高音質のその先へ
iPhoneで高音質な音楽を楽しめる外付け式のポータブルヘッドフォンアンプ、いわゆる「ポタアン」が人気だ。特にカジュアルに持ち運べる薄型タイプのポタアンはオーディオ愛好家のみならず、一般の音楽好きからの注目も集めている。その中でも、オッポ・デジタル(OPPO Digital)の「HA-2」シリーズはスマートフォンと一緒に持ち運べるコンパクトさと高い性能&デザインを兼ね備え、実売4万円前後で購入できる高評価モデルだ。オッポ・デジタル・ジャパンの島幸太郎さんは、最新モデルのHA-2SEについてこう語る。
「前モデルのHA-2の登場から数えると2年が経ち、HA-2シリーズは薄型ポータブルアンプの代表的な存在になったと言えます。HA-2SEでは内部的な機能強化を図りましたが、デザイン的には変更を加えていません。妥協を許さない製品作りのため、すでにHA-2自体の筐体デザインが完成形に近かったからです。しかし、HA-2の頃から通常の黒モデル以外のバリエーションはないかとユーザ様から問い合わせをいただくことがあり、実現できないかとずっと画策していました」
遊びは重要。お客さんの欲求が新たな市場を生みます
Oppo Digital Japan
ディレクター
島幸太郎さん(左)
アカウントエグゼクティブ
松野友幸さん(右)
そんなとき、島さんへ1通のメールが届く。差出人は静岡でテーラーメイドの高級ヘッドフォンブランドを手がけるKuraDa代表の飯田良平さんであった。
「飯田さんから送られてきたのはHA-2の外装の革を貼り替えた写真で、これがとても格好良いものでした。それを開発元の米国の担当者に見せたところ『これはいい!』となり、まずは外装にスエード調素材を採用したHA-2の赤と青のモデルを発表しました。その後、今度は革を貼り替えるサービスを実施できないかと思っていたところ、飯田さんから改めてKuraDaブランドでの貼り替えサービスを実施したいと相談を受けたので、喜んでお引き受けした次第です」
当時のことを飯田さんに尋ねると、次のように答える。
「僕はオッポ・デジタル製品のいちユーザで、HA-2を愛用していました。標準の黒い革素材も決して悪いものではないのですが、革マニアなので自分好みの革に貼り替えてしまったのです。そして、このように改造していいかどうかをオッポ・デジタルさんに送ってみたところ、とても評価いただいて…。その1通のメールをきっかけに、サードパーティサービスとして公認してもらい、コラボレーションがスタートしたのです」
そして2016年12月、「ポタフェス2016」でKuraDaカスタマイズによるHA-2、HA-2SE向けの外装交換サービスを開始。落ち着いた色合いのベルギーレザー、明るい色合いのイタリアンレザー、さらにパステルカラーに染められたヤギ革の“オイルゴート”をレギュラーモデルとして展示した。また、安定供給が難しい希少な素材である木目や和紙による限定モデル、さらには「栃木レザー」のカバーも参考出品するなど、その色とりどりのポタアンに来場者の多くが足を止めた。
HA-2SE
COMPANY
OPPO Digitalは米国のシリコンバレーにある2004年創業のエレクトロニクスメーカー。Blu-rayディスクプレーヤやヘッドフォン、ポータブルアンプなどのパーソナルオーディオ製品や、高級音響/映像機器の製造開発と販売を行っている。2015年から国内販売を開始したDAC内蔵ポータブルヘッドホンアンプ「HA-2」はEISAアワードを受賞、「HA-2SE」はその最新モデルとなる。
【PRODUCT SPEC】サイズ:68(W)x137(H)x12(D)mm/重量:175g/周波数特性:20Hz~200kHz/出力:3.5mmステレオヘッドフォン、3.5mmライン出力/入力:アナログ:3.5mmステレオ、デジタル:USB A(iOS)、USBマイクロB/バッテリ:3000 mAh(駆動:約13時間、充電:約1時間30分)
オーダーメイドもできる
現在、この外装カスタマイズサービスはKuraDaのWEBサイトから注文できる。革素材の注文後にHA-2またはHA-2SEを静岡県のKuraDaに郵送すると、革を交換する作業の後に返送されてくる。もし、まだ本体を購入していない場合は、HA-2SEを同時購入して完成品として納品することも可能だ。
「筐体を開封してしまうと製品保証対象外になってしまいますが、革部分の貼り替えであれば保証面で問題ありません。こだわりの素材をセレクトして楽しんでいただければと思います」(飯田さん)
さらに、洋服でいうオーダーメイドにあたるビスポークによる受注にも対応。馬の臀部など1頭からごくわずかしか取れない「コードバン」なども今後はラインアップ予定だ。
「特に小規模で伝統的な手法で行われている海外のタンナーさん(革なめし職人)だと、ロット単位で品切れになると次まで2、3カ月待ちとか半年後というのも珍しくありません。マスプロにはまったく向いていないのですが、国内限定とはいえオッポ・デジタルさんがよく許可してくれたなと思います」(飯田さん)
「そこはベンチャー精神が息づいている弊社ならではです。もちろん、パッケージ製品であればこうしたバリエーション展開は難しいのですが、今回のケースではそれが可能であるため、iPhoneケースを楽しむようにHA-2シリーズの世界観を広げられます。お客様の製品に対する愛着が増し、喜んでもらえればそれに以上にうれしいことはありません」(島さん)
iPhoneのサウンドをより高音質に
OPPO DigitalのHA-2SEは、DACを内蔵したポータブルヘッドフォンアンプ。iPhoneと一緒に持ち運ぶのに適した薄型デザインながら、ハイレゾ音源(32bit/384kHzまでのPCMデータ、12.2MHz(DSD256)までのDSDデータの再生に対応。3000mAhのバッテリを内蔵する。
公認サービスならではの保証
公認サービスなので、メーカー保証書とは別にKuraDaの発行する外装張替え証明書が送られ、正規の保証が受けられるのが特徴。ただし、本体交換修理となってしまった場合は外装パーツがKuraDa製ではなくなってしまう点は注意しておきたい。【URL】https://www.kurada.co.jp/
KuraDaによる外装交換サービス
HA-2/HA-2SEの外装貼り替えサービスは、牛革イタリアンレザー、ベルギーレザー、山羊革オイルゴート、純正レザーのラインアップに各カラーバリエーションが用意される。カスタマイズサービスの価格は工賃込みで5400円(税込み)となっている。
限定モデルやオーダーメイドも対応
数量限定でワニ革や木目など希少素材を用いた限定モデル「リミテッド」の販売や、顧客の要望に応じて素材を選んで提案するビスポーク受注にも対応している。また、持ち込み革素材によるフルオーダーメイド制作も1万円から可能だ。
革素材は使い込むことで育っていきます。風合いの変化も楽しんでほしいです
KuraDa代表
飯田良平さん