見せる人/坂口 孝則
未来調達研究所株式会社取締役。大阪大学経済学部卒業後、電機メーカー・自動車メーカーの調達部門にて従事。調達、購買、原価企画を担当。コスト削減、原価、仕入れ等の専門家としてテレビ、ラジオ等でも活躍。企業での講演も行う。『調達力・購買力の基礎を身につける本』『調達・購買の教科書』(日刊工業新聞社)等、30冊近くの著書も執筆。【URL】http://www.future-procurement.com
坂口孝則さんのiPhone メイン画面にあるアプリ 音声認識Mail クラウド/NewsPicks/CamScanner/名刺認識/Uber/Spotify
企業の調達部門を改善
今回のゲストは、調達・購買コンサルタントとして活躍する未来調達研究所株式会社の坂口孝則さんです。日本テレビ系列のワイドショー「スッキリ!!」など、テレビやラジオのコメンテーターとしても活躍しているので、ご存じの方もいるかもしれませんね。
テレビでは「経営コンサルタント」という肩書きで紹介されることもありますが、坂口さんの本業は企業の購買業務を支援する調達コンサル。素人が考えると「何かを調達するときに安いところを探す」的なことをする仕事なのかなと思いきや、そうではなく、かなり難易度の高い仕事のようです。
坂口さんのクライアントの事例を一部ご紹介すると、電力会社においては、調達を合理的に行うための妥当性を評価して調達金額を算出するのが仕事だといいます。
「社会的責任のある企業では、購買は買い叩けばよいわけではないのです。ただ、無駄に高い調達をすると、電気を使う消費者や工場などの法人に費用を転嫁することになり、好ましくありません。というわけで、妥当な調達金額を算出するのが極めて重要ですが、それには専門的な能力が必要なので、専門家としてコンサルティングをしています」
調達金額の算出はデータに基づく必要があるので、国の統計資料などもリファレンスの資料として使うそうです。この統計資料はインターネット上でエクセルのデータなどで開示されており、坂口さんはiOS版「マイクロソフト・エクセル(Microsoft Excel)」を利用しているそうですが、iPhone上でデータを細かく加工できないのが悩みだそうです。確かに、私の実感としてもまだまだ使いにくい(苦笑)。もっと、使い勝手・操作感がよくなるといいなぁ。
声で構想を書き起こす
さて、坂口さんのもう一方の顔であるコメンテーターとしての仕事ですが、情報番組ではテーマが決まるのが本番直前。なので、情報を調査する時間は数時間しかない場合が多いのだとか。
そこで、テーマが決まったあと、iPhoneを使って、ほかの専門家のコメントやレポートなどで情報を分析し、把握したうえで自分の意見を述べられるように準備しているといいます。
このときに坂口さんが使うのは、「ニューズピックス(NewsPicks)」のiOS版アプリ。あとは基本的にサファリを使ってWEB上の記事を調べるようです。信頼できるメディアからの情報収集を基本として、立場の違いなども意識しながら分析します。また、海外の流通系の情報は、「リテールダイブ(Retail Dive)」というメディアの英語記事を参考にして、海外でその問題がどのような扱いで報じられているのかをチェックしているそうです。
坂口さんの情報収集方法でユニークなのは、紙の新聞を毎週水曜日に1週間分まとめて全部読むというもの。この読み方だと、報道がどのように修正・追記されているのかを一度に把握することができるとのこと。なるほど。
私も金融や出版、文具の業界新聞を取っていますが、まだ紙のほうが有利な情報も存在しますよね。坂口さんは、ネットと紙を駆使して情報収集を行い、自らの分析の材料にしているわけなのです。
坂口さんは30冊近くの書籍を執筆されていますが、「音声認識メール クラウド」というアプリを使って口述で構想を文字にしたあと、PCで肉付けしていくというフローで書いているそうです。このアプリは、私の知る限り長文の認識率がもっとも高い音声認識アプリ。その名前からメールアプリと勘違いしてしまいますが、本質は音声認識でテキスト入力を支援してくれるツールです。ツイッターと連係すれば、まさに自分の呟きをそのまま投稿できますよ。
日本では口述で作業指示を出すことが少ないので、口述がビジネスに浸透していませんが、手打ちで入力するよりも速くて便利。思いついたことを口述でメモして、最後にPCでまとめるという坂口さんのスタイルは、結構便利なのでおすすめですよ。
声をテキスト変換してくれる「音声認識Mail クラウド」。坂口さんの場合、著書などを執筆する際に、まずはこのアプリを使って全体の構想を口述で書き起こすそうです。長文の認識率も高く、メモとしてもぴったりなアプリですよ。
テレビにラジオにひっぱりだこな坂口さん。ニューズピックスなどのニュース系アプリを利用して、少ない時間で効率良く情報を調査・分析しています。
調査するテーマがどのように取り上げられているか、海外メディア「リテールダイブ」の記事もチェックしているそうです。
見る人/美崎栄一郎
『iPhoneバカ』『iPadバカ』などの著者。札幌から福岡までアップルストア全店舗、ソフトバンク本社などでも講演したiPhone大好き人間。『「結果を出す人」は、エクセルをどう乗りこなしているのか?』(学研パブリッシング)が発売されました。【URL】http://www.facebook.com/a16misaki