覗いて撮るスタイルがいい
フィルムカメラを使っていた時代が長かったせいか、写真を撮るときは断然ファインダを覗く派です。カメラ背面のモニタを見ながら撮影するスタイルはどうも苦手で…。電子ビューファインダ(EVF)も試しましたが、当然ながら光学ファインダの見え方とはだいぶ違います。画像が粗かったり、追従性の違いなど…実像ファインダに慣れてしまった私の眼には違和感ありまくりなので、仕事ではずっとデジタル一眼レフを使い続けてきました。
普段はこれで問題ないんですが、仕事の関係上、簡単な物撮りが必要なことが多々あります。そんなとき一眼レフだと、アングルやカメラポジションによってはファインダを覗くのが難しい場合も。一応、デジタル一眼レフにはライブビュー(LV)機能が付いているんですが、私のカメラのモニタは固定されていて動きません。仕方がないのでオプション装置を取り付けて、手元のiPadでリモートビューしていたのですが、こうした前準備って意外と面倒なんですよね…。
一眼レフの大きさや重さも辛くなってきたし、ミラーレスでいいのがあれば今後の撮影に使いたい。そんなときに見つけたのが、キヤノンの新作ミラーレスカメラ「EOS M5」です。気になっていたLEDライト内蔵のマクロレンズ「EF−M 28mm f/3.5 MACRO IS STM」と一緒に使ってみました。
画面タッチでいろいろな操作が
タッチした位置にピントを合わせる「タッチAF」のほかにも、ファインダを覗いたまま画面を指でドラッグすることでピント位置を調節できる「タッチ&ドラッグAF」などが操作できます。
Mシリーズの進化に驚き!
実は以前、初期のEOS Mシリーズを試用したことあるんですが、フォーカスが非常に遅かったのとファインダがなかったので購入候補から即除外。その後、モデルチェンジで外付けEVFが使えるようになって、AFスピードも改善されましたが、個人的に琴線に触れず…。EVF内蔵の「PowerShot G5 X」も試したんですが、「レンズ固定じゃなぁ…」と購入までには至らなかったのです。
今回のM5はこれまでのEOS Mシリーズより、どちらかというとG5 Xをレンズ交換可能なミラーレス化した感じ。持った感触もいいし、ダイヤル周りのリングに施されたローレットなど金属感もたっぷりです。気になっていたEVFも、以前に試した外付けと解像度は変わらないものの、見やすくなっています。
フォーカスも高速でピタッと一発で決まり、迷いがまったくありません。以前のMシリーズとは雲泥の差です。すべての画素を位相差AFセンサとして使っている機能のおかげですね。
また、液晶パネルがタッチ操作に対応しているので、ピント位置などを直感的に調節することができます。撮影した写真を2本指でピンチズームしたり、フォーカスポイントを指で「ここっ!」と指定できるのは、iPhoneと同じでやっぱり便利。1点AF時のみですが、AFのフレームサイズを小さくできる点もアップ撮りには最適でした。
一緒に利用したマクロレンズは、前面にLEDライトを搭載しているユニークなもの。リングストロボほど強力ではありませんが、強弱や左右の切り替えがボタン1つでできます。等倍超えの最大1.2倍スーパーマクロと相まって、細かなパーツ部分のアップもバッチリです。何よりAFの動作音が静かで、動作してないんじゃないかと疑ってしまうぐらい音が気になりません。
本体の無線機能はWi−Fiとブルートゥースで、どちらでも専用アプリ「カメラ・コネクト(Camera Connect)」をインストールしたiPhone 7と接続できました。ただし「カメラ内の画像一覧」や「リモートライブビュー」などはWi−Fi接続が必要です。ブルートゥース接続時はリモート再生・撮影しか使えませんでした。
モニタがチルトのみでバリアングルでないことや、フラットケーブルがむき出しになっている部分など気になる点もありますが、機能面や操作面を考えると私が行う程度の物撮りには十分。EVF内蔵のミラーレスに変な苦手意識を持っていたのですが、実際に使ってみたら全然問題なし。最近のMシリーズのチェックを怠っていたことを反省です…。
[SPEC]
【発売】キヤノン 【価格】2万1500円(ボディ単体の直販価格) 【Size】115.6(W)×89.2(H)×60.6(D)mm 【URL】canon.jp/eos-m5
【その他スペック】
【重量】約380g(本体のみ) 【備考】撮像素子:APS-CサイズCMOSセンサ(デュアルピクセルCMOS AF対応)約2420万画素(総画素数:約2580万画素)、ファインダ:0.39型カラー電子ビューファインダ(約236万ドット)
私が紹介します!
松山 茂
東京の下町・谷中に暮らすフリーライター。Leicaと猫が好物。