ここをチェックせよ!
外出時のiPhoneの充電に欠かせない存在が「モバイルバッテリ」。そんなスマホ時代の必須アイテムを選ぶ際のポイントをピックアップしてみました。
まずチェックしたいのがモバイルバッテリの形状。大きく分けてタイプは3つあり、それぞれにメリット/デメリットがあるので、自分の使用用途に応じて選ぶようにしましょう。また、バッテリの容量も見逃せません。iPhoneの使用頻度を考えて、適切な容量を選ぶとよいです。
次にチェックしたいのが出力ポートのアンペア数です。この数字次第でiPhoneやiPadを急速充電できるパワーを持っているのかがわかります。
最後に盲点となるのが、モバイルバッテリを充電するための入力ポートの性能です。ここをしっかりチェックしないと、モバイルバッテリの充電に一晩かかることもあるので、目を光らせましょう。
【コツ1】バッテリのタイプを選ぶべし!
「モバイルバッテリ」といって多くの人がイメージするのは、主に箱形でiPhoneなどにケーブルで接続する「外付け型」ではないでしょうか。リチウムイオンバッテリが内蔵されており、USBポートで給電するので汎用的に使えます。デザインの自由度も高いため、iPhoneの充電可能回数でいえば、1回だけのコンパクトなタイプから、5回以上充電できる大容量タイプまで、ラインアップも充実しています。
次に、iPhoneのケースにバッテリが内蔵されている「ケース型」も増えてきています。これはケースとしてiPhoneを保護すると同時にバッテリも増設できるタイプ。一体化しているので「外付け型」のようにケーブルなどが邪魔になりません。充電中でも通話などが自然に行えます。
乾電池型
コンビニなどで売っている緊急用の充電器。付属の乾電池が切れたら、ニッケル水素充電池で再利用することもできますが、出力が小さいため、使用しながらの充電ができないなど性能はいまひとつの場合があります。
ケース型
バッテリを内蔵したiPhoneケース。一体型になるため、特に持ち運びには便利です。その代わり、バッテリを内蔵している分重量が増してしまうことや、ケースがそれなりに厚くなるといったデメリットもあります。
外付け型
もっともポピュラーなモバイルバッテリのタイプ。USBポートで給電するためiPhoneだけでなく、デジカメやアンドロイド端末、モバイルルータといったデバイスの外部電源としても使える汎用性がウリです。
【コツ2】バッテリ容量をチェックすべし!
モバイルバッテリでまず気になるのはiPhoneなどを何回充電できるかだと思います。バッテリ容量はmAhやWhで記載されていますが、iPhoneのバッテリ容量で割ると、おおよその充電可能回数が計算できます。ただし、モバイルバッテリの容量のうち、実際にiPhoneの充電に使えるのは6~7割といわれています。なぜならリチウムイオンバッテリの電圧が3.6~3.7Vであるのに対し、USBの電圧は5Vなので、昇圧・降圧の際にロスが生じるためです。また、充電中にiPhoneが熱を帯びますが、これは充電時の電力の一部が熱になって逃げているからでもあります。
【コツ3】ポート数と出力をチェックすべし!
モバイルバッテリを選ぶうえで重要なのが、本体に搭載されている出力ポートの数とアンペア数です。特にアンペア数は、そのバッテリがiPhoneなどに供給できる電力を表しており、この数値次第でiPhoneやiPadを急速充電可能かどうかが決まります。iPhoneであれば1.4~2A、iPadシリーズでは2.4Aの出力が得られれば急速充電可能になるので、モバイルバッテリを選ぶときの目安にしましょう。
また、ポート数が複数あれば、iPhoneとiPadなど複数のデバイスを同時に充電することができます。たとえばiPhoneでテザリングしながらiPadを使いたい、といったシーンなどで有効に使うことができるでしょう。ただし、複数のポートを備えたモバイルバッテリでよくある落とし穴として、合計アンペア数の制限があります。この制限があると、2.4AでiPadを充電するとiPhoneを急速充電できないといった事象が発生してしまいます。そのため、モバイルバッテリの仕様をチェックするときには、合計アンペア数が明記されているかを必ず確認しましょう。
左の写真はcheeroの「Power Plus 3」です。前面に1Aと2.4Aのポートが用意されており、背面には「total 3.4A」と刻印されています。この場合、iPhoneとiPadを同時に急速充電できるわけです。ただし、iPadを2台つなげると電力が不足します。
【コツ4】入力ポートの仕様をチェックすべし!
モバイルバッテリが大容量になればなるほど、本体の「入力ポート」の仕様が重要になってきます。現在流通されているほとんどのモバイルバッテリは、本体もUSBバスパワーを使って充電するので、ここの値が少ないと、それだけ充電時間が長くなるからです。要するに、iPhoneを急速充電できるモバイルバッテリなのに、バッテリ自体が急速充電できない場合があるかもしれないのです。
実際に、1万mAhクラスのバッテリをフル充電するには2Aの電流でもおよそ8時間ほどかかるので、この電流が1Aだった場合、単純計算で16時間もの間フル充電まで待たなければなりません。毎日バッテリを使い切るとすると、朝のお出かけ前にはバッテリの充電が終わらないことになってしまうのです。バッテリの購入前には、必ず入力ポートのスペックをチェックしましょう。
なお、2Aの電流で充電できる製品であっても、MacのUSBポートで充電すると0.5mAしか供給されません。同様に単純計算してみると、フル充電までに32時間もかかることになってしまいます。バッテリ運用としてはまったく現実的ではないので、2A以上のUSB電源アダプタを用意するのをおすすめします。
1万mAhクラスのモバイルバッテリを選ぶときは、入力ポートの数値も要チェックです。図は「cheero Power Plus 3」のスペックですが、入力が5V/2Aとなっており、充電時間は8時間です。しかし、このモバイルバッテリの旧モデルは1Aだったため、15時間ほどかかっていました。
大容量のモバイルバッテリを充電するにはそれなりの充電器も必要です。iPhone付属の5W USB電源アダプタは最大1Aなので、速く充電をしたいのならば、パワー不足は否めません。iPad用の12W USB電源アダプタならば速く充電ができるので、導入を検討してみてはいかがでしょうか?
高速充電規格は意味がある?
急速充電のためにメーカー独自技術を搭載しているモバイルバッテリが増えています。ただ、結論からいえばiPhoneやiPadといったアップルデバイスの場合は、純正アダプタの最大出力を越えた充電ができないため、そこまで大きく考慮する必要はないでしょう。
特に、「Qualcomm Quick Charge」(以下、QC)という規格は、一部のアンドロイド端末などに採用されている充電規格で、対応する充電器と端末が揃って初めて成立するため、アップルデバイスには関係のない機能になります。
また、端末やケーブルの抵抗値を検出して、出力を最適化するような技術も、フル充電までの時間を計測すると誤差の範囲内に収束するようです。同じ容量・出力の製品で独自規格のあり/なしでの違いでしたら、価格の安いほうを選べばいいでしょう。
アップルデバイスは、接続したモバイルバッテリや電源アダプタに応じて自動的に充電電流が最適化されます。