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人気アートディレクターはノートアプリを使い分け!

著者: 美崎栄一郎

人気アートディレクターはノートアプリを使い分け!

見せる人/佐藤ねじ

株式会社ブルーパドル代表。アートディレクター/プランナー。デジタルコンテンツの企画・デザイン・PRを仕事にしつつ、WEBやアプリ、デバイスの「隙間表現」を探求。代表作に「ハイブリッド黒板アプリKocri」「貞子3D2 スマ4D」「しゃべる名刺」など。文化庁メディア芸術祭、Yahoo!インターネットクリエイティブアワード、グッドデザイン・ベスト100など受賞多数。【URL】http://www.nezihiko.com/works/web.html

佐藤ねじさんのiPhoneメイン画面にあるアプリ Evernote/Simplenote/OmniFocus/Nuzzel/Eight/Quicka

アイデアが消える前に

今回のゲストは、2016年7月に株式会社ブルーパドルを設立したアートディレクター・佐藤ねじさん。以前は面白法人カヤックに在籍しており、数々の伝説的なアイデアを形にしてきました。また、個人的な活動としてもユニークな作品を公開し続けている生粋のクリエイターです。先日、ねじさんが書いた『超ノート術』(日経BP社)を読んだら超おもしろかったので、ラブコールをして今回の対談が実現しました。

ねじさんの代表的な作品には、iPhoneの上に置く名刺「しゃべる名刺」や織田信長の影が浮かび上がる「本能寺ストーブ」、奥さんに宛てた「レシートレター」などなど。これらの作品は私も知っていましたが、すべてねじさんのアイデアだったとは…。

アイデアを着想するためのコツは著書にも書かれていますが、そこには載っていない“デジタルの部分”もあるはずだと予想して、この対談を持ちかけました。そして予想どおり、ねじさんはノートアプリを駆使してアイデアを貯め、それを企画にまで高めていました。

「おもしろいと思ったモノ、そこから着想のヒントを得たモノをエバーノート(Evernote)に入れていきます。その場で撮った写真やそれについてのコメントやURLなども含めて一週間で1つのノートを作成し、その集合を1つのノートブックに入れているんです」

実際に見せてもらうと、展示会や美術展などさまざまな場所で思いついたアイデアが、エバーノートにぎっしり詰まっていました。

「ここにアイデアの素がたくさんストックされていると思うと、ネタ切れを起こすことはないだろうと安心できます(笑)」といいますが、確かにこれだけの量があればネタ切れすることはなさそう。

アイデアから企画に昇華させるために、たまにアナログのノートに書き貯めてある過去のアイデアを見返しているそうです。こちらはモレスキンノート2冊。ユニークなのが、「立体」と「平面」というジャンルに分けて、ノートを2つ用意していること。紙やWEBベースの企画は「平面」に、形のあるプロダクト系のアイデアは「立体」ノートに書くそうです。

エバーノートの使い方は、ネタとなる写真やアイデアなどが思いついたときに、iPhoneを使ってすぐに入力。コメントなども極力その場で書いておくことを基本としているのだとか。あとで整理しようと思うとなかなかできないので、最初から目的の場所にアップして、まとめてしまいます。

確かに、アイデアはすぐに書き留めないと脳から消えてしまうので、ねじさんの方法はアイデアマンならではのすごい習慣です。iPhoneで写真だけおもしろいモノを撮っても、必要になったときにあとから探し出すのは大変。でも、コメントが少しでも入っていれば検索性も上がりますね。

ノートアプリの効果的な併用

ねじさんの使っているノートアプリでもう1つおもしろかったのが、「シンプルノート(Simple

note)」というアプリ。データはクラウドで同期して、MacやiPhoneなどでテキストを編集できます。ねじさんの場合、こちらにはリファレンス的な資料を入れるそうです。インデックス的に見たいURLなどを入れておけば、どのデバイスからでも簡単に情報にたどり着くことができます。

エバーノートに比べて、シンプルに情報にアクセスできるのが便利です。早速私も空港バスの時刻表やプロジェクト関連のURLをまとめたものをシンプルノートで作成しましたが、便利ですね。そしてなにより速い。アップル標準の「メモ」も高機能化しましたが、動作が重くなりがちですし、ノートの数が増えてくると所望のノートまでのアクセスが悪くなります。シンプルノートでは、ファイルを簡単にZip化してダウンロードできるのもうれしいですね。

クリエイティブなことをするためには、シンプルかつ効果的なツールの活用がパワーになります。そうしたパワーとともに生み出された作品は、「佐藤ねじ」でWEB検索するとたくさん出てくるので、ぜひチェックしてみてください。

Evernote

【開発】Evernote

【価格】無料

【カテゴリ】App Store>仕事効率化

浮かんだアイデアをその場ですぐに保存するため、エバーノートをフル活用しているねじさん。「今週のアイデア」という形で1週間単位でノートを作成しています。

Simplenote

【開発】Automattic

【価格】無料

【カテゴリ】App Store>仕事効率化

ちょっとしたメモを取りたいときに便利なのが、シンプルノートというアプリ。ねじさんの場合、リファレンス的な資料をこちらのメモに貯めています。

アナログのノートにもねじさんらしい発想が詰まっています。「立体」と「平面」という2つのノートを用意し、ジャンル別にアイデアを貯めているのだとか。これだけあればネタに困ることもありませんね!

見る人/美崎栄一郎

『iPhoneバカ』『iPadバカ』などの著者。札幌から福岡までアップルストア全店舗、ソフトバンク本社などでも講演したiPhone大好き人間。『「結果を出す人」は、エクセルをどう乗りこなしているのか?』(学研パブリッシング)が発売されました。【URL】http://www.facebook.com/a16misaki