第20回 常識外れな「スマートカット」が目的達成の秘訣
万難を排して最短距離で進め!
日本の教育は、根本的に間違っているかもしれません。暗記授業の弊害が長い間指摘されていますが、まだまだ日本では記憶が重視されているようです。
近年、北欧フィンランドの教育が評価されています。彼らは大きな教育改革を実施することで、一気に自国の教育レベルをアップしました。
本書の著者、シェーン・スノウは「フィンランドでは、就学年齢が他国と比べて1年遅い。1日の授業コマ数も授業時間も少ない。テストも宿題も少ない。そして子どもたちは学校が楽しいと感じていた」と指摘しています。
フィンランドでは掛け算の九九を覚える時間は無駄で、電卓やエクセルを使うことを推奨しています。算数を難しく捉えることで、算数嫌いを増やしていては意味がありません。授業時間を短くし、教師のレベルを上げ、クリエイティブな授業によって学びを楽しくすることで、子どもたちの学力を伸ばしていったのです。
アメリカの約半分の授業数にも関わらず、フィンランド式教育は成果を上げています。世の中が進化すれば、ルールは絶えず変わる。使えるプラットフォームを活用して、目標への道の最短距離を歩むことが肝心です。
本書には、このフィンランド式教育のように、短期間で成功するための「スマートカット」の鉄則がいくつも紹介されています。スマートカットとは、無駄なところに時間をかけずに賢く回避しながら、力を入れるべきところに集中し、大きな目的を達成する技のことです。著者はこのルールを知ることで、誰もが成功への階段を駆け上がれると確信しています。
過去のしきたりや常識にこだわっていても、成果を得られなければ意味がありません。最新のテクノロジーを使って無駄なことを極力避けて、クリエイティブなことに時間を費やしましょう。コーチやメンター(指導者)を持つ、シンプルを極める、大きな夢を語るなど、本書で挙げられる9つの鉄則は今すぐ実践できるものばかり。多くの人が通る道を選ぶのではなく、大きなビジョンを掲げ、周りからのサポートや迅速なフィードバックを得てこそ、成功への道は拓かれるに違いありません。
本書の「おわりに」で紹介されている、とある人物のケーススタディを読めば、スマートカットの9つの鉄則の効果を実感できるでしょう。貧しいアフリカ系米国人の彼が、どのようにして世界一のスニーカーデザイナーとなったのか。そこから私たちが学びとれるものは、自分自身のキャリアや生活だけでなく、社会全般をも変えることができる大きな原動力となるはずです。
徳本昌大
iPhoneやソーシャルメディアのビジネス活用を絶えず考える読書ブロガー。複数の広告会社勤務後、コミュニケーションコンサルタントとして独立。現在は、株式会社Ewil Japan、株式会社ビズライト・テクノロジーの取締役としても活動中。 【URL】http://tokumoto.jp/