[連携]Apple Musicと連係してあなたの音楽ソムリエになってくれる!
Appleのワールドワイドマーケティング担当上級副社長、フィル・シラーは、Siriを搭載したHomePodを、Musicologist(ミュージコロジスト)であると表現した。
音楽分野の学術的な分析やリサーチに基づく学問を「ミュージコロジー」と呼び、「ミュージコロジスト」は「ミュージコロジー学者」という意味になるが、これは、Apple Musicと連携するHomePodのインテリジェンスを音楽分野のソムリエ、あるいは生き字引に喩えた呼称といえる。すなわち、200万名ものアーティストによる4000万曲を網羅するApple Musicの音楽ライブラリのことなら何でも知っているという特徴を、ひと言で表したものだ。
たとえば、(発売当初は英語のみの対応だが)聴きたい楽曲や再生したいプレイリストの指定はもちろん、「Beats 1ラジオをかけて」や「ダンスミュージックを聴かせて」といったシンプルなリクエストから、「2016年5月5日のトップソングは何?」、「(再生中の)この曲がリリースされたのはいつ?」、あるいは「子供部屋のスピーカに子守唄を流して」のような質問や指示にも、ホームポッドは対応してくれるのである。
いわば、Apple TVのSiriに対して映画やテレビ番組に関する質問やリクエストを行なう感覚で、Apple Musicの音楽ライブラリを対象とする処理を声で行えるわけだが、現状のデモを見る限り、ホームポッドはApple TV以上に柔軟で的確な処理が行えるように感じられた。
[知能]天気やニュース、アラームなど、Siriに話しかけると答えてくれる
キーノート内で紹介されたHomePodのホームデバイス的機能分野としては、次のようなものがある。音楽、ニュース、単位変換、メッセージング、リマインダ、ポッドキャスト、アラームとタイマー、翻訳、株式情報、一般知識、天気予報、交通&近隣情報、スポーツ、ホームコントロール。
プレゼンテーションスライドでは、「次のレッドソックスの対戦相手は?」とか「歌舞伎シアターで7時に会おう、とエリックにメッセージ」、「近くでオススメの韓国レストランは?」などの質問項目が挙げられていたが、音声応答による処理という特性から対象となる処理内容が必然的に絞り込まれてくるため、そのこと自体に新奇さは感じられない。したがって、前述したオーディオスピーカとしての作り込みや空間認識、進化するSiriの自然言語応答などの総体として、どれだけアップルらしいユーザ体験をHomePodで与えられるかが差別化のポイントとなるだろう。
たとえば、「午前5時に起こして」というリクエストをしたとして、その時刻にリビングのホームポッドでアラームが鳴るだけでは意味がない。iCloudでつながったデバイスからアラームを鳴らすものを選べたり、Apple Watchを着けている場合には、自動的にそこでのアラームのみに切り替わるような気の利かせ方が期待される。
アップルはこれまで、Apple TVがHomeKitのハブ的に機能し、ホームデバイス的に利用されることを目指していた。しかし、Apple TV自体が思ったように普及せず、HomeKit対応機器のセキュリティ審査基準が他のプラットフォームよりも厳しいことなども影響して、ホーム市場攻略の決め手を欠いた状態にあった。
その意味で、ホームポッドのホームデバイスとしての役割を重視していることは間違いなく、水面下では発売までにサードパーティの対応機器を可能な限り増やすための動きを活発化させているものと思われる。