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クリエイティブ以外でもマシンラーニングしています

著者: Mac Fan編集部

クリエイティブ以外でもマシンラーニングしています

STORY Ⅱ@Adobe

【URL】http://www.adobe.com/jp/

西山正一 Nishiyama Shoichi

2001年にアドビ システムズに入社。WEB製作アプリやDTPアプリの製品担当を経て、現在はCreative Cloudのエンタープライズマーケティング部門を統括。新しいガジェット類にはすぐに飛びつくタイプ。食いしん坊でお酒呑み。

「クリエイティブ以外でもマシンラーニングしています」

2016年末の冬休み突入直前に新しいMacBook Proがやっと納品されました。まだ、タッチバー(Touch Bar)にも大きいトラックパッドにもキーボードの感触にも慣れていませんが、新しいMacでのお仕事第一号がこの原稿になります。

さて、前回はマシンラーニングの成果はもう日常的に使われているんですよというお話でしたが、今回は「アドビがマシンラーニングで何をしようとしているの?」についてちょっぴりお話ししようと思います。たとえば、Adobe Photoshop Fixというスマホ・タブレット向けの無償のアプリケーションがあります。無償ではありますがなかなか面白い機能が満載でして、なかでも「ゆがみ」メニューにある自動顔認識機能はとても面白いので、ぜひ一度遊んでみてください。

この機能は写真に写っている顔や目鼻口などの顔のパーツを検出し、個別のパーツのサイズや位置、傾きなどを簡単に調整できるというものなのですが「これが目でしょ?」「ここからここまでが口でしょ?」とアプリが判断してくれるその背景にはマシンラーニングで学習したデータが使われているのです。

アドビの場合はAdobe Stockというサービスで膨大な量の画像を所有しているので、それらの画像を元にAdobe Sensei (アドビのマシンラーニングのフレームワークの名称)がせっせと学習できるというわけなのです。マシンラーニングが面白いのは、膨大なデータから学習した結果から「これって××でしょ?」という洞察を得ることができるところでしょう。ちょっと大げさに言うと「長年の勘」のようなものをコンピュータに宿らせることができるような感じでしょうか。

アドビはWEBサイトの解析ツールやオンライン広告出稿の最適化ツールなどのデジタルマーケティングのクラウドサービスも提供しているのですが、これらのサービスにもAdobe Senseiによる学習が応用されています。たとえばWEBサイトに何かしらの異常事態—たとえばECサイトでスマホから製品購入しようとするとエラーになる—などのトラブルが発生したときに「これって異常事態だよね?」と判断して自動的にアラートを送付したり、限られた広告予算をどのようなメディアに出し分けて出稿すればもっとも効果的か提案してくれたりします。これもアドビが提供するサービスに蓄積された膨大なデータから学習できたからこそ提供できる機能ということになります。従来は正しい知識と経験を持った人間にしかできなかったことをコンピュータに手伝ってもらえる時代になったわけですね。

マシンラーニングが発達すると「仕事をコンピュータに奪われてしまう!」と考える人もいるかもしれませんが、僕は「難しかった作業をコンピュータが手伝ってくれるようになる!」と思っています。数年後のPhotoshopは、初心者でも簡単に使えるようになっているかもしれませんね(アドビもそれを目指しているようですよ) 。