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Mac Fan メールマガジン

Mac派が「Macを推す」理由

MacとWinの違い??OSの操作性

MacとWinでは操作性が異なります。これは、OS(オペレーションシステム)の違いによるところがもっとも大きな理由。MacのmacOSはアップルが、ウィンドウズのOSはマイクロソフトが開発しているのは皆さんご存じのとおりで、ともに30年以上の歴史があります。OSの構造や役割、機能といった基本的な部分に関しては共通する部分は多いのですが、それぞれのメーカーの考え方を反映して、ユーザインターフェイスやメニュー名、操作方法、特定機能の有無などが異なり、これがひいては操作性の違いに表れてきます。では、なぜMac派はmacOSがいい!と考えているのでしょうか?

【Mac派の主張】

“直感的に使えるのはやっぱりMac!”

macOSもウィンドウズも進化し、モダンOSとしてどちらも今では「できること」に大きな違いはありません。操作性に関しては「慣れ」や「好み」が影響してくるので、どちらが一概にいいとは言えません。ただ、MacユーザがmacOSを使い続ける理由として「ユーザ目線で考えられた直感的な操作」があります。「直感的」という言葉も慣れや好みに左右されますが、Mac派の1つの意見として、OSのバージョンアップでも、ソフトウェアによってもユーザインターフェイスを含む操作性に一貫性があり、迷うことがないというものがあります。ショートカットがソフト間で共通していることを理由に挙げる人もいます。また、画面表示や安定性、堅牢性、ハードウェアと連係した操作性の良さもMacの魅力です。

MacとWinの違い??ハードウェアデザイン

OSに加えて、MacとWinの大きな違いがハードウェアのデザインにあります。Macはアップルからしかリリースされていないのに対して、ウィンドウズPCはマイクロソフト以外にもさまざまなメーカーから製品が発売されています。MacのノートPCであるMacBookシリーズはMacBook、MacBookエア、MacBookプロの3製品で、計9モデル(カラーバリエーションは除く)。ウィンドウズのノートPCは価格.comで「最新モデル」だけを見ても500を超える数が存在しています。

【Mac派の主張】

“選択肢の多さより、突き詰められた製品「美」”

Mac派がMacを選ぶ理由として、そのハードウェアのデザインが挙げられます。アップルは製品数を絞ることで1つの製品開発にじっくりと時間や資金を費やし、他社が真似できない製造手法を取り入れ、「まるで工芸品」ともいえる緻密かつ美しいデザインを実現しています。それは、つなぎ目の幅の統一感や、天板が描くアーチの角度、ネジのデザイン、内側まで金属のユニボディと呼ばれる一体成形ボディ…等々、挙げればキリがありません。単に外側のみならず、内部の設計に関してもファンやバッテリの形状などを緻密にデザインし、「見られない部分」でも1つの工業製品として手を抜かないのがMacなのです。その点、見た目は優れたものも増えてきたウィンドウズPCは…。このあたりのアップルの「ものづくり」に共感してしまうと、Mac購入後はウィンドウズへなかなか戻ることができません。

MacとWinの違い??接続インターフェイス

Macとウィンドウズを見たときに気づくのが、接続インターフェイス(ポート)の種類と数の違いです。MacBookシリーズは搭載されていても複数とシンプルで、世代交代が進むたびにどんどん減っていきます。最新のMacBookプロではHDMIポートもSDカードスロットも取り去られました。一方、ウィンドウズPCは製品にもよりますが、まだまだ多くのポートが標準で装備されています。周辺機器を接続するときに使われるポートは、多いほうがいいのでしょうか?

【Mac派の主張】

“基本ワイヤレス、使うときは必要に応じて”

ポートが少ないのは不便に思えるかもしれません。でも考えてみてください。HDMIポートやSDカードスロットを頻繁に使うでしょうか。いやいや、自分は仕事や趣味で「毎日のように使う」という人なら、ウィンドウズを選ぶのもいいでしょう。しかし、「そういえばたまにしか使ってないな」というなら、そのときだけ利用するほうがスマートでは? ほとんど使わないポートを確保するために、筐体に穴を空けるのはデザインの美しさの観点からも、ハードウェアの堅牢性の観点からも望ましくありません。アップルはそれを重視し、Macのポートは必要最小限、使うときは別売りのアダプタで対応するように設計されています。最新のMacBookプロではUSB-C(サンダーボルト3ポート)にインターフェイスを集約し、1つのポートで複数規格に対応するようにデザインされています。また、Wi-Fiやブルートゥースでさまざまな周辺機器が接続できるようになった今、ワイヤレスでできることはワイヤレスで、ごちゃごちゃしたケーブルなしに使えるのはよりパソコンを「わかりやすく」「使いやすく」することだとアップルは考えているのです。

MacとWinの違い??ソフトウェア

MacとウィンドウズはOSが異なるため、MacはMac版、ウィンドウズならウィンドウズ版のソフトを選ぶ必要があります。この対応ソフトの数が、ウィンドウズのほうが多いというのは事実です。かつてウィンドウズのシェアが圧倒的に高かったこともあり、ソフトメーカーはMacよりもウィンドウズを優先して開発していたからです。特に業務用ソフトや個人開発のフリーソフトなどは、ウィンドウズ版しかないというケースがまだまだあります。

【Mac派の主張】

“使えなくて困るソフトは現実的にない”

確かに現在でもウィンドウズにしかないソフトはありますが、Macのシェアが高まるにつれ、主要ソフトのほとんどがMacに対応しています。また、Mac版がなかったとしても、Mac専用のアプリストア「Macアップストア(App Store)」で代替ソフトを見つけられます。“ウィンドウズのソフトでしかできない作業”は、特殊な例を除き、存在しない!というのが多くのMacユーザの意見ですし、現実です。もし、ウィンドウズのみのソフトを使いたい場合は、ブートキャンプや仮想化ソフトを使ってMacにウィンドウズをインストールして使えばいいのです。

また、マイクロソフト・オフィス(Office)のようにMac版とWin版で互換性に問題があったものもありましたが、そうした問題もだいぶ解消されていますし、今ではクラウドベースで端末の互換性に左右されないケースも増えています。

さらに、Macアップストアにはアップルの審査を通過した(マルウェアなどの危険の少ない)健全で優良なソフトが多数あることも魅力です。

MacとWinの違い??価格と製品数

ウィンドウズPCと比べてMacは高い!という人がいます。確かにMacはもっとも安いMacBookエア13インチが9万8800円、その一方でウィンドウズのノートPCは安いものだと数万円のものがあります。また、Macでは製品数が絞られている一方、ウィンドウズはさまざまなデザイン、価格、製品をピンからキリまで選べる選択肢の豊富さが魅力です。

【Mac派の主張】

“モデル数も洗練、安心して使うならMac”

ウインドウズ搭載ノートは上から下までさまざまな選択肢が提供されていますが、低価格モデルに安易に飛びつくと、その遅さに“失敗した”となる可能性が多々あります。たとえば、実売2万円台でウィンドウズ10が使えるノートを見るとCPUは「アトム」や「セレロン」、そしてストレージは32GB程度の「eMMC」が大多数。WEBブラウザの反応からして遅く、OSのアップデートすら容量不足になることも…。5~6万円の製品になるとコアi5搭載機が射程に入りますが、ストレージが低速なHDDになるなど、性能面で弱点のある製品がほとんどです。

一方Macは、12インチMacBookのCPUが“コア(Core)M”、それ以上の機種は基本コアi5かi7。そして全機種にeMMCでないフラッシュストレージが実用性のある容量(128GB以上)で搭載されています。その分値段の下限はウィンドウズ搭載ノートよりやや高めですが、一番下のモデルを買っても“地雷”を踏まない、つまり長く使ううえでも安心できるのです。

もちろんウィンドウズ搭載ノートもしっかり吟味すれば良い製品が手に入ります。ただそこまでできる知識のある人は、選択肢の多さ・少なさに関係なく正しい製品にたどり着けるでしょう。

ウィンドウズノートには17インチ4K液晶でマルチGPU搭載といった、今のMacが踏み込んでいない高スペックなパーツを盛り込んだ製品も存在します。たとえばマウスコンピューターの「NEXTGEAR-NOTE i71110PA1」は重量は5キロ以上と持ち運びには適しませんが、Core i7(デスクトップ用)にノート用最強GPUであるGeForce GTX 1080を2基も搭載しています。

実売2万円台でウィンドウズノート出せる理由は、CPUにアトム(Atom)やセレロン(Celeron)といった超低価格のモバイル向けCPUを載せているから。こうした激安ノートでも用途を限れば十分使えますが、安いだけのデメリットも数多く潜んでいます。一方、Macは用途に適したシンプルな製品ラインアップとなっており、基本性能はすべてお墨付き、頭を悩ますことなく自分の最適な1台を見つけられます。

MacとWinの違い??ビジネス(オフィス)利用

シェアの高さやソフトウェアの豊富さ、そして価格の安さなどからビジネス(オフィス)で使うのはウィンドウズPCであるのが一般的…。でも、Macが最近使われているのはなぜ?

【Mac派の主張】

“「Macはビジネスで使えない」は誤解”

Macがビジネスに使えない、と言われたのは昔の話。Macのシェアの高まりや、iPhone&iPadの企業浸透、働き方改革の一環ともいえるBYODやCYODの高まりを受けて、Macをビジネスで使う人が増えてきています。会社全体で標準マシンをMacに変えたIBMのような大企業もありますし、革新的な製品を生み出すスタートアップ企業ではMacが多く使われていたりと、こうした事実を見ればMacがビジネスで使えない、というのは誤解であることがわかります。その誤解は一昔前までは完全に間違いではなく、会社の基幹システムがウィンドウズ前提で作られていること、対応ソフトや互換性の問題があったことなどが関係していますが、インターネットとクラウドベースでさまざまなタスクをこなせる今、そうした障壁はなくなりつつあり、Macのほうが生産性を高めるデバイスとして選ばれ始めているのです。

MacとWinの違い??スマホ&タブレット連係

今の時代、MacかWinかという選択だけでパソコンを選ぶべきではありません。スマートフォンやタブレットが日常に浸透し、かつ働き方も多様化した今、モバイルデバイスを毎日利用しない人はいないでしょう。MacとウィンドウズPCを選ぶうえでは、使用しているモバイルデバイス、つまりiPhoneやiPadか、Windows Phoneか、アンドロイドかで違いが出てきます。

【Mac派の主張】

“iPhone&iPadならMacしかない”

結論から言うと、iPhoneやiPadなどのiOSデバイスを使っているなら、迷うことなくMacが便利です。アップルデバイスの連係はとても充実していて、特にアイクラウド(iCloud)はすべてのアップルデバイスをシームレスにつないでくれます。たとえば、iPhoneで写真を撮ったとします。すると、その写真は何もしなくてもアイクラウドを通してMacでも見ることができるようになります。ほかにも、メールや連絡先、カレンダー、リマインダー、サファリで開いているWEBサイト、メモなど、あらゆるアプリが連係でき、いちいちコピーしたりすることなくスムースに作業を移行することができます。

iPhoneとウィンドウズという組み合わせでも連係できる部分はあるのですが、やはりMacに比べると圧倒的に不便です。アップルデバイスはハード、OS、ソフトとアップルがすべて一貫して製品設計&デザインされているため、複数のデバイスを使ううえでも「わかりやすく」「便利」なのです。

今のMacとWinの市場

鈍化するPC市場の中でMacが成長しているという事実

Macは2016年2.4%増

ここまでMacとウィンドウズの違いに対して、Mac派がどのように考えるか、なぜMacを選ぶのかの大きな理由を見てきました。ただ、ウィンドウズ派の人、またはウィンドウズもMacも使っている人からすれば偏った意見とも取られかねません。MacかWinか?は昔からずっと続く宗教戦争なもののようだと捉えることもできます。

ただ、MacかWinか?という問いに対して1つ、突き動かせない事実があります。それはMacを選ぶ人が年々増加しているという事実です。もちろん、パソコン市場では今でもウィンドウズが圧倒的なシェアを誇っており、Mac(Apple)のシェアは米国でもわずか10%前半しかありません。

しかし、ポストPC時代と呼ばれるようにパソコンからスマートフォン&タブレットへとコンピューティングが変化する中において、パソコンの出荷台数は世界的にここ何年も減少し続けていることが、さまざまな調査機関から発表されています。その中にあって、Macだけがここ数年は出荷台数&売上ともに成長しているのです(新製品投入前の四半期では落ち込みもありますが)。

2017年1月のガートナーの発表によると2016年の第4四半期の世界のPC出荷台数は7260万台で、2015年の第4四半期に比べて3.7%減である一方、Macは2.4%増加(530万台→540万台)へと出荷台数を伸ばしたといいます。2015年、2016年はじめと比べて成長率はわずかに留まっていますが、それでもPC市場全体が落ち込む中、この数字はMacの魅力そのものを表すものといえるでしょう。

今年、ついにWinを抜く!

また、同じくガートナーによると2017年1月、「Macを含むアップルデバイスとウィンドウズデバイスの出荷台数が今年逆転し、2018年、2019年にはさらに拡大する」という興味深いレポートを発表しています。Macを含むアップル製品の広がりは、多くの人が日常で感じ取られていることではないでしょうか。

なぜMacが受け入れられているのか、その理由はここまで説明してきたことや、次ページから解説することでも理解していただけると思いますが、忘れてはならないのはそうした「できること・できないこと」といった比較検討の観点だけでなく、「今のパソコンに何を求めて購入するのか」という観点です。iPhoneやiPadをはじめとするスマートフォンやタブレットで大抵のパソコンでできることがまかなえるようになった今、ノートブックやデスクトップを購入する意味とは? それはMacかWinか?といった議論が盛んだったコンピュータ黎明期と比べてだいぶ変化しているはずです。

すでにパソコンというデバイスが成熟した今、重要なのは昔の指標だった性能や機能、できること・できないこと、価格、(書いたことを否定するようですが)シェアや成長率といった判断軸ではなく、「使いやすさ」「わかりやすさ」といった数値化するのが難しい部分であり、「Macがいい!」という人が増えているという事実は、そうした面からMacというコンピュータが今の時代に受け入れられている証なのでしょう。