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良い顧客体験”を買う時代

著者: 西山正一

良い顧客体験”を買う時代

STORY Ⅱ@Adobe

【URL】http://www.adobe.com/jp/

西山正一 Nishiyama Shoichi

2001年にアドビ システムズに入社。WEB製作アプリやDTPアプリの製品担当を経て、現在はCreative Cloudのエンタープライズマーケティング部門を統括。新しいガジェット類にはすぐに飛びつくタイプ。食いしん坊でお酒呑み。

アドビが主催するデジタルマーケティングカンファレンス「SUMMIT」というイベントに出席するためにラスベガスへ行ってきました。ラスベガスといえばギャンブルですが、僕は弱いのであまり興味はありません。でもお気に入りのレストランが何軒かあるので、主に食事関係で堪能してきました。

さて、そのイベントの基調講演で「現在は『顧客体験中心のビジネス』の時代」という話がありました。モノやサービスを提供するだけではお客様は満足しないんですよ。お客様にそっぽを向かれないように、お客様が求めている顧客体験をちゃんと提供しましょう…というお話です。もっと平たく言えば「使い勝手が良くないとダメですよ」という感じでしょうか。

ふと自分の日常を考えてみると、たしかにそのとおりだなと思います。インターネットを利用していろいろなサービスを利用していますが、継続して利用しているサービスは使い勝手が良いものばかりです。

たとえばReluxという高級ホテルや旅館の検索&予約サービスがあります。これ、宿泊したい日に空き部屋がある宿だけを表示してくれるんです。「うおー今週はよく頑張った! なので明日は家族で温泉でのんびりしたい!」って急に思うこと、ありますよね? そういうときに、確実に宿泊できる宿の情報だけを出してくれるわけです。また、表示される宿の質はReluxがある程度担保してくれているので、実際に宿泊してみたらがっかり…ということもありません(10回以上利用していますが今のところすべて満足しています)。

このサービスに出会う前は、まず宿泊してみたいと思う宿を探し、目星がつくまで何度も検索し、宿のWEBサイトを熟読し、空き部屋があるか確認し、空きがなければまた検索し…ということを繰り返さねばなりませんでした。今週は頑張った!という日にこんな面倒な作業はまっぴらごめんですよね。

「その日に空いている高級宿を提供」というシンプルさに徹したことがこのサービスの使い勝手の良さの出発点なのではないかと思います。その結果Reluxのトップページもとてもシンプルに「行きたい場所と日付と人数を入力」させることに集中したデザインになっています。この使い勝手の良さのお陰で、国内旅行に関しては他のサービスを利用しなくなってしまいました。旅行サイトをじっくり調べれば、ひょっとしたらもっと価格的にお得なプランも見つかるかもしれませんが「あっという間に快適に過ごせる宿が見つかる」という利便性には替えられません。「時間とストレスフリーを買っている」とも言えます。

安ければ安いほど良いという需要ももちろんありますが、その場合は値引きした分より多く販売しないと利益を出せません。また、ライバルがより安く価格を提供した時点で売れなくなってしまいます。

インターネットでいろいろな商品やサービスを簡単に比較検討できる現在では、良い使い勝手を提供し、ファンになってもらい、繰り返し利用してもらうことがとても重要なんですね。