新しく登場した10.5インチのiPad Proは、“ノートPCに負けない”高いパフォーマンスを備えている。ディスプレイをはじめ、プロセッサ、カメラ、ワイヤレス機能…いたるところにAppleの革新が盛り込まれた渾身のアップデートだ。その偉大なる進化について解説しよう。
iPadの定番サイズを廃止
9.7インチはタブレットに最適な大きさとして初代iPadに採用されたサイズであり、iPadシリーズでもっとも人気の高いサイズだ。昨年アップルはiPadプロにも9.7インチモデルを追加したが、その定番サイズに大なたを振るった。9.7インチモデルを廃して、新たに10.5インチモデルと12.9インチモデルのラインアップに変更したのだ。
9.7インチは、写真などのコンテンツを楽しむのに優れたタブレットサイズの最適解だった。だが、iPadプロでアップルは、コンテンツ消費だけではなく、PCの持つプロダクティビティも担うタブレットを実現しようとしている。
10・5インチは従来と同じ4対3のアスペクト比で、9.7インチより画面が約20パーセント広く、画面解像度も2048×1536ピクセルと一回り大きい。それによって、オンスクリーンでフルサイズのキーボードを表示でき、より快適にタイピングできる。
それでいながら、薄くて軽量なタブレットの良さは損なわれていない。額縁部分(ベゼル)を細くすることで、本体サイズは、長辺が10.6ミリ、短辺が4.6ミリ大きくなっただけだ。重さは9.7インチのiPadとほぼ同じである。
基本デザインは従来のものから大きな変化はないが、中身にはプロを冠するモデルにふさわしいさまざまな強化が行われている。
最大の進化がディスプレイだ。2011年のレティナ(Retina)採用に匹敵するような強化が施された。それが、120Hzのリフレッシュレートのサポートである。激しい動きでもなめらかに表示されるため、ゲーミングPCでは高リフレッシュレートのモニタが好まれるが、モバイルデバイスは60Hzで十分と見なされてきた。しかし、タッチ操作するタブレットこそ120Hz化する価値がある。コンテンツの表示だけではなく、操作の快適さにつながるからだ。サクサクと反応よく、なめらかにUIが動作し、目だけではなく、指先やアップルペンシルによる操作でも違いを体感できる。
また、プロセッサには6コアの「A10Xフュージョン」を搭載。ストレージは32GBがなくなり、64GB/256GB/512GBからの選択になった。HDコンテンツを扱うデバイスで最低容量32GBは少なすぎたので、64GB化は順当な進化といえる。
カメラは、背面に1200万画素の光学式手ブレ補正機能付きカメラ、前面に700万画素のフェイスタイムHDカメラと、iPhone 7と同等。美しい写真やビデオを撮影し、そのまま編集・加工して共有できる。
これらだけでも十分にツールとしての価値を引き上げるが、本当の価値を発揮するのは「iOS 11」が登場してから。生産性が問われるシーンに、タブレットの活躍の場を広げる進化を遂げる。
本体サイズと各部の名称
パッと見た感じのサイズ感は、9.7インチモデルとほとんど変わらない。それもそのはずで、長辺が10.6mm、短辺が4.6mm大きくなっただけなのだ。しかし、ベゼルが細くなったため、画面サイズは約20%広くなっている。
FRONT
①7メガピクセルFaceTime HDカメラ
②ホームボタン/Touch IDセンサ
RIGHT
③音量を上げる/下げる
LEFT
④Smart Connector
TOP
⑤電源オン/オフ、スリープ/スリープ解除
⑥内蔵ステレオスピーカ
⑦3.5mmヘッドフォンジャック
⑧マイクロフォン
BOTTOM
⑨内蔵ステレオスピーカ
⑩Lightningコネクタ
BACK
⑪12メガピクセルiSightカメラ
⑫クアッドLED True Toneフラッシュ
⑬マイクロフォン