生産性向上の鍵は時短術
「コンピュータは知の自転車(Bicycle for the Mind)である」
これは、故スティーブ・ジョブズがMacのコンセプトを語るうえでよく使ったキーワードの1つです。まるで自転車のように、Macは人間の能力を拡張し、生産性を高めるための道具として設計されており、上手に使うことで高い効率を生み出すものと期待されてきました。
そんなMacが世に出てすでに30余年。しかし、周りを見回せば「時間が足りない」「仕事が終わらない」などと、いまだ効率化に頭を悩ませている人たちを見かけることが少なくありません。便利な道具を手にしたはずの私たちが、この問題を解決できないのはどうしてでしょうか。
そこで大きなポイントとなるのは、生産性の向上につながる時短術を正しく理解し、そして実践できているのかということです。単にMacを使うといっても、その範囲は仕事の種類によって質や量が異なるため直接的な言及は難しいかもしれませんが、ベースとなる考え方は同じところにあります。それは「機械(Mac)にできることは機械にまかせる」ということなのです。
使い方もアップデートが必要
では、具体的に例を挙げていきましょう。macOSには数多くの機能が備わっていますが、実は1つの目的(たとえばカレンダーに予定を作成する、PDF書類を誰かに渡す)を達成するための方法というのは、たいていは複数用意されているということをご存じでしょうか。
これは、1つの操作方法だけに固定してしまうとシチュエーションによっては非常に時間のかかる煩雑な操作になってしまうため、使い方に柔軟性を持たせる意図で設計されているのです。つまり、効率が悪いのは「自分なりの(1つだけの)使い方」にこだわっているせいで、操作方法の引き出しを増やせば、それだけで改善する問題なのかもしれません。
また、機能自体もOSのバージョンアップによって常に進化を続けています。たとえば、コンピュータは今や与えられた仕事だけをこなす存在ではなく、日々蓄えられたデータを自ら分析する「機械学習(Machine Learning)」や「深層学習(Deep Learning)」といった機能が追加され、情報の意味づけや活用方法を積極的に提案してくれるような存在になっています。
こうした機能を利用することによって、私たちはフォルダやファイルの整理、連絡先やスケジュールの管理・追加といった面倒な作業をMacにすべてまかせてしまうことも可能になっています。いつまでも旧態依然とした使い方にこだわるのではなく、こういった新機能を積極的に取り入れていくことで、私たちは今まで費やしてきた雑務の時間を一気に(本来やりたかった自分しかできない)別の作業にリソースとして割り当てることができるのです。
今までの使い方をほんの少しアップデートするだけで、Macの操作は格段に速くなります。まずは、自分のどの部分が「アップデート前」なのか、次のチェックシートで確認してみてください。チェックをつけた箇所から改善していけば、その効果をより実感できるはずです。そうして新たに生まれた時間が、必ずやあなたの仕事をよりよいものにしてくれることでしょう。
生産性向上のための考え方
MacにできることはMacにまかせよう!
【POINT 1】1つのやり方に固執しない
ある目的に対して、一度決めた「自分のやり方」ばかりを貫いていませんか? シチュエーションによって、Mac操作の最善手は変化するものです。操作方法の引き出しを増やせば、「自分でやる作業」が激減するかもしれません。
【POINT 2】OSの新機能を積極的に取り入れる
年々賢くなるmacOSの機能を使わない手はありません。そこには、コンピュータが自律的に働く新機能も多数搭載されています。少しの努力でこれらの機能をモノにできれば、大きなリターンが日々の時短として返ってきます。
時短操作が可能に! 浮いた時間を本来やるべき作業に回す
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仕事の質と量がアップ!
Mac操作カイゼンチェックシート
当てはまる項目がいくつかあるかチェックしましょう。チェックをつけた項目のページから読み進めると改善のスピードが速くなるはずです。
□1 作業の終わったMacは、必ず「システム終了」して電源を落とさないと気分が落ち着かない ―― Macの起動をカイゼン
□2 急いでいるときに限ってログインウインドウでパスワード入力に失敗してしまいイライラする ―― Macのログインをカイゼン
□3 メールを仕分けしておいたのに、いざ探そうとするとなぜか見つからないことがよくある ―― メール検索をカイゼン
□4 未読メールが溜まりすぎて、どこから手をつけたらいいのかわからなくなっている ―― メール受信をカイゼン
□5 資料が添付されたメールにコメントをつけて返信するのは面倒なので、ついあと回しにしてしまう ―― メール返信をカイゼン
□6 再利用したいときに限って、以前作った書類が見当たらずゼロからやり直すことがよくある ―― 書類検索をカイゼン
□7 内容を確認するだけの書類を開くためだけに、インストールしてるソフトがある ―― ファイルの確認をカイゼン
□8 ファイルを開きすぎて、使いたいウインドウを選択するまでに時間がかかることが多い ―― ウインドウ操作をカイゼン
□9 起動しているソフトのウインドウは全部表示されていないと落ち着かない ―― ウインドウ操作をカイゼン
□10 Macを使ってスケジュール管理をしたいと思っているが、いつも途中で挫折してしまう ―― スケジュール管理をカイゼン
□11 メールやメッセージを受信しても、後で返信しようと思って、とりあえず放置してしまう ―― 通知バナーをカイゼン
□12 複数のファイル名の変更や画像フォーマットの書き出しを1つずつやっている ―― ファイル管理をカイゼン
□13 ソフトウェア・アップデートの通知が出ているとついクリックしてしまいたくなる ―― アップデート作業をカイゼン
□14 日本語入力をしているときに、文節でこまめにシフトキーを押して文字変換をしている ―― 日本語入力をカイゼン
□15 読み方のわからない漢字が変換できなくてイライラしたことが幾度となくある ―― 日本語入力をカイゼン
□16 外出先でネット接続をするとき、速度の遅いフリーWi-FiにMacが自動で接続してしまいイライラする ―― ネット接続をカイゼン
□17 WEBサイトを見ているとついタブを開きすぎて、さっき見ていたはずのタブを探せないことがある ―― サイト閲覧をカイゼン
□18 あとで読もうと思ったニュース記事やブログは、再検索するのが面倒で結局読んでいない ―― サイト保存をカイゼン
□19 WEBサイトや動画の内容をメモに起こそうとしてもうまく文章化できなくてあきらめてしまう ―― メモ作成をカイゼン
□20 実は音声入力を使うことが照れ臭くて使うのをためらっている ―― 音声入力をカイゼン
【診断結果】該当する項目の数で診断します
とっても効率的!
改善する点がほとんどなく、かなり効率的に、Macを「道具」として使いこなしている優秀なビジネスパーソンといえるでしょう。新しいものや今までとは違う手法も柔軟に受け入れられるあなたは、本特集を読むことで自分の知らなかったテクニックやノウハウを吸収し、さらに快適なMacライフを過ごすことができるようになるはずです。
中途半端に効率的…
普段作業しているときにはあまり感じませんが、1つ作業がつまずくとそこから先に進めずイライラすることもあるのではないでしょうか。些細な習慣があなたの作業全体のボトルネックになっているのかもしれません。まずは簡単なことから改善することで、この中途半端感から脱却できるようになるでしょう。
驚くほど非効率!
これだけの項目数にチェックがついたあなたは、大変危険な状態に陥っています。せっかくMacを使っているのに一向に効率が上がらず、仕事の仕上がりもイマイチ。休日も仕事に追われるなど、不安の多い日々を過ごしていませんか? 本特集をくまなく読んで、一刻も早くこの状態から抜け出しましょう。