部屋を片づけてミニマルな暮らしを楽しむライフスタイルが普及しているが、形のないデジタル資産はどうだろうか? 特に最近は金銭的負担を感じさせにくいサブスクリプション(購読)モデルの課金が増えているので、知らずのうちにデジタルメタボになっているかもしれない。
二重課金に気づかなかった!
きっかけは確定申告に向けた帳簿を作成しているときであった。個人事業主である筆者はクレジットカードの明細を見ていて、同じ会社からの請求がいくつも重複していることに気がついた。何かの手違いかと思ってよくよく確認してみると、契約プランを追加購入した際に、本来は上位のプランにまとめられるはずの契約が別の契約として扱われていたため、結果的に二重課金となっていたのだ。
これは、アカウントを業務と趣味で分けていたのが原因で、完全に私個人のミスである。しかし、サブスクリプション課金のように毎月数百円から数千円の範囲で小刻みに引き落とされていくことが問題発見の遅れにつながったのもまた事実。クラウド会計ソフトなどでキャッシュフローを可視化していれば、もう少し早く気がついたのかもしれないが後の祭りである。
そこで、この失敗をきっかけにサブスクリプションで課金しているソフトやサービスの一覧をリストアップして必要かどうかを改めて仕分けすることにした。ただし、一般論で語ってもわかりにくいので、実際に私が利用しているものを書き出してみた。すると、思っていたよりも数が多く、また1年で合計してみるとかなりの額に上っていることが判明した。ここには単品で購入したアプリやソフト、サービス、通信費やローンによる購入費は含まれていないが、普段無形のデジタルコンテンツやサービスにどれだけ投資しているのかが見えてきた。
Mac系ソフト・サービス
ここでは主に業務で利用するMac用ソフトをまとめた。いずれも価格には納得しているが、計算外だったのがアドビCCのフォトグラファープランの請求が継続されていたこと。通常はコンプリートプランにすればフォトプランからアップグレードされるが、仕事と趣味で別のアドビIDを利用していたのが原因で別契約となり、二重課金状態になっていたのだ(あくまで個人の確認ミス)。結果、Creative CloudのフォトプランとParallels Accessを仕分けして利用をやめることにした。
オフィス365ソロについては月額払いのほか、年額払い(1万2744円)もあり、理論上は6年目から通年で月額払いより得になる。1台のMacでしか利用しないのであれば、永続ライセンスのほうが長く使うほどトータルコストは抑えられる。
クラウドストレージ
クラウドストレージ関連のサブスクリプション費用をまとめてみた。iCloud DriveはiOSデバイスのバックアップなど利用頻度が高く、さまざまなサービスを利用できるので問題ない。計算外なのはGmailの無料で利用できる15GBが上限に達したため、Google Driveを100GBにアップグレードしたこと。これは利用頻度から見て止むを得ない費用と判断した。また、これを機に個人的に利用頻度の低かったストレージサービスは無料プランに戻すなどの仕分け作業を実施することにした。
クラウドサービスは割引がないというイメージがあるが、たとえばDropboxでは3年版のダウンロードコードをキャンペーン価格で販売されていることがある。仮に1万9800円(税別)であれば月550円相当と半額近くなるので、キャッシュに余裕のあるときに利用したい。
WEBサービス
WEBサービスの定義はやや曖昧だが、インターネットを利用するうえで月額料金を支払っているものをまとめてみた。まず、WEB制作サービスのBiND Cloudはパッケージ版にすることにした。また、請求書サービスのMakeLeapsは用途が限られているが、比較的低価格なので継続を決定。問題となりそうなのはヤフオク!で利用するプレミアム会員費だろう。これはオークションへの出品を行わない場合はまったくのサンクコスト(埋没費用)になってしまうため、むしろ今後積極的に出品していくことに方針を変更することにした。
ヤフオク!は落札者に費用は掛からないが、出品する際には利用していなくてもプレミアム会員費498円が毎月引き落とされる。また、実際に出品した商品が落札されるとシステム利用料が8.64%がかかる。以前はヤフー!ウォレットに一括請求されていたが、現在は落札者がかんたん決済を利用した場合はその都度天引きされる。
コンテンツ系サービス
コンテンツ系のサービスは趣味の一環なのですべて止めることもできるが、生活に潤いをもたらすものだけを残していくことにした。Apple MusicとiTunes Matchは相補的な関係にあり、iCloudミュージックライブラリを活用するのであれば両方を使っていても問題ない。しかし、音楽CDが手元に残っているのであれば、iTunes Matchは解約しても構わないだろう。Amazon Videoはプライム会員のおまけ的なサービスなので継続、Huluはテレビの見逃し配信や海外連続ドラマが観たいのでまだ考え中だ。
一番競争が激しいのがエンタメ分野のコンテンツだろう。サービス内容に不満があれば、すぐに代わりのサービスを見つけて乗り換えられるからだ。節約ももちろん大事だが、「本当に自分が観たいものは何か」をもう一度見つめ直してみるとよいだろう。