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西山正一@Adobe

著者: Mac Fan編集部

西山正一@Adobe

STORY Ⅱ@Adobe

【URL】http://www.adobe.com/jp/

西山正一 Nishiyama Shoichi

2001年にアドビ システムズに入社。WEB製作アプリやDTPアプリの製品担当を経て、現在はCreative Cloudのエンタープライズマーケティング部門を統括。新しいガジェット類にはすぐに飛びつくタイプ。食いしん坊でお酒呑み。

「クリエイティブだってマシンラーニングしています」

こ の原稿を書き始めた12月6日、Amazonが2017年に「Amazon Go」というレジを必要としない自動会計の店舗をオープンするというニュースが届きました(この分だと前回書いた自動会計バーの登場も近いですね)。 Amazon Goのコンセプトビデオを見ると、さまざまなセンサ類(IoT)に加えてマシンラーニングも活用しているようです。ここ最近、マシンラーニングやAI(人工知能)といったキーワードを聞く機会が増えてきました。人工知能への取り組みはコンピュータ黎明期から始まっているのですが、最近特に盛り上がっている原因はこのマシンラーニングという手法が目立った成果を上げるようになったからです。

マシンラーニングの仕組みについて興味がある方は「google 猫」で検索するとわかりやすい解説がヒットするので、ぜひ読んでみてください。ここでは「もうすでに僕らの身近で便利に使われているんですよ」という話を主にしたいと思います。

マシンラーニングの良いところは、厖大なデータから人間の手を借りずに「意味のある特徴」を学習してくれるという点です。つまり、今まで人間が「学習」して得た知識でしか処理できなかったことを、コンピュータが自動的に処理できるようになるわけです。もっと乱暴に言うと「これって俺の経験から言わせてもらうとこういうことだよね?」という知見をコンピュータが山のように積み上げて、その知見から高い精度で「経験からわかる正解」を答えてくれるようになる、ということです。

マシンラーニングでは、この「学習する過程」で多くのコンピュータ処理を必要としますが、学習した結果(経験)は割と簡単に利用することができます。たとえばアドビのPhotoshopに「マッチフォント」という機能があります。これは画像に含まれる文字の書体(フォント)を教えてくれるというものなのですが、これは「Adobe Sensei」というアドビのマシンラーニングの仕組みに膨大な量の欧文書体のデザインを学習させて、その経験をPhotoshopに組み込むことで実現しています(アドビではほかにも多くの製品でマシンラーニングを活用しているのですが、それはまた別の機会で)。

ほかにもFacebookにアップロードした画像の内容を認識したり、Google翻訳の翻訳精度が驚くほど高くなったのも、マシンラーニングの成果です。冒頭に紹介したAmazon GoではIoTセンサ類が目や耳となり、ディープラーニングで学習した経験が頭脳となり、レジ不要の新しい店舗の実現を可能にしているわけですね。

マシンラーニングは学習データの量が多ければ多いほど良いと言われています。ほんの数年前にビッグデータというキーワードが話題になり、そしてIoTの登場で収集できるデータの量が飛躍的に増えました。さらにマシンラーニングという手法の登場により、集めた膨大なデータから得た「ものすごく役にたつ経験」をiPhoneからものの数秒で利用できる時代になったわけです。次回はこの辺りの話をもうちょっと広げてみたいと思います。