見せる人/降籏達生
ハタコンサルタント株式会社代表取締役/建設技術コンサルタント。建設の専門家としてテレビやラジオ、新聞取材多数。代表的な著書に『受注に成功する! 土木・建築の技術提案』(オーム社)や『今すぐできる建設業の原価低減』(日経BP社)など。【URL】http://www.hata-web.com/index.html
降籏達生さんのiPhoneメイン画面にあるアプリ MandalArt/GEMBA Note/Nozbe/X-MP雨情報/Ritual
目に入る雨粒で判断!?
今回のゲストは、建設業向けに技術コンサルティングをしている降籏達生さん。元は大手ゼネコンである熊谷組でダムやトンネル、橋梁などの建設に携わっていましたが、1995年に起きた阪神淡路大震災をきっかけに独立。現在のハタコンサルタント株式会社を創業するに至ったそうです。奇しくも、東日本大震災を期に独立した私と似た経歴をお持ちです。
まずは、熊谷組時代に担当したダムの建設現場について聞いてみました。
「人もいない、インフラも整っていない山の中で、4年近くに渡ってダムを建設します。昔は今よりも“経験と勘”が重要でしたね。たとえば、一定量の雨が降ると、コンクリートを固める工事ができなくなってしまう。なので、当時は“あの山の上に雲ができると雨が降る”といったような経験則を駆使して、工事を中断するか否かを判断していました」
また、雨量の確認は、空を見上げて目の中に入る雨粒の量で見極めていたのだとか。まさに経験がないとできない技ですね。
しかし、今ではiPhoneアプリを使うことで、工事の進行を判断できます。このような効率的な工事の方法を、降籏さんは総合的にコンサルティングしているのです。建設技術も向上していますが、IT技術も同様に進化しています。降籏さんのように、現場にも技術にも詳しい人がサポートしてくれると、業務効率はグッと向上しますね。
さて、建設業界が抱える問題の1つが、若い世代の人材不足。そこで、若い人が建設業界に入ってきてくれるように、降籏さんは高校や専門学校での講演を積極的に行っています。そこではどのような話をするのでしょう。
「たとえば、橋梁建設の現場の話をします。海に橋梁を作るときは、まず海にコップのようなモノを沈め、その中で作業員が息ができるようにしながら、徐々に橋の脚になる部分を海底に埋め込んでいきます。この話は若い人たちも興味津々で聞いてくれるんですよ」
9マスで発想を広げる
建築や土木現場では方位や傾きが重要ですが、今ではiPhoneの標準アプリ「コンパス」で簡単に測定できます。私は恵方巻きを食べるときにしか使ったことがなかったのですが、コンパス内の「水準器」機能を使えば、建物が水平かどうかもチェックできるのだとか。簡単に傾きが確認できると、現場での素早い判断につながりますね。
そのほかにも、最近では多機能デジタルノートアプリ「ゲンバノート(GEMBA Note)」をコンサル先に伝授しているそうです。本誌でも何度か登場していますが、本アプリは、あの大手ゼネコン・大林組でも導入されている“現場”の強い味方。さまざまな建設現場でiPhoneやiPadが活躍する時代なんですねぇ。
また、コンサル先にクリエイティブな提案をするためのアプリもインストールされていました。それが、降籏さんおすすめの「マンダラート(MandalArt)」。マンダラートとは、9つのマスを使って発想を広げていく方法ですが、これを紙でやろうとするとちょっと大変。しかし、アプリ上なら簡単に階層を掘り下げられるので、どんどん発想が広がります。
たとえば、9マスの中心に自分が解決したい課題を書きます。そして、周辺の8マスにその課題に対するアプローチを書き出します。たとえば「Mac Fan 発行部数アップ」が課題だとすると、「新連載」「魅力的な特集」「多言語化」「電子版」「広瀬すずを表紙に」などの施策を思いつくままに書き出します。そして、書き出した施策を再度真ん中に置き、より具体的にその施策について考えていくのです。降籏さんは、クライアントの課題や依頼された講演の構成、今年中にやっておくべき課題などについて、マンダラートを使ってブレストしているそうです。
降籏さんはユーチューブ上で動画も投稿されています。誌面では伝わらない降籏さんの元気でユニークな話を、皆さんもぜひ聞いてみてくださいね。
iPhoneに標準で搭載されている「コンパス」アプリですが、画面を右にスワイプすると「水準器」機能に変わります。建設現場などでは、建物の水平をチェックするのに役立つそうです。この機能を知らない人も、意外と多いのではないでしょうか。
降籏さんがクライアントに勧める「GEMBA Note」は、建設・工事現場などが抱える“現場の課題”を解決してくれる画期的なデジタルノートアプリ。iPhoneやiPadだけで、さまざまな情報を管理・共有できます。
降籏さんは、コンサル先へクリエイティブな提案をする際に、「MandalArt」でブレストしているそうです。紙でやるとちょっと手間がかかるマンダラートですが、アプリならお手軽です。
見る人/美崎栄一郎
『iPhoneバカ』『iPadバカ』などの著者。札幌から福岡までアップルストア全店舗、ソフトバンク本社などでも講演したiPhone大好き人間。『超速片づけ仕事術』(かんき出版)、『快速エクセル』(インプレス)が2冊同時に発売されました。【URL】http://note272.net/