Mac業界の最新動向はもちろん、読者の皆様にいち早くお伝えしたい重要な情報、
日々の取材活動や編集作業を通して感じた雑感などを読みやすいスタイルで提供します。

Mac Fan メールマガジン

掲載日:

非正規に修理されたiPhoneも正規の修理対応が可能に

著者: 山田昇

非正規に修理されたiPhoneも正規の修理対応が可能に

「一度非正規業者によって修理されたiPhoneは、二度と正規修理が受けられない」、これまではこれが常識だった。しかし、ある情報筋によると、アップルは最近になって修理サービスのポリシーを変更し、この常識が変わってきたという。その背景には何があるのだろうか。

非正規修理も対象に

これまでの「アップル製品1年限定保証」によると、非正規修理業者による修理や非純正部品による修理が行われた製品は、正規の修理が受けられなかった。これは無償修理期間でも、有償修理でも同様だ。しかし、ある信用できる情報筋によると、こうしたアップルの修理ポリシーは最近になって変わってきたという。

この方針変更により、非正規修理により非純正部品が使われているiPhoneであっても、故障がその部品の影響でければ保証対象の修理が受けられるようになった。また、問題が非純正部品に起因する場合でも、「保証対象外修理サービス料金」で修理が可能になった。

こうしたポリシー変更の理由としては、中古のiPhoneの利用が増えてきたことが背景にあると考えられる。中古端末の場合、非正規の修理が行われている事実をユーザが知らないまま購入してしまうことがある。こうしたユーザをサポートするため、消費者保護の観点からポリシーを変更したと見ていいだろう。

Macの場合、ユーザによるメモリやストレージ換装が認められた製品であれば、正しい方法で換装されている限り保証対象のままになる。一方、大手メーカーのウィンドウズPCでは、たとえユーザによるメモリ交換やハードディスク/SSD交換ができる構造だとしても、ユーザが裏フタを開けただけで保証対象外になってしまう場合がある。コンピュータにおけるアップルの保証修理ポリシーは他社に比べると柔軟であり、それがユーザに支持されてきた。今回のiPhoneに対する修理保証ポリシーの変更は、これまでMacで行ってきた保証修理の内容をiPhoneに拡大したものだともいえる。

実質的な対応内容は?

このポリシー変更によって、実際にどのような対応が行われるのかは、ケースバイケースだろう。たとえば、非純正のメインロジックボードやライトニングコネクタ、機能上問題のある他社製バッテリなどは修理を断られる可能性がある。また、液晶ディスプレイに関しては、非純正の部品が使われていると判明した段階で、問題の有無に関わらず交換される可能性がある。液晶以外の部品も、同様のことがいえるだろう。それによってかかってくる修理総額を考えると、実質的には保証対象外修理の料金による本体交換になるのではないだろうか。

いずれにしても、一度非正規の修理対応をしたiPhoneにも救済の手が差し伸べられたのはありがたい。読者の中にも画面割れなどで非正規修理を受けたユーザはいると思うが、ホッと胸をなでおろす変更ではないだろうか。

なお、iPhoneにはアップルケア・プラスという延長保証サービスが用意されているが、こちらは「アップル純正コンポーネント」の修理のみが対象となり、非純正部品には適用されない。非正規修理を行ったデバイスの場合、いったん有償修理で非純正部品をアップル純正部品に交換することで、再びアップルケア・プラスの保証が受けられるようになるだろう。