめるからだそうである。「暗闇ヨガ」「暗闇ボクシング」も然り。なお、ボクシングは暗闇で対戦相手と殴り合うんじゃなくて(それはそれで面白そうだけど)、集団で行うボクササイズです。

世界各地で人気があるのが「暗闇レストラン」だ(そうだ)。闇によって視覚を閉ざされることで、残された嗅覚、味覚、触覚、聴覚に意識が集中。通常とは異なる感覚でレストランの味とサービスを楽しむ。そういえば日本には昔から「闇鍋」があるけど、暗闇の中で物を食べるという行為はイベントとしてかなり面白いんだろうね。

というわけで、いまやアトラクションとして各方面でひっぱりだこの暗闇だが、前述のように本来は人間にとって怖いもの、のはずである。たまにはその怖さをストレートに味わいたいものだが、今の時代そうそう暗闇は見つからない(映画館だって、完全な暗闇ではない)。そこで思いつくのがバーチャルリアリティなのだが、ゴーグルがちょっと煩わしい。もっと手軽に暗闇を楽しめそうなものはないかと探したら、面白そうなアプリがあった。

頼りは音だけ

「ダークエコー」は数年前にリリースされ人気を博したホラーゲーム。ご存じの方もいるだろう。だけどワタクシ同様、タイミングを逃して出会えなかった方もきっと多いはず。面白いし、怖いし、何といっても暗闇を味わうことができるゲームなのでおすすめだ。

ゲームの内容はダンジョン系の単純な脱出ものだ。真っ暗などこかに閉じ込められたプレーヤーが、各ステージごとに設けられた出口を探し出して、全ステージクリアを目指す。

とにかくすべてがシンプルで無駄がない。舞台は暗闇の世界なので、画面は黒一色。プレーヤーにできることは、動いて靴音を鳴らすことだけ。その靴音が視覚化されているのがミソで、壁などにあたって反射する様子から部屋や通路の形状がわかるという仕組み。ところが暗闇の中には靴音に反応する恐ろしい何かがいて、プレーヤーを襲ってくる。襲われたプレーヤーはひたすら逃げるしかない…。

ゲーム画面に現れるのは、プレーヤーの立ち位置を示す「靴跡」と、そこから全方位に発せられる「視覚化された靴音」、「恐ろしい何か」、「正体不明な何か」などだが、靴跡以外は線の集合体で表現され、具体的なイメージがない。プレーヤーはヘッドフォンから聞こえてくるリアルな効果音で、それぞれが独自にこの闇の世界を想像し、そこに恐ろしい何かを見出す。つまりこれは自分自身で恐怖を作り出すイマジネーションのゲームなのである。ニブい人にはちょっと…、想像力豊かな人ほど楽しめる作品だ。

ちなみに以前、「闇」と書こうとして、字がしっくりこなかったことがある。だって「門」構えに「音」と書いて「闇」ですよ。門構えに「耳」で「聞く」、「口」で「問う」はわかる、その線でいけば「音」はないデショ。と厚切りジェイソンみたいに一人でつっこんでいたのだが、「ダークエコー」をプレイした今ならわかる。闇は門構えに音が正解である。

Dark Echo

【開発】RAC7 Games

【価格】240円

【場所】App Store>ゲーム

プレーヤーは暗闇の世界に閉じ込められている。そこから視覚化された「音」を頼りに進路を見つけ、脱出に挑む。音は助かるための唯一の手段だが、同時に闇に潜む恐ろしい何かを引き寄せてしまう諸刃の剣…。大胆な発想と秀逸なデザインセンスが光るホラーアドベンチャーゲーム。緊張感が半端ない。

想像力豊かな人ほど楽しめる! 暗闇ホラーゲームにチャレンジ

ヘッドフォンで恐怖度アップ

音が大事なホラーゲームだけにヘッドフォンはマストアイテム。靴音、風の音、水滴の落ちる音など、リアルな音が生み出す臨場感たっぷりな恐怖を存分に味わおう。

蠢(うごめ)くメインタイトル

鳴り止まぬ不気味な音と蠢くタイトル文字。シンプルだが、ホラー気分がぐっと盛り上がるメインタイトルだ。

暗闇からのスタート

始まりは「暗闇」という名のステージ。この後「脱出」「死」「恐怖」「獲物」…と、タイトルだけで怖そうなステージが続く。

靴跡だけの自分

暗闇の中の小さな靴跡、これが自分(プレーヤー)だ。最初に手のアイコンが現れ、プレーヤーの動かし方(動きたい方向の画面を長押し続ける)をレクチャーしてくれる。

コウモリのように

靴音を立てると、視覚化された音の軌道が描かれ、音が壁などの障害物にはね返る様子から、周りの状況がわかる。コウモリのように、音の反響を手がかりに出口へと進むのだ。

闇の中の魑魅魍魎(ちみもうりょう)

暗闇の中には恐ろしい何かが潜んでいる。音に反応するそいつらは赤くて、プレーヤーの靴音を聞きつけ襲ってくる。

かくしてiPhoneは血に染まる

得体の知れない何かに捕まると、待っているのは死。悲鳴とともに血の色に染まっていくディスプレイ、ゲームオーバーだ。

ほかの色の意味するところは…

暗闇にはほかにも黄や青など異なる色の何かが存在する。早く色の意味を知ることが重要だ。なおゲームを中断するには画面右上の(薄く表示されている)一時停止アイコンをタップする。