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Thunderbolt 3製品はMac対応の確認が不可欠

著者: 山田昇

Thunderbolt 3製品はMac対応の確認が不可欠

アキティオブースには、eGPUボックスをはじめ数多くのサンダーボルト3対応製品が展示されていたが、そのほとんどはウィンドウズのみの対応だった。

Macで使えるとは限らない

11月に開催された展示会「インタービー2016」の取材から、サンダーボルト3に関する複雑な事情が明らかになった。それは、一口にサンダーボルト3対応製品といっても、Macで使用できるものとできないものがあるということだ。

現在、サンダーボルト3ポートを搭載したウィンドウズPCはすでにいくつか発売され始めており、それと足並みを揃えてサンダーボルト3接続の周辺機器も登場している。このイベントでもアキティオ社やブラックマジック・デザイン社のブースでサンダーボルト3対応の製品が複数展示されていたが、話を聞いてみるとそのほとんどがMacをサポートしていないという。

実は、サンダーボルト3対応製品に搭載されているUSB−C/ USB PD(給電)コントローラには異なる2つの世代があり、10月に発表されたMacBookプロはそのうち片方しかサポートしていない。新MacBookプロがサポートしているのは、第2世代のコントローラ「TPS65983」のみで、アキティオやブラックマジック・デザインの製品は第1世代のコントローラ「TPS65982」を搭載しているのだ。

このため接続しても使用することはできないし、チップ自体の互換性の問題であるためMac側のファームウェア・アップデートで解決できる見込みもないのだという。

また、アキティオによれば、ウィンドウズPC市場で広まっているサンダーボルト3接続の外付けGPUボックス(eGPU)はmacOSシエラで動かないようにブロックしており、アキティオ側で対応させることが不可能だそうだ。

サンダーボルト2接続の製品では、Macとウィンドウズのどちらでも使用できるのが当たり前だったが、サンダーボルト3では接続インターフェイスが同じでもMacで使用できるとは限らないのだ。

ケーブルの長さも課題

とはいえ、Mac対応のサンダーボルト3製品が存在しないわけではない。会場では、プロミス・テクノロジー社のサンダーボルト3接続RAIDストレージ「ペガサス(Pegasus)3」が展示されていた。基本的には現在販売されているペガサス2をサンダーボルト3に対応させただけだが、読み込み速度2340MB/秒、書き込み速度2274MB/秒の性能が出ていた。

新MacBookプロの内蔵SSDは読み込み速度2286.0MB/秒、書き込み速度1323.3MB/秒という性能であり、ペガサス3はこの内蔵SSDの性能を超えている。これならば、快適な映像制作環境が得られそうだ。

プロミス・テクノロジー社のサンダーボルト3接続RAIDストレージ「ペガサス3」。8ベイRAID構成で2200MB/秒以上の読み書き速度を実現する。12月中の出荷を目指しているという。

ただし、サンダーボルト3製品では、Macとの接続ケーブルにも注意が必要になる。詳細は特集内で解説するが、サンダーボルト3のケーブルは2つの種類があり、最大40Gbpsという高速なスループットを出せるのは長さ50センチまでのパッシブケーブルとなる。ペガサス3に付属しているサンダーボルト3ケーブルは50センチのケーブルだが、接続ポートの位置の関係で、新MacBookプロのすぐ横に置かないと使用できないような状況だった。

つまり、サンダーボルト3で最適なパフォーマンスを得るためには、設置の自由度が狭くなるという問題を抱えることになる。サンダーボルト3の活用では、数多くの課題がユーザに突きつけられることになりそうだ。

メルコグループのバイオスブースでは、開発中のサンダーボルト3接続ポータブルSSD「SSD-PT3」が参考展示されていた。NVMe仕様のSSDを搭載することで、2000MB/s性能が出ると説明していた。RAID構成ではない単体のSSDだけでこの速度を実現しているのは脅威的だ。出荷時期は未定だとしながらも、2017年春頃までには発売されるようだ。