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マトリックス型セレクターで映像を楽しむ

著者: 中村朝美

マトリックス型セレクターで映像を楽しむ

またしてもMacミニのアップデートが2年以上止まっていますが、私はPCラックの都合によりiMacが導入できず、2012年モデルのMacミニを延命して使い続けています。必然的にディスプレイは外付けになるのですが、地デジ化にともないアナログテレビを処分してから、Macのディスプレイでもテレビを観られるようにする方法を模索し続け、辿り着いたのがマトリックス型のセレクターの導入でした。

ディスプレイ切り換え問題

最近のMacは、MacBookシリーズがとても好調で、デスクトップのカテゴリは実質iMacしか動きがなく、Macミニは2014年10月からアップデートされていません。実際、本誌の読者アンケートでもiMacとMacBookユーザの合計は90%以上でした。

まさにディスプレイ一体型が全盛期というわけですが、私の場合は、Macミニ(Late 2012)のサーバモデルにEIZOのディスプレイ「EV2730Q」を接続するセパレート型を使っています。正方形なので27インチでありながら24インチクラスの幅しかないので重宝しています。実はPCラックの都合でこれ以上幅の広いディスプレイが設置できないという事情があり、もちろんiMacを置くことも物理的に不可能なのです。

そして、我が家にはもう1台、主にテレビとして使っているディスプレイがあり、くつろいで観られるようにベッドのそばに設置しています。HDDレコーダで録画した地デジ番組や、プレイステーション3(以下PS3)でフールーやブルーレイ、アップルTVでiTunesストアの映画レンタルを視聴しています。

しかし、PCラックは仕事場兼食卓にもなるので、Mac側のディスプレイでテレビや映画を観たい。以前はブラウン管テレビもありましたが、地デジ移行で処分したので、それ以来Mac側のディスプレイに各映像機器の映像を映す方法を模索していました。

まず、映像機器切り換えにはHDMIセレクターを使っていたので、そのアウトプットを2台のディスプレイに割り振るためのHDMI分配器を追加しました。いわゆるカスケード接続に近い方法ですが、出力機器が4つとディスプレイが2つあるとこういう面倒な配線になるわけです。

普段の運用も面倒でした。たとえば、Mac側のディスプレイでテレビを見るには、分配機でディスプレイをベッド側からMac側にし、セレクターでHDDレコーダにし、Mac側のディスプレイの入力を切り替えるという3ステップが必要でした。

ちょっとだけ放送局気分

そこで導入したのがマトリックス型セレクターで、私が実際に購入したのはサンワサプライの「400-SW026」というモデル。4入力2出力に対応しており、実売で9000円ほどでした。普通のHDMIセレクターは数千円なのでびっくりするかもしれませんが、複数の入力ソースを複数のディスプレイに分配したり、同じ映像を各ディスプレイに分配することも可能など高機能な装置なのです。さらに、HDDレコーダの映像をMac側ディスプレイ、PS3の映像をベッド側ディスプレイに出すといったことも可能です。気分は複数のカメラを切り替える放送局のディレクターです。

ただ、入力ソースを切り換えると時々パワーセーブモードに入ってディスプレイの電源が落ちてしまうことが発生しました。

HDMIマトリックスセレクター「400-SW026」

【発売】サンワサプライ

【実売価格】9800円(送料無料)

【URL】http://direct.sanwa.co.jp/ItemPage/400-SW026

【備考】入力4系統、出力2系統、3D・ハイビジョン・HDCP対応

入力・出力端子

なぜか安いセレクターには、入力側と出力側が直列に並んでいるものが多く、設置に難儀しますが、本機のHDMIポートはすべて背面に用意されており配線の方向が統一できます。

操作パネル

表面にはセレクトボタンと電源ボタンがあるだけとシンプルなデザインです。マトリックス型と聞くと操作が難しそうに思うかもしれませんが、ディスプレイごとに入力ソースを選ぶだけと簡単です。

利用イメージ図

このようにマトリックス型は入力側と出力側を自由に組み合わせられるのが最大のメリットです。

ワイヤレスリモコン付き

Photo●http://direct.sanwa.co.jp/

リモコンが付属するので離れたところから操作できます。本体のスイッチは順繰りに切り替える方式ですがリモコンはダイレクトに入力先を選べます。

現行品は対策済み

ディスプレイは、さまざまな解像度の信号を受け入れるためにコンピュータ側からデータを受け取っています。これをEDID情報と呼んでいますが、セレクターで映像機器を切り換えると、EDID情報が途切れてしまい、その時間ががディスプレイの待ち時間よりも長いと、ディスプレイ側はケーブルが抜けたか、コンピュータがスリープしたと判断して省電力モードに入ってしまうわけです。

この問題は、メーカーも認識していたようで新モデルではセレクター自体にEDID情報を保持する機能が付いており、ブラックアウトする時間が短くなっているようです。

旧製品でも電源をオン/オフするなどで解決しますがどうしても映像が出なくてHDDレコーダやPS3、ディスプレイの再起動を強いられることもありましたので、いずれ買い替えようと思いました。

少し特殊なマルチディスプレイ環境のお話しでしたが、映画ファンやゲーマーの方などに参考になれば幸いです。

システム図

我が家での配線は図のようになっています。ベッド側のディスプレイでMacのデスクトップを映すことはないので、Macのディスプレイポートケーブルはセレクターを通さず、Mac側ディスプレイに直結しています。Mac側ディスプレイで観るにはディスプレイで入力切り換えれば、セレクターで選んだ映像が映ります。

パワーセーブ問題

ディスプレイや入力ソースの切り替え時に信号途絶と判断してパワーセーブに以降してしまうことがあります。これは新型の現行機種では解決しているとのことです。

LEDの輝度

操作パネルのインジケータLEDの輝度が高すぎるので、部屋を暗くして映画を観るときに支障がありました。アルミテープを貼って遮光しています。

リモコンは感度良好

リモコンが行方不明になるのは目に見えていたため、ベッド側ディスプレイを支えている支柱に結束バンドで固定しました。赤外線信号は天井などに反射して本機に届きます。