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ウェアラブルが拓く「遊びの新次元」スター・ウォーズの世界が現実に

著者: 大谷和利

ウェアラブルが拓く「遊びの新次元」スター・ウォーズの世界が現実に

Special Edition Battle-Worn BB-8 with Force Band

【発売】スフィロ

【価格】2万6784円

【URL】http://www.sphero.jp/starwars/forceband

フォースバンドは単体販売のほか、戦闘後のリアルなBB-8を再現したバトルウォーンモデルとの特別セットも発売され、さらにメタルボックスが黒色のアップルストア版もある。

先行開発から生まれたデバイス

2015年秋にスフィロ社から発売された「BB-8」は、映画「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」に登場した新キャラクターのドロイドそのものの動きを再現したコネクテッドトイとして、世界中で話題となった。そして、今秋登場した新製品「フォースバンド」は、BB−8(およびブルートゥースLE対応のスフィロ社製ロボットトイ)のジェスチャコントロールを実現。さらに、ジェスチャに合わせてライトセーバーなどの効果音を再生したり、ホロクロンと呼ばれるジェダイ(劇中に登場する正義の騎士)の記憶媒体を集めて、そのコンテンツ(キャラクター、武器、宇宙船など)をコレクションできるなど、スター・ウォーズの世界を身近に感じられる新しい遊びを提案している。

これらの製品を作り出したスフィロ社は、ロボティックボールの「スフィロ」を大ヒットさせ、その教育版の「SPRK/SPRK+」もSTEM/STEAM教育の現場で7000校以上の採用実績を持つ、業界の第一人者だ。

意外なことに、フォースバンドの基本アイデアはBB-8の開発以前からあったと同社CTOのイアン・バースティン氏はいう。

「オリーという2番目の製品を開発したあと、社内のさまざまな専門家を募って“スフィロ・ラボ”という研究部門を設けたのですが、スタッフの発案で最初のプロジェクトがウェアラブルデバイスになったのです」

「WAVE」というそのプロトタイプは、マジックテープに回路を直付けしたようなシンプルな構造だったが、これによって、直感的なコントロールのためにどのようなジェスチャが適しているのかが多様な年齢層のテスターを使って研究されていった。

フォースバンドとBB-8のバトルウォーンモデルを披露した、スフィロ社の共同創業者で、現CTOのイアン・バースティン氏。

IoT的な連係も視野に

こうして生まれたのが、手で押すような前進のジェスチャ(フォース・プッシュ)や、手のひらを上にして手招きするような呼び寄せのジェスチャ(フォース・プル)だが、BB−8を手がけたときに、これらにジェダイの念力に通じるところがあると気づいたという。そして、製品化にあたって社内のデザイナーがスター・ウォーズの世界観に基づく外装を考案、着脱を容易にするためにマジックテープと磁石を併用した独自のバンドシステムが作り出された。

「この使い込まれたような外観は印刷で実現したのですが、最適の状態を作り出すのに苦労しました。また、今年のCESで展示した試作機よりもバッテリ容量を増やすために筐体サイズも見直すなど、1回の充電で十分に遊べることを重視しています」

このようにユーザの立場に立った開発姿勢は、家族の一員のようなロボットを作り出すというスフィロ社の目標とも無関係ではない。

「そのためには、まだ何年もかかるでしょうが、フォースバンドのアプリにもIFTTTとの連係機能を持たせて、フォース・プッシュで照明をつけたり鍵をかけるといったことができるようにしてあります」

これ以外にも、フォースバンドは他のスフィロ製品と同じく、アプリやファームウェアのアップデートで進化していく設計がなされている。すでにプロの声優を起用して日本語対応済みであることに加え、SDKも公開予定であり、サードパーティの参入で、応用範囲はさらに広がっていきそうだ。

フォースバンドの原点は、2015年の4月に試作されたWAVEと呼ばれるプロトタイプ。後に、そのジェスチャがフォースに似ていることから現製品の開発へとつながった。

フォースバンドには、ドロイドのジェスチャ制御、武器/宇宙船の効果音再生、ホロクロン(ジェダイの記憶媒体)の収集機能があり、専用アプリ上でそれらの管理や選択ができる。